【導入事例】生産管理システム|産業用機械・装置 製造業
産業用機械・装置製造業は、自動車・半導体・食品・化学など、多彩な業界の生産を支える基盤産業です。
特徴的なのは、顧客ごとの仕様に合わせた個別受注生産が多いこと。そして、製品全体を一つの完成品としてだけでなく、ユニット(モジュール)ごとに管理・組み立てを進める必要がある点です。
このような生産形態では、部品点数の多さや外注依存、設計変更への柔軟な対応が求められ、従来型の管理方法では限界が生じやすくなります。
本コラムでは、産業用機械・装置製造業の生産管理の特徴や、生産管理システム検討の参考に導入企業様の事例をご紹介します。
1.産業用機械・装置製造業の生産管理とは
生産管理でよくみられる特徴
産業用機械・装置製造業の皆様をはじめとする、機械・装置製造業様や組立業様における生産管理の特徴を一部紹介します。
- 📌個別受注生産(ETO/MTO)が中心
- 顧客ごとの仕様に応じた設計・製造が多く、標準化が難しい。受注から設計・調達・製造まで一気通貫で管理する必要がある。
- 📌ユニット管理の重要性
- 大型設備は複数のユニットやモジュールの組み合わせで構成されるため、ユニット単位の進捗・原価・在庫管理が求められる。
- 📌部品点数と外注の多さ
- 数千点規模の部品管理や、多数の外注先とのやりとりが発生。調達リードタイムと生産計画をどう同期させるかが大きな課題。>📌設計変更と納期管理顧客要望による設計変更が多発し、変更内容が現場や調達に反映されないと納期遅延につながる。
生産管理システムを検討する際のポイント
生産管理システムを導入したいが何が自社に合うのか?業種や生産形態、社内のフローなど検討時に確認すべきは多々あります。ここでは、見ておきたいポイントとして一部ご紹介します。
- [1]個別受注生産に対応できる設計~製造一貫管理
- ・受注ごとのBOM(部品表)・仕様管理
・設計変更の即時反映 - [2]ユニット単位での進捗・原価管理
- ・部品や工程をユニットごとに可視化
・完成前のユニットごとに進捗や品質チェック・検収が可能 - [3]外注・調達との連携強化
- ・発注先別の進捗・納期管理
・内製、外注を組み合わせた柔軟な工程計画 - [4]リアルタイムでの進捗・納期把握
- ・大規模プロジェクトでも工程遅延を早期に発見
・ガントチャートやダッシュボードによる可視化
2.産業用機械・装置製造業での事例記事
Case-01.[兵庫県] 株式会社加古川製作所 様
- データに基づく経営で組織を変革 ~意識改革と収益改善~
商 号 | 株式会社加古川製作所 |
所在地 | 兵庫県加古川市 |
設 立 | 1964年5月 |
資本金 | 3,000万円 |
事業内容 | 製鉄関連及び産業機械の製缶機械加工、仕上組立、検査試運転 |
ホームページ | https://ksi-web.com/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S NOA』 業務支援ソリューション『IT経営コンサルティング』 |
導入効果 改善内容 |
・システムに蓄積したデータを活用し、財務分析による課題の明確化と従業員の理解促進 ・原価チャージ金額と見積金額の違いなど、データの見える化で原価理解の徹底 ・システムを活用した原価会議の定着が生んだ好循環と組織文化の変化 |
株式会社加古川製作所様の取り組みは、IT活用による経営改革の成功事例としてご注目ください。技術力を持つ企業であっても、データに基づく正確な原価管理と従業員の意識改革が組み合わさることで、より大きな成果を生み出すことができることを実証しています。何より、数値管理が目的ではなく、より良い職場環境と持続可能な企業経営を実現するための手段として活用されているので、ぜひ事例記事にて詳細をご確認ください。
Case-02.[岐阜県] 新興機械株式会社 様
- データに基づく経営で組織を変革 ~意識改革と収益改善~
商 号 | 新興機械株式会社 |
所在地 | 岐阜県 |
設 立 | 1946年2月 |
資本金 | 9,100万円 |
事業内容 | 各種産業用自動機械の開発・設計および製造・製作 |
ホームページ | http://www.shinko-kikai.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入前の課題 | ・生産形態に合わないITツールからのシステムの見直し |
導入効果 改善内容 |
・年間372時間もの事務工数削減に成功 ・内製率4割を目標!内製負荷の見える化で内製率と利益率が向上 ・システムによる進捗の見える化で納期遅れ減少と現場改善 |
【ご担当者様のコメント】
生産管理システムの導入は第一段階。今後は、予算立てをしっかり行ない、機械や作業の時間単価を随時見直すことで、さらに予定原価の精度を高めていきます。大日程の管理を徹底し、全体の流れや部門間の影響を見える化することで、先手先手で対策が打てる体制を強化していきます。
Case-03.[神奈川県] ユニバース株式会社 様
\\真空混練押出成形一筋に磨き続けた技術とノウハウ//
- 3つの効果により、年間1,200時間の工数を削減
商 号 | ユニバース株式会社 |
所在地 | 【本社】神奈川県【九州工場】佐賀県 |
設 立 | 1966年2月 |
資本金 | 3,000万円 |
事業内容 | 真空混練押出成形機、および混合ミキサー・引取乾燥機・同調カット機等その他関連する商品の開発・設計・製造・販売 |
ホームページ | https://www.universe-kk.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入前の課題 | ・リアルタイムな原価管理を全社で切望 ・以前は、購入費、外注費、労務費をExcelで別々に管理しており、原価集計作業が後回しに ・仕掛案件の原価は一切把握できていなかった |
導入効果 改善内容 |
・各種業務が一元管理され、リアルタイムでの原価管理と原価低減対策が可能に ・年間480時間もの原価管理工数削減 ・ハンディターミナルを活用した工数管理(作業実績を即時、正確に収集でき年間240時間の転記工数削減) ・システムによる情報共有で有意義な生産会議の実現と会議時間の短縮(年間480時間の会議時間削減) |
【ご担当者様のコメント】
実績時間と標準時間の差を、人事評価の一つの指標として取り入れようと考えています。合わせて、各人の1日の稼働率も適切な値となるようにしていきたいです。
このように、今後もPDCAを回し続け、日々改善していくための道具として、『TECHS-S』に蓄積されるデータをどんどん活用していきたいです。
▼生産管理システムの業務範囲(フロー)イメージ
Case-04.[東京都] 株式会社三信精機 様
\\メークアップ用化粧品の製造装置分野トップシェア//
- 原価・粗利率の“見える化”から生まれた利益に対する意識
商 号 | 株式会社三信精機 |
所在地 | 東京都 |
設 立 | 1970年5月 |
資本金 | 2,000万円 |
事業内容 | 化粧品設備、医療機器の開発・製造・販売 |
ホームページ | https://www.sanshinseiki.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入前の課題 | ・Excel管理から脱却するために生産管理システムを検討 ・部品加工も行う自社に合致したシステムを探していた |
導入効果 改善内容 |
・業務の標準化で人的なミスや事務工数を削減(約63時間/月の事務工数削減に成功) ・進捗確認で「納期遅れ」「手配漏れ」がゼロに ・システム内での一元管理で情報の属人化を解消 ・案件単位、期間単位での原価管理で各部門で原価、工数を意識 |
【ご担当者様のコメント】
『TECHS-S』の導入で全社的に意識が変わった結果、実際の数字にも変化が現れました。営業部門が原価・利益を意識した価格提示を行い、設計・製造部門が原価を意識した仕事を行うようになったことで、粗利率が2倍に。今後もさらなる業務の効率化を進め、事務負荷の平準化を実現しようと考えています。そして、今後蓄積されていくデータを元に、自社の改善点を発見し、全社を挙げて改善を行い、より良い会社を目指したいです。
Case-05.[静岡県] 株式会社メイク 様
\\IE(IndustrialEngineering)に基づいた生産システムを提供//
- 原価情報の全社共有でコストダウン意識を向上、「利益が出る見積書」作成
商 号 | 株式会社メイク |
所在地 | 静岡県 |
設 立 | 1983年2月 |
資本金 | 2,000万円 |
事業内容 | 組立機・検査機・試験機・ロボットシステム等の開発製作(自動車・半導体・エレクトロニクス・食品関連) |
ホームページ | http://www.make-net.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入効果 改善内容 |
・最初の導入で事務処理工数の大幅削減(年間953時間の工数削減) ・導入2年でリピート品については材料費で15%、外注費で20%前後のコストダウンが実現 ・『日程計画』オプションの導入で複数拠点でもリアルタイムに日程・進捗情報が共有が可能に ・リアルタイムでの原価管理で、予算内に収まるよう、設計や購入、電装、外注費にいたるまで、細かい単位で取引先と価格交渉が可能に |
【ご担当者様のコメント】
『TECHS-S』のバージョンアップを機に、製造時の実行予算をより詳細な項目に分けて管理できるよう、運用の見直しも合わせて行いました。同時に詳細な原価分析を行って、原価管理の精度を以前よりさらに高めています。
その結果、蓄積された正確な原価情報をもとに、新規案件でも過去の類似案件の原価データを確認することで、かなり精度の高い原価積算が可能となり、確実に利益が出る見積書が作れるようになってきました。
「全ての情報をリアルタイムに共有・公開するためには、即時に登録することが重要です。日報は遅くとも翌朝までに登録しないと意味がありません。月末にまとめて登録するようでは、仕掛案件の予算・実績の状況が把握できず、早めのコストダウン対策が打てません。また、拠点が増えるほど、常に最新の情報共有が重要になります。情報を溜めてしまってはシステム活用の意味がまったく無いですよ。ぜひ、登録はリアルタイムに!」と力強く語ってくださいました。
Case-06.[神奈川県] 株式会社ハセテック 様
\\国内初の電気自動車用急速充電器を一般発売//
- 原価情報の全社共有でコストダウン意識を向上、「利益が出る見積書」作成
商 号 | 株式会社ハセテック |
所在地 | 神奈川県 |
設 立 | 1934年7月 |
資本金 | 2億5,000万円 |
事業内容 | 精密板金筐体等の設計製造、産業用電源機器の設計製造、産業用機器及び機械装置等の設計製造、電気自動車用急速充電器の設計製造販売他 |
ホームページ | https://www.hasetec.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入前の課題 | ・経理機能に重点が置かれたオフコンのシステムからの見直し ・細かな作業実績やリアルタイムでの原価確認、多数の部品や工程の管理といった、生産管理に必要な機能が不足 ・大半が受注生産で、常時1,000以上の案件をいかに効率よく手配し、製造するかが課題 |
導入効果 改善内容 |
・時間管理の徹底により短期間で稼働率改善を実現 ・システム内の数字を根拠に適切な時間管理をルール化し、適切な稼働率の実現で1年後には黒字部門に転換 ・原価の見える化により赤字案件を削減 |
【ご担当者様のコメント】
「生産管理システムの導入を機に、品番や工程の情報を整備しました。それにより、製品の構成部品や工程、納期、作業予定時間などが自動展開されるようになり、大変楽になりました。その一方、溶接工程だけでも月に3,000件近くあるため、手動での日程調整に限界を感じています。今後、さらに業務を早く効率的に行うためにも、専任者の配置や、自動スケジューラの導入なども検討しています。」とお話しくださいました。
Case-07.[千葉県] コトブキテクレックス株式会社 様
\\食品、バイオ、ケミカル、石油化学など化学プラント機器製作一筋//
- 問題の早期発見により、購買適正化、原価低減を実現
商 号 | コトブキテクレックス株式会社 |
所在地 | 千葉県 |
設 立 | 1948年4月 |
資本金 | 6,840万円 |
事業内容 | 食品、バイオ、石油・化学プラント向け圧力容器、サニタリー機器の設計、製作、据付、配管工事並びにメンテナンス工事 |
ホームページ | http://www.kotobuki-techrex.co.jp/ |
導入システム | 生産管理システム『TECHS-S』 |
導入前の課題 | ・オーダーメイドのシステムの老朽化や様々な課題から新しいシステム導入を検討 |
導入効果 改善内容 |
・拠点間の情報共有で、購買価格の地域差をなくし、購買の最適化と原価低減を実現 ・各拠点がシステムで1つに繋がったことで、過去データの参照や問題の早期発見・対策が可能に ・原価のリアルタイム見える化と 月に25時間以上の事務工数削減 ・Excelで1週間ほどかけて集計していた受注報告が5分に ・システムを共通言語に運用相談などで拠点間のコミュニケーション向上 ・過去原価を参照した見積や、仕掛段階から原価をリアルタイムに確認できることで原価意識も向上 |
【ご担当者様のコメント】
「EUC Toolを活用すれば、分析資料も時間をかけず作成できます。日々TECHSに蓄積されるデータを使い、仕入先別の部品単価の評価や、事業別・顧客別の売上分析、予定工数と実績の対比などを行おうとしています。今後の大きな変化も視野に入れ、データを積極的に分析・活用して、様々な環境に対応できるようにしていきます。」とお話しいただきました。