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MESとは?製造実行システムとしての機能や業務のIT化による改善例をご紹介!2021.09.08

MESとは、製造工程の情報を可視化し、製造現場の情報を把握しやすい環境を整え、作業者への指示や支援などを行う「製造実行システム」を意味します。IoT・AI・ITなどの活用や業務のデジタル化といった変革が中小製造業にも求められる中、注目を集めているMESについて、その機能や役割、ERPとの違いや改善例について紹介します。

 

【目次】

  1. 1. MES(製造実行システム)とは?
    • MES(製造実行システム)の概要
    • MESの業務範囲
  2. 2. MES管理はなぜ必要なのか?
    • 中小製造業が抱える課題とMES管理の必要性
    • 製造現場における管理フロー
    • MESの11の機能
  3. 3. MESとERPの違いとは?
    • ERP管理とMES管理の役割
    • MESと生産管理システム
  4. 4. MESシステム導入のメリットとは?
    • 製造コストの削減
    • 部門間の連携による効率化
    • 的確な生産計画による生産性の向上
    • スキルの可視化・業務の標準化
  5. 5. MESの最新動向や管理方法について
    • 業務のIT化による活用例
    • これからのMES

1. MES(製造実行システム)とは?

MES(製造実行システム)の概要

MESとは「Manufacturing Execution System」の略で、日本語で「製造実行システム」を意味します。生産管理システムの視点から見ると、MESは工程管理に近い位置づけであり、各製造工程と連携し効率よく製造することを目的とします。つまり、製造現場において業務の最適化と可視化に基づく改善活動を実現するために必要な管理とも言えます。

MESの業務範囲

MESは製造現場が業務範囲となる、実行向けのシステムです。工場設備や材料、加工工程などの進捗状態などをリアルタイムに把握し、作業スケジュールの立案や作業者への指示や支援を行います。いかに作業者の負荷を軽減し、工場を可視化するかなどが課題となり、システムの導入やハンディターミナル、タッチパネルなどの機器を活用した業務改善が必要となっています。

2. MES管理の必要性と製造業の抱える課題とは?

中小製造業が抱える課題とMES管理の必要性

冒頭にもあるように、日本のモノづくり企業は、DX推進やデジタル化など様々な変革が求められており、質の高さだけでは対応できない現状にあります。しかし、変革を行うにも、個別受注生産の製造業であれば、リピート品に比べ仕様や設計変更の頻度が多く、工程の予定が立てづらいなど、生産管理やシステム化に苦手意識のある企業も少なくはありません。また、人材不足や技術継承、ビジネスモデルの変革なども避けられない課題であり、MES管理による合理化の必要性も高まっています。
製造業において重要なのは、生産資源を有効活用し生産性の向上を実現することです。これを実現するためにも、生産工程ひとつひとつの作業に着目した現場視点での管理が必要であり、その中心的な役割を担うのがMES(製造実行システム)なのです。

参考:「ものづくり白書2021」(経済産業省)

製造現場における管理フロー

ここで、製造業における管理フローについて見てみます。製造業の生産管理は「計画層・実行層・制御層」に分かれます。MESが属するのが「実行層」になりますが、販売管理や会計処理を担う「計画層」と、機械設備などを管理する「制御層」を連携し、製造現場を動かすために必要な管理となります。MESは製造実行システムと呼ばれるように、製造現場の情報管理に特化し、コスト管理や工場や作業の可視化を図る為に必要です。

MESの11の機能

製造現場の実行管理として必要なMESについて、アメリカのMES推進団体であるMESAがMESの機能を11項目で定義しています。

【MESAModel】
01) 生産資源の配分と監視(Resource Allocation & Status)
製造現場の準備を整える機能として、生産資源の情報を把握し配分や監視といった管理があります。ここでの生産資源とは設備や工具、ヒトを意味し、生産活動を実行するために必要な資源となります。
02) 仕様・文書管理(Document Control)
仕様・文書管理とは、図面や作業指示書などを作成し、製造記録の管理を行う機能になります。製造工程で必要な書類が自社基準を遵守しているか、また、蓄積した書類を正しく管理できているか等も重要ですが、紙や手書きでの運用で事務工数がかかるといった課題もあります。
03) 作業のスケジューリング(Operations/Detailed Scheduling)
計画層で立てた生産計画を基に、詳細なスケジュールを立案する機能として、工程の流れや、設備、ヒトの割り付けなどを行います。案件に取り掛かるに前に作業のスケジューリングができているかを見ます。
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04) 差立・製造指示(Dispatching Production Units)
作業者に対して製造指示や仕様変更、仕掛品の管理といった情報を共有し、指示を行う機能です。工場内でホワイトボードを活用し、受注の案件単位や工程単位での情報共有を行う企業も多いですが、手書きなどのアナログな手法で情報の共有にタイムラグが生じるなど課題が多い部分もあります。
05) 作業者管理(Labor Management)
作業者管理とは、作業者の状況を把握し、負荷状況などを考慮した最適な割当を行う機能です。スケジューリングした計画情報や機械の負荷と合わせてリアルタイムでの情報共有が必要となります。
06) 工程(プロセス)管理(Process Management)
生産工程の状況を把握し、作業者の判断や意思決定だけでなく、異常時の対応を支援するための機能です。異常時に即座に対応ができるよう、アラートなどの通知機能で工程状況を常に把握する必要があります。
07) データ収集(Data Collection & Acquisition)
日報管理で実施している企業も多い部分ですが、各工程の進捗状況を把握するために、いつ・だれが・どの工程を実施したかといった情報を収集し、分析する機能です。この管理についても手書きなどの運用が残り、事務所と工場とでリアルタイムでの情報共有ができないといった課題も多い部分でもあります。
08) 製品の追跡と体系管理(Product Tracking & Genealogy)
加工途中の仕掛品の進捗確認(追跡)や製品履歴を管理する機能となります。実績から見た加工履歴だけでなく、後工程などの予定の把握も必要になります。
09) 実績分析(Performance Analysis)
作業日報や不良などの実績データを蓄積し、比較や分析を行う機能です。また、案件の進捗管理や出荷予測といった業務においても必要な機能になります。出荷を行ったら終了でなく、蓄積したデータを基に、原価分析や作業工数の標準化を行い、品質の維持にも役立てることも重要です。
10) 品質管理(Quality Management)
製品の品質管理を行う上で、検査業務の管理に必要な機能です。また、加工実績などのデータや不良などの過去情報を基に、データの収集や測定、分析を行い、適正な品質管理を行う上で必要になります。
11) 保守・保全管理(Maintenance Management)
設備などの定期メンテナンスや予防保全を行う機能です。設備や機械のメンテナンスを定期的に実行し、常に稼働できる状態を保つことで、意図しない設備の停止や不良の防止に繋がります。

参考:MESAModel

これらの11の機能すべてを満たす必要はありませんが、自社の仕組みを見直し、必要な情報管理のツールとしてMESの検討が必要です。工程進捗を確認するために工場を走り回るような不効率を避けるためにも、11の機能からMES管理について考えてみてはいかがでしょうか。

3. MESとERPの違いとは?

MESが製造実行システムの役割を担うのに対し、ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で経営資源の一元管理を行います。また、計画層で活用されるシステムがERP、実行層ではMESとなります。

ERP管理とMES管理の役割
ERP管理
主な管理機能として、販売管理や購買管理、原価管理、会計処理といった複数部門の業務を実行し、受注から出荷までの大日程といった生産計画を行います。また、ERPは企業における「ヒト・モノ・お金・情報」といった経営資源を部門間で共有し、有効活用することで業務の効率化や利益最大化を目指します。
MES管理
製造現場主体で、QCD活動の管理や拠点や工程間の標準化活動を推進する管理となり、11の管理機能を行います。ERPとの連携部分を見てみると、ERPより案件情報などの作業指示を受け、MESで収集した実績データをERPの管理側へ受け渡す流れになります。
MESと生産管理システムについて

ERPのシステム化によって生産管理を実行することができますが、MES管理で必要な機能が含まれるかといった点も重要なポイントとなります。生産管理システムの導入を行うのであれば、部門間の連携を円滑に行い、情報の一元化が実現できるのかなど、ERPとMESの管理層をよく理解し、自社の業務範囲を見極める必要があります。

 

4. MESシステム導入のメリットとは?

MES管理のシステム化やAI・IoTの活用することで、工場内の設備や各工程の情報を収集し、リアルタイムで社内共有を行うことができます。作業者の経験に頼る曖昧な工場管理から、目で見る「情報」を資産として活用することで改善できる課題や導入のメリットについてご紹介します。

製造コストの削減

MESは製造現場視点で作業状況や在庫といった各工程の状況をリアルタイムで把握することができます。また、正確な進捗状況とスケジューリングで後工程の予測を行うことで、工場内の「ムダ」を削減し効率化を行います。例えば、設備の稼働時間を集計し、稼働・非稼働の状況を把握することで、設備トラブルへの迅速な対応や段取りの効率化を図ります。MESシステムで可視化することで、見過ごしがちだった「ムリ・ムダ・ムラ」を改善し、コスト削減へと繋がります。

部門間の連携

製造業における悩みの一つが、事務所と工場との情報連携ではないでしょうか。MESやERPを活用することで、システムという同じ環境下でより正確な情報の共有を行うことができます。事務所と工場、各拠点といった離れた環境でも情報がリアルタイムに共有できれば、各工程間の連携や生産計画などの判断を迅速かつ効率的に実行できます。また、同じシステム下であれば、仕様変更などが生じた場合の、部門間の伝達・指示の転記・作業者への展開といった間接工数もシステムの連携により削減することもできます。

的確な生産計画による生産性向上

リアルタイムでの工程進捗や設備状況を把握できるため、製造現場の「今」の情報を知ることができます。設備の負荷状況や納期管理をシステム化することで、限られた生産資源を状況に応じて最適化し、徹底したコスト管理と業務の効率化より生産性の向上を図ります。また、蓄積したプロセスや加工実績などのデータを比較・分析することで、不良発生の防止や品質を保ち、製品のばらつきを抑える仕組み作りにも繋がります。

スキルの可視化・業務の標準化

製造業の大きな課題の一つが、少子高齢化による人手不足や技術継承になります。質の高い日本のモノづくりを支えるのも熟練技術者ですが、従来のやり方では、技術の属人化や若手育成の長期化などの状況は改善されません。
そこで、デジタル化やMESに蓄積した情報を活用することで、熟練技術者のノウハウをデータとし、工場全体で共有することができます。例えば、作業実績や工程進捗の情報から作業手順や方法、注意点などをシステム共有することで、リピート品や類似品製作時の参考にもなります。また、ネットワークカメラなどを利用し、技術を動画で保存することで、いつでも共有でき、マニュアル化することも可能となります。

5. MESの最新動向や管理方法について

IoT・AI・ITなどの活用やDX推進といった変革が中小製造業にも求められる中、MESの役割や工場の効率化が重視されています。そこで、弊社のIoTソリューションを例に、MES管理の改善についてご紹介します。

AI画像認識を用いた設備の稼働監視と実績収集『A-Eyeカメラ』

設備に積層信号灯がついていれば、ネットワークカメラを設置するだけで、設備の新旧関係なく稼働監視ができ、AIで判別した稼働状況をあんどん表示で共有します。自動運転の設備が停止した際にもアラート通知機能で迅速な対応ができ、管理する台数が多いほど停止ロスを防ぐツールとしても活用できます。また、WEB上で稼働推移グラフや時間別の稼働率などをいつでもどこでも共有でき、工場の見える化を実現します。

製品詳細・導入事例は<こちら

ビーコン連携を活用した位置×追跡システム『Ez-Bee』


ビーコンカード取り付けた作業指示書や図面を、専用BOX(ExBeacon設置)へ出し入れするだけで作業実績や日報情報をIoTで簡単に収集するシステムです。工程の着手・完了を自動で認識するだけでなく、日報などの作業者への負担を軽減します。また、ビーコンカードが工場内に設置されたEXBeaconと通信することで、工程の進捗状況だけでなく、ヒトやモノの位置をクラウド上で共有し、工場の見える化を実現します。

製品詳細は<こちら

これからのMES

モノづくりの中核を担うMES管理ですが、生産管理の一部にすぎません。ERP等の他システムとの連携することで経営と製造現場を繋ぐ仕組みを作り、「計画」と「実績」を企業全体で把握し、モノづくりのPDCAを回すことで生産性の向上が実現します。デジタル化が進む中これまでのやり方を変える取組は、現状維持の姿勢から脱却し企業の生産性向上を目指す上では必要な判断とも言えます。企業として更なる成長に繋げるためにも、自社のあるべき姿の構築や、抱える課題の洗い出しから始め、製造現場の改善に着手することをお勧めいたします。