導入の
お問い合わせ
058-206-2316

受付時間 8:30~17:30

データに基づく経営で組織を変革 ~IT経営コンサルティングで実現した意識改革と収益改善~

株式会社加古川製作所 様
「現場の様子」 
(左)専務取締役 岡田 陽平 様、(右)総務経理部 部長 菅野 愛 様

製缶から試運転まで一貫製造体制を誇る株式会社加古川製作所。創業以来培った高度な技術力で大手企業からの信頼を獲得してきた同社が、次世代を見据えた経営改革に取り組みました。テクノアのIT経営コンサルティングを活用し、TECHS-Sの利活用度向上により個別原価の正確な把握を実現。その結果、従業員の意識改革と収益改善を同時に達成しました。

【今回お話を伺った方】
専務取締役 岡田 陽平 様
総務経理部 部長 菅野 愛 様


           
株式会社加古川製作所
CLIENT PROFILE
商 号株式会社加古川製作所
所在地兵庫県加古川市
設 立1964年5月
資本金30,000,000円
従業員数31名
事業内容製鉄関連及び産業機械の製缶機械加工、仕上組立、検査試運転
ホームページhttps://ksi-web.com/

技術力への自信と次世代を見据えた課題

岡田専務:弊社は製缶、機械加工、組立、配管、配線、試運転までを一貫製造できる体制を有しており、小ロット、多品目の製品に柔軟に対応できる点が大きな強みです。創業以来、大手メーカーと共に歩んできた技術力は、現在では大手企業から製作方法を相談されるほどの信頼を得ています。しかし、次世代を見据えた課題も見えていました。
TECHSは10年以上前から利用しており、日報入力や仕入れの入力はしっかりと行っていました。各工事の原価はおおよそ把握できており、経営としては成り立っていました。しかし、減価償却費や修繕費、販売管理費などを考慮した利益が正確に算出されておらず、大まかな数値にとどまっていました。せっかく入力した情報があっても、原価チャージが不正確であるため、見積書に正しく反映されず、目標が曖昧になっていました。
次世代のことを考えると、感覚ではなく確実に利益を確保できる見積もりを誰もが作成できるようにしたいと考えています。また、従業員が自分の携わった工事の成果を見える化することで、やる気とコスト意識の向上につながる好循環を生み出したいと考えています。この想いから、IT経営コンサルティングの導入を決断しました。

現場の様子

現場の様子

財務分析による課題の明確化と従業員の理解促進

菅野部長:テクノアのコンサルタントは、まず加古川製作所の財務状況を詳細に分析し、課題を明確化しました。データに基づく原価計算を実施し、損益分岐点分析などを用いて、適切な売上目標を算出してもらいました。この分析により、時間チャージの計算方法を抜本的に見直すことができました。
さらに、管理者の意識を高めるため、各部門の担当者が集まり、原価削減のアイデアを出し合う原価会議を定期的に開催することを勧められ、毎年見直す原価チャージの計算方法も勉強しました。しかし、改革の道のりは平坦ではありませんでした。

岡田専務:日報の提出率がほぼ100%で、仕入金額の照合もしっかり行われていました。しかし、TECHSに入力されているデータの正確性が十分信頼されておらず、原価チャージを算出しても間違っていると指摘されることが多く、新しいチャージの仕組みがなかなか浸透しませんでした。

菅野部長:社員が原価について正しく認識すれば理解してもらえると考え、コンサルタントの方と協力しながら、丁寧な説明と教育を続けました。特に、原価チャージ金額と見積金額の違いについての理解を得ることに苦労しました。私自身も理解できていない部分が多く、常に学びながら進める必要がありました。

事務所でTECHSを入力している様子

事務所でTECHSを入力している様子

原価会議の定着が生んだ好循環と組織文化の変化

粘り強い取り組みの結果、原価会議の実施が定着すると、目に見える変化が現れ始めました。

菅野部長:原価会議が定着してから、毎回議題に上がる利益率の低い案件の数が少しずつ減ってきました。つまり、利益が確保できる案件が増え、内容が改善されてきています。実際の原価を一覧化し、見える化したデータを元に全員で検証できるようになりました。これにより、管理者が原価について意識を持つようになり、一般の従業員もコストに対する意識を持ち始めています。TECHSの正しい原価という同じ指標を用いて判断できるようになったため、管理側は説得力ある話ができ、製造側も納得に至るまでスムーズになりました。
また、入力ミスなどが原因で赤字と判断されていた案件も会議を通じてミスを発見し修正できるようになったため、TECHSへのデータ入力の精度が向上しました。こうした改善により、現在良いサイクルが生まれつつあると実感しています。最も印象的な変化は、従業員の意識にありました。
分かりやすい大きな変化として、今まではできなかった理由について不満の声が多かったのに対し、こうすればもっと良くなるというような建設的で前向きな意見が出てくるようになったことです。会社にいい風が吹き始めたという実感があります

原価会議

原価会議の様子

継続的改善と外部コンサルティングへの期待

岡田専務:今後も毎月の原価会議を継続し、全員が数字を意識できる土台を築くことで、現場に根差した改善と利益体質のさらなる強化を図っていきたいと考えています。原価チャージの算出についても毎年見直しを行い、誰もが見える数値となるよう、数字を基に判断し、行動できる仕組みづくりを進めてまいります。
テクノアのIT経営コンサルティングには、今後も外部からの客観的な視点によるアドバイスや、他社の先進的な取り組みの紹介を通じて、社内に新たな気づきや学びをもたらすことを期待しています。私たち自身では見落としがちな、もったいないや伸びしろを見つける力を今後もお借りしたいと考えています。

魅力ある製造業の職場を目指して

岡田専務:将来的には、無駄を省き、従業員がものづくりに集中できる環境を整え、各自が技術を磨きながら、やりがいを持って働ける会社を目指しています。努力の成果をしっかりと利益として生み出し、それを社員に還元できる健全で持続可能なものづくり企業を実現したいと考えています。
納期管理の精度向上により、工程全体にゆとりが生まれ、ミスの削減や品質向上にもつながっています。今後はこの取り組みをさらに進化させ、誰が見ても魅力的な製造業の職場を実現したいと考えています。地域の若い世代にとって、ものづくりの現場が希望のある職場だと思ってもらえるような会社にしていきたいです。5年後には毎年安定して利益目標を達成できる体制の確立も目指しています。

 

株式会社加古川製作所様の取り組みは、IT活用による経営改革の成功事例として注目に値します。技術力を持つ企業であっても、データに基づく正確な原価管理と従業員の意識改革が組み合わさることで、より大きな成果を生み出すことができることを実証しています。何より、数値管理が目的ではなく、より良い職場環境と持続可能な企業経営を実現するための手段として活用されている点が、この取り組みの真価と言えるでしょう。

導入製品・サービス

*/