Excelで生産計画表を作ってみた!現場の悩みを解決する入門ガイド

著者:ものづくりコラム運営 Excelで生産計画表を作ってみた!現場の悩みを解決する入門ガイド        
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「納期に間に合うか不安」「チームで進捗状況を共有したいけど、方法がわからない…」
製造業の現場では、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?そんな悩みを解決するのが、生産計画表や工程表でおなじみの「ガントチャート」です。
ガントチャートは、プロジェクトのスケジュールを視覚的に管理できる便利なツール。Excelを使えば、専門知識がなくても簡単に作成できます。この記事では、Excelでのガントチャート作成方法や、作成時の注意点などをご紹介します。システム導入の前に、まずはExcelで作成してみましょう!

1.ガントチャートとは?

ガントチャートの基本的な仕組み

ガントチャートは、縦軸に「作業項目」や「担当者」、横軸に「日付」や「期間」を配置した表のことです。棒状のバーで期間を表すため、どの作業がいつからいつまで行われているのか、直感的に見て取ることができます。
【ガントチャートを使用するメリット】
・進捗状況の把握: プロジェクト全体の進捗状況を簡単に把握できます。
・作業の遅延防止: 遅延が発生しそうな作業を事前に把握し、対策を講じることができます。
・チームでの情報共有: チーム全体でスケジュールを共有することで、連携をスムーズに行えます。
・納期意識の向上: スケジュールの可視化で、メンバーの納期に対する意識を高めることができます。
【製造業での活用例】
・少量多品種の生産管理において、複数の作業や工程を同時進行で管理しやすい
・納期や工程の進捗を全員で共有することで、早めの対策が可能になる
・一目で全体の流れが把握できるため、品質管理やコスト管理にも良い影響が期待できる

Excelでガントチャートを作成するメリット

ガントチャートを作成するツールは様々ありますが、中でもExcelは以下のようなメリットがあり、特におすすめです。

(1)専用ソフト不要で始めやすい
すでにExcelを使っているのであれば、そのままガントチャートを作成できます。新たな導入コストがかからない点が大きな魅力です。
(2)操作が簡単
Excelの基本操作を理解していれば、簡単に作成できます。
(3)他のデータと連携しやすい
表計算ソフトとして使われるExcelは、数式・関数・ピボットテーブルなどの機能を活用して、工数を自動計算したり、納期予測を算出したりといった柔軟な応用が可能です。
(3)社内共有や修正がしやすい
共同編集機能やクラウドフォルダを使えば、複数人で同時編集や最新情報の閲覧が可能です。共有Excelファイルを使ってリアルタイムに進捗を更新し、チーム全体で活動を把握しやすくなります。しかし、Excelの保存方法によっては、共同編集ができず、リアルタイムでの更新ができないといったデメリットも併せ持っているため、自社のExcelのバージョンや機能も事前に理解しておく必要があります。

 

2.Excelでガントチャートを作る手順

STEP1:必要な情報の整理

まずはスケジュールの全体像を把握するため、次のような情報を準備します。
(例)
・作業項目(工程名)
・案件番号
・図面番号(品名)
・得意先
・担当者
・開始日・終了日
・必要工数や作業期間
案件のリストとなるため、自社でどんな情報が必要なのか確認しましょう。

STEP2:基礎となる表の作成

(1)Excelを開き、縦方向に作業項目、横方向に日付または週番号を設定します。
(2)作業項目の数だけ行を追加し、開始日・終了日を入力する列を確保しましょう。
(3)日付の列は連続データで自動入力(オートフィル)すると効率的です。

Excel:基礎となる表の作成イメージ

STEP3:棒グラフの表示機能を使ったガントチャート化

Excelでガントチャートを作成する方法として、主に次の つの方法があります。

方法1:セルを選択し、テーマの色を選んで塗りつぶす
もっとも簡単な方法が、セルを一つずつ選択して「塗りつぶす」方法です。

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉セルの塗りつぶし

方法2:図形の挿入
矢印などの図形描画を挿入する方法も、よく見る手法です。図形の伸縮で期間調整をしたり、図形の色で区別するなど見やすいガントチャートを作成できます。一方で、ズレやちょっとした操作で動いてしまうデメリットもあるので、共同編集する際には注意が必要です。

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉図形の配置

方法3:条件付き書式を用いた方法
条件付き書式を活用することで、工程開始日や納期へ日付を入力するだけで、自動的にセルが塗りつぶされる方法です。条件付き書式の設定や、基本となる表への日付設定など難しい印象ですが、一度設定してしまえば更新しやすいExcelが出来上がるため、おすすめの方法です。

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉条件付き書式設定

方法4:関数を使用した記号の表示
横軸のカレンダーの日付が、固定列で入力した「工程開始日」や「納期」の日付と比較し、条件を満たした際に■や⇒といった文字列をセルに表示する関数を組む方法です。

=IF(AND(数式を入れるセル >= 開始日セル, 数式を入れるセル <= 終了日セル),”■などの記号”,””)
[例] =IF(AND(H$3>=$E5,H$3<=$F5),”■”,””)

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉関数を使った記号の配置

工程ごとに記号を分けるなど工夫してみるのもよいでしょう。ただし、きれいに塗りつぶされないため、記号(文字列)によっては見づらくなる可能性もあります。

その他にも、横棒(積み上げ横棒)などのグラフ挿入を使用するなど、様々な工夫ができます。次の第3章で実際の作成方法をご紹介します。

3.Excelでガントチャートを作ってみよう!

STEP1:基本となる表の作成(固定列と横軸)

作業の進捗管理を行う上で必要な情報を「固定列」に、さらに、「横軸」の日付は、曜日や休日は色で塗りつぶすなど表示を工夫することができます。

【チェックPoint】

  • ・[固定列] 案件情報の洗い出しと分類
  • ・[固定列] 工程などのタスクの割り当て
  • ・[固定列] 各工程(タスク)に開始日(着手予定日)と終了日を設定する
  • ・[横 軸] 横軸に日付や曜日を入れる
  • ・[横 軸] 土日祝日などの非稼働日をグレーアウトする(任意)
  • ・[ガントチャート]開始日と終了日に基づいてガントチャートのバーを描く

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉基本となる項目の確認

【サンプル画像の設定Point💡】
■曜日の表示:関数
①日付の設定:
サンプル画像では「1」「2」「3」…「31」と日付だけの表示にしていますが、「2025/3/1」のように西暦込みの日付を入力しています。
セルに「2025/3/1」と入力後、セルの書式の設定を活用し「3/1(m/d)」や「1(d)」のように、見やすい形式で設定しましょう。

〈Excel:ガントチャート作成イメージ〉セルを選択&右クリック⇒「セルの書式設定」

②曜日の設定:
今回は、「TEXT関数」を用いて曜日を表示する設定を行いました。

=TEXT(日付のセル,”aaa”) /   [例] =TEXT(H3,”aaa”)

サンプル画像では、H3のセルに日付、下の行(H4)に曜日を表示させたいため、TEXT関数を使用しています。その他の曜日の表示方法については、関連コラムをご覧ください。

【関連コラム】曜日の表示方法を見る

■非稼働日(土日)のグレーアウト設定:条件付き書式
今回のガントチャートは、土曜日が稼働日の可能性がある製造業で活用する想定としているため、あえて曜日を指定して色をつける「条件付き書式」で設定します。土曜日が稼働日と非稼働日で混ざる場合は、お休みの曜日を「休」とするなど表現の工夫をしてみましょう。

【設定手順】
▢非稼働日に色を付けたい領域をマウス操作で範囲指定する
 ※ここで範囲指定した領域が、適用先として反映されます(適用先例:=$H$5:$BS$18)
▢ツールバー「ホーム」内の「条件付き書式」より、
 [新しいルール]または[ルールの管理]より設定ウィンドウを立ち上げる
▢[►数式を使用して、書式設定するセルを決定]を選択し、入力欄に数式を入力
 例)=H$4=”土”
▢右下の「書式」ボタンより塗りつぶしの色や文字色を設定し、OKボタン押下後に反映

 

STEP2:条件付き書式を用いた方法でガントチャートを作成

では、本題の「条件付き書式」を活用したガントチャートの作成方法を見ていきます。ぜひ、Excel で試しながらご確認ください。
STEP1で使用した、非稼働日(土日)をグレーアウトする設定の応用編のイメージとなります。

【設定手順】日付から反映するガントチャートの作成
① 固定列にガントチャートの開始と終わりの基準となる、「開始日(着手予定日)」や「納期」の項目が配置されていることを確認

② ガントチャートを表示(色付け)したい領域をマウス操作で範囲指定する
※ここで範囲指定した領域が、適用先として反映されます(適用先例:=$H$5:$BS$18)

③ ツールバー「ホーム」内の「条件付き書式」より、
 [新しいルール]または[ルールの管理]より設定ウィンドウを立ち上げる

④ [►数式を使用して、書式設定するセルを決定]を選択し、入力欄に数式を入力

 関数例)=AND(基準となる日)>=開始日,ベース日<=終了日)
 入力例)=AND(H$3>=$E5,H$3<=$F5)
 ——-
 ※基準となる日=H3(カレンダの日付)
 ※開始日=E5(サンプルの「着手日」)
 ※終了日=F5(サンプルの「納期」)

⑤ 右下の「書式」ボタンより塗りつぶしの色や文字色を設定し、OKボタン押下後に反映

上記手順を動画でも見てみましょう。

今回の作成イメージは、シンプルな内容で作成してみました。
さらに応用編として、工程ごとに色を変えたり、重要度やタスクステータスを区別したりすると、視認性が上がります。また、日付表示のフォーマットを調整し、月初めや週初めが見やすいようにする工夫もおすすめです。
まずは、自社でどんな情報が必要なのか、タスクとしての工程は、大日程でいいのか、細かい加工内容まで記載した小日程がいいのかなど、必要な材料をまとめた上で作成してみましょう。

4.よくある疑問と解決策

Excelでの作成は気軽に始められる分、設定が複雑になるとメンテナンスに負担がかかるなど不安要素も少なくはありません。ここで、よく耳にする疑問点と解決策をご紹介します。

【Q1】新しい作業項目が増えたり変更があった場合はどうすればいいですか?
【A1】Excelなら行の追加や編集が手軽にできます。ガントチャートで使用している数式・条件付き書式も連動させておけば、自動更新がスムーズに行えます。
【Q2】高度な分析やカレンダー連携は可能ですか?
【A2】条件付き書式とグラフ機能を組み合わせれば、実績対比グラフやリソース負荷の可視化も可能です。さらに、スクリプトやプラグインなどを活用すると、カレンダー連携も実現できます。
【Q3】セキュリティや共同編集の面は大丈夫でしょうか?
【A3】クラウドのアクセス管理やパスワード保護、シェアポイントなどの共同編集機能を使えば、必要最小限の方だけが編集できるように設定できます。社外との共有もリンクの発行や閲覧制限機能を細かく調整することで安全に利用できます。

 

5.まとめ

Excelを使ったガントチャートは、特別なソフトを導入する必要がなく、手軽に工程管理を始められる方法です。作業項目ごとの進捗が可視化できるため、時間や納期をより正確に管理でき、問題点が見つかった場合は速やかに対策しやすくなります。DX推進の一環で、生産スケジューラの導入を検討している場合でも、「自社ではどんなガントチャートが適しているのか」など見極めるために、まずはExcelから始めてみるのもよいかもしれません。
また、Excelには柔軟性があり、工程管理に必要なさまざまなデータと連携しながら自由にカスタマイズできる点も大きなメリットです。製造業のみならず幅広い業種で活用できるこの手法を、ぜひスケジュール管理に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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