本当に役に立つ日報とは?
皆さんの会社では日報が有効活用されていますか?
ほとんどの製造業の現場担当者は、日報を書かれていると思います。
しかし、残念ながらその日報を有効活用できている会社は多くないと
私は感じています。
今回は、毎日当たり前に書いている日報の役割と、
見直しポイントについてご説明します。
1.日報の種類と役割について
ひとことで日報といっても色々な形式がありますが、
代表的なものとして下記の2つがあります。
①作業日報
作業者ごとの一日の作業内容を記録するものです。
②作業指示書
加工品ごとの工程の進行表です。加工品と一緒に加工現場を回ります。
本コラムでは主に①作業日報について解説していきます。
◆そもそも一般的な日報の役割は?
製造業における日報は、その日の成果を上長・会社へ報告する報告書です。
日報には以下の3つの役割があります。
・原価管理…日報の時間から製造原価の労務費を計上します。
・工程管理…実績が予定通りかどうか、進捗を把握し、工程管理を行います。
・実績参照…過去の日報から当時の作業者を確認したり、加工時間などの実績情報を参照し活用します。
その役割を果たすために、皆さんの会社の日報にはどんな記載項目がありますか?
もちろん、部品加工・組立・設計・検査など担当している仕事内容によって違うと思いますが、
概ね下記の項目が一般的だと思います。
[日報記載項目]
1.作業者名 2.日付 3.時間(開始~終了) 4.製番・製品 5.作業内容(工程) 6.実績(完成数量)
実際にお客様先で見る日報には、上記の記載項目以外も多くありますが、
日報としての役割を果たす最少限の項目は、上記の6つです。
これを生産管理システムに登録することで一元化され、
原価管理・工程管理・実績参照 の役割を果たすことになります。
◆あなたの会社にとっての日報の役割は?
ここからは、それぞれの会社ごとの日報についてです。
私が見てきた限り、日報のフォーマットは会社によってかなり違います。
業種・作業内容などの特性と、日報を受けとる側(上長)の思いが、
日報のフォーマットにあらわれます。
会社が意図する日報の役割が果たされていれば、特に何が正解というのはありませんが、
項目が多く、記載にかかる時間とその効果が見合っていない場合には、改善が必要です。
よくある日報の記載例をいくつか挙げてみます。
・所感
一日の気づきや反省点などを自由に記載させて、
担当者の振り返りを促すとともに、上長が状況を把握する。
・使用設備・治具・注意点
発生した問題や使用した治具など、次回の作業時に活用できる情報を記載する。
・予定/実績欄
翌日の予定を記入し、目標を決めさせる。
それに対して実績を入れることで、計画性を高めさせる。
・勤務時間
勤怠時間の報告書を兼ねるため、残業時間などを記載する。
あれこれやりたいと内容を複雑にすると、記載する側はうんざりしてしまいます。
活用したい範囲と、記載のしやすさとの折り合いをつける工夫が重要です。
2.日報運用で最も重要なこと
では、日報の役割を果たす上で最も重要なことはなんでしょうか?
日報に記載された工数を元に加工費の原価を計上したり、
前回作業時の注意点を参考にしながら加工作業を行えるよう
日報の運用を行っているつもりが、不正確な日報を参考にして、
かえって非効率になってしまうことあります。
そして、そういったことが多ければ、誰もその日報を必要としなくなります。
つまり、日報は正確でなければ意味がないんですね。
したがって、日報運用の重要ポイントは「正確性の確保」です。
3.日報運用の見直しポイント
当たり前に運用している日報ですが、この機会に見直してみませんか?
下記の点について、貴社の日報運用のチェックをしてみてください。
【日報フォーマット改善】
□使われていない項目はありませんか?
⇒不要なものは削除する
□人によって記載内容が異なる項目はありませんか?
⇒書き方が統一されるように改善する
□記載時間が短縮できる工夫がされていますか?
⇒あらかじめ項目を記載しておき[レ点]や[〇]で記載できるようにするなど
【運用ルール改善】
□日報の正確性はチェックされていますか?
⇒記載漏れや間違いを防ぐため、勤務時間と日報の差異をチェックします。
□工数以外の情報はデータベース化していますか?
⇒工数以外に活用できる日報情報をデータベース化し、
必要なときに活用できる状態にしておく。
□日報工数/労務費をそのまま評価に使ってませんか?
⇒日報工数/労務費を元に個人の評価を行っている場合は、
作業者が自分の評価を良く見せるため、
本来の工数とは異なる工数を記載してしまうことがあります。
正確性が損なわれる可能性があるため、注意が必要です。
□日報の見える化は行えてますか?
⇒せっかく書いた日報が「活用されている」ことが見えなければ、
作業者は正確に日報を記載する気になりません。
月別担当者別工数や加工実績などをグラフにするなど、
「活用されている」ことを見える化します。
正確な日報は、地道な躾(しつけ)の賜物です。
この躾が行き届いた工場は、その正確なデータを元に効率的な生産活動を行えます。
ぜひ、皆さんの工場でも日報改善にチャレンジしてみてください。