レガシーシステムとは?原因や問題点、脱却するための対策

著者:ものづくりコラム運営 レガシーシステムとは?原因や問題点、脱却するための対策        
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現代のビジネス環境では、急速に進化するIT技術の波に乗ることが企業の競争力を左右します。その一方で、古い技術を使用した業務システムは、依然として多くの企業でレガシーシステムとして稼働しており、それが成長の足かせとなっています。
本コラムでは、レガシーシステムがなぜ生まれるのか、その問題点は何か、そしてどのようにしてこの問題を解決し、最新のIT技術を取り入れるかについて詳しく解説します。

1.レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、古い技術で構築されているシステムのことです。過去の技術や仕組みで構築されているため、柔軟性や機動性に欠けており、運用コストが高いという課題があります。また、新しいシステムとの互換性がない場合も多いことから、データ移行やクラウド化が困難であり、DXを推進する際に新しい技術を適用しにくいのが現状です。
レガシー(legacy)には、「遺産、遺物」などの意味がありますが、コンピュータ用語では「古びて時代に合わなくなった」というマイナスの意味で用いられます。レガシーシステムは、2000年頃まで主流だったシステムを指すことが多く、主にオフコン(オフィスコンピューター)やメインフレーム(汎用機)が挙げられます。
また、JavaやC言語などのオープン系プログラミング言語で開発されたシステムであっても、システム基盤の実装から時間が経過している場合や、古いバージョンのExcelマクロやAccessを用いて社内で独自に作成されたシステムも、レガシーシステムと呼ばれることがあります。

2.レガシーシステム化の原因

では、なぜシステムはレガシー化してしまうのでしょうか。その原因について見ていきましょう。

システムの運用体制が整っていない

まず、システムの運用体制が整っていないことが要因として挙げられます。自社で独自に開発した基幹システムをそのまま使い続けた場合、現行システムの仕様の詳細を理解している従業員が限られていると、開発担当者の退職や部署変更などによってシステムのノウハウが失われるケースがあります。
システム運用の担当者が属人化している状況では、全体像を把握できる人材がいなくなるとシステムがブラックボックス化してしまいます。その結果、誰も正しい仕様がわからないレガシーシステムが蓄積されてしまうのです。

部分的に最適化を行ってきた

規模の大きな企業の場合、部分的に最適化を図るケースがあります。例えば、部門ごとに発生した要件に応じて機能追加を行うなど、段階的にシステム修正を実施する場合がありますが、その際に問題となるのはシステムの複雑化です。部分的に機能追加や修正を繰り返し、システムが複雑化すると、不具合が発生した際に、問題の特定や修正に時間がかかってしまうこともあり、運用コスト増の要因にもなります。
このように、部分的に最適化するとシステムが複雑になり新たなシステムへの刷新が難しくなり、よりレガシーシステムから抜け出せなくなる原因となるのです。

システム開発を外部に委託してきた

長期にわたってシステム開発を外部に委託してきた場合も、システムがレガシー化してしまうことがあります。システム開発を外部に依存すると、システムについて深く理解する人材が社内に生まれず、結果的に、適切なシステム運用が困難となります。

3.レガシーシステム化が引き起こす問題

では、レガシーシステムは実際にどのような問題を引き起こすでしょうか。

業務効率が下がる

新しいシステムに比べて、レガシーシステムは複雑な操作手順や非効率な処理がどうしても多くなってしまいます。これは、古い技術や設計に基づいて構築されているため、最新の技術やユーザーインターフェースの進化に追随できていないことが一因です。このようなレガシーシステムの課題は、システムの運用コストを肥大化させると同時に、業務効率が下がり生産性を損なう可能性があります。

運用や保守にコストがかさむ

老朽化したシステムは新しいシステムよりもメンテナンス費用がかかります。オフコンやメインフレームを構築しているプログラミング言語スキルのニーズは日々減少しており、それらの古い言語やフレームワークでシステム基盤が構築されていると、システム開発会社で技術者を確保するのが困難になります。また、老朽化したハードウェアの維持や更新が必要となることもあります。ハードウェアが老朽化すると、不具合の発生頻度も高くなり、修理やメンテナンスの回数が増えてしまいます。その結果、改修費や人件費、保守費用などのコストが増大してしまうのです。

システム障害やサイバー攻撃のリスクがある

さらに、セキュリティリスクも大きな問題となります。レガシーシステムは最新のセキュリティ基準に適合していない場合が多く、サイバー攻撃の標的となりやすいです。セキュリティホールが放置されることで、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まり、情報漏えいやサービス停止を引き起こす可能性があります。また、システム障害が発生すると企業の信用が下がったり風評被害を受けたりする恐れがあります。

市場変化への対応が難しくなる

レガシーシステムは、新しい技術との互換性が低いという問題を抱えています。これは、古い技術や設計に基づいて構築されたシステムが、最新の技術やプラットフォームと容易に統合できないためです。新しいソフトウェアやハードウェアが導入された場合でも、レガシーシステムとの互換性が低いため、システム刷新やデータ移行が困難となります。市場が変化するスピードは速く、新しい技術や製品が次々と生まれるため、企業は最新の技術を活用する機会を失い、企業間競争において取り残されてしまう可能性が高まるのです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)実現の妨げになる

DXとは企業がデジタル技術を活用して業務プロセスや経営戦略、商材、顧客体験などを変革させることですが、レガシーシステムを刷新しないとDXの実現が困難になります。レガシーシステムに採用されている技術は古く、新しいデジタルテクノロジーと規格が合わないため、データの統合をするためのバッチ処理が必要になるなど、システム間の連携が難しいことがあります。これにより、データの一元管理やリアルタイムでの情報共有が困難となり、業務効率の低下や意思決定の遅れが生じることがあります。

4.レガシーシステムから脱却する方法

ここでは、レガシーシステムから脱却するための手法をいくつか紹介します。

レガシーモダナイゼーション

レガシーモダナイゼーションとは既存システムを活用しながら最新の技術で刷新する手法です。古くなったハードウェアやソフトウェアなどのIT資産を最新の製品や設計に置き換える手法で、それぞれに特徴があります。ここでは、4つの代表的な手法についてご紹介します。

 

リホスト
アプリケーションやミドルウェアなどの設定は変更せず、ハードウェアやプラットフォームなどのインフラのみを新しくする手法です。しかしこのアプローチは、業務プロセスを変えずに、過去のシステムを継続利用することになるため、最新システムとの連携が難しくなるというデメリットがあります。そのため、連携不要な独立したシステムの場合に有効な方法です。

 

リビルド
既存のレガシーシステムを根本から設計・構築する手法です。システムが非常に古く、修正や部分的な改善では対応しきれない場合に採用されます。レガシーシステムの要件を基本に、新しい技術やアーキテクチャを用いてシステム全体を再構築するアプローチです。

 

リライト
レガシーシステムのソースコードやアーキテクチャを現代の技術に基づいて書き直す手法です。最新のプログラミング言語やフレームワーク、ライブラリを導入することにより、パフォーマンスの向上やセキュリティの強化が見込めます。

 

リプレース
既存のレガシーシステムを完全に新しいシステムに置き換える手法です。旧システムの技術的な限界や業務要件の変化に対応するため、改修や部分的な改善では解決できない場合にこのアプローチが採用されます。この場合、パッケージシステムなどの新しいシステムを導入し、レガシーシステムから乗り換える形になるため、自社の状況を見直し、新しいシステム要件を検討する必要があります。

 

レガシーマイグレーション

レガシーマイグレーションとは、既存のレガシーシステムを新しいレガシーシステムに移行することを指します。古いシステムの技術的限界や業務要件の変化に対応するために、システムやデータを新たな環境に移します。レガシーマイグレーションには以下のプロセスが含まれます。

 

アプリケーションの移行
従来のアプリケーションと同等の機能を持つ新しいアプリケーションに移行します。現行のプログラムを新しい環境に適した言語に書き換えたり、ソフトウェア自体を置き換えたりすることが含まれます。

 

データベースの移行
既存システムに蓄積されたデータベースを新しいアプリケーションで利用できるように移行します。移行の際に、データ構成の見直しや、データ形式の変換が必要となるケースもあります。

 

ストレージの移行
データが格納されているストレージを、新しいストレージに移行します。これには、オンプレミスからクラウドにストレージを移行する場合も含まれます。新しいストレージシステムは、より高速なデータアクセスと処理能力を提供し、全体的なシステムパフォーマンスを向上させます。

 

BPM(ビジネスプロセス管理)の移行
BPM(ビジネスプロセス管理)とは、業務プロセスを整理・分析し、業務効率化を推進するための具体的な方法を検討し、実行することを指します。BPMの移行では、既存のレガシーシステム上で実行されているビジネスプロセスを、新しいシステム環境や最新のプラットフォームに移行します。現行のビジネスプロセスを詳細に分析し、最適化を図るため、業務効率の向上が見込めます。

5.レガシーシステムを脱却し最新のシステムを活用しましょう

レガシーシステムは、多くの企業で重要なビジネスプロセスを支えてきましたが、現代の技術進歩に対応しきれていません。その結果、業務の非効率やコスト増大の問題が生じています。これらの問題を解決するためには、システムのモダナイゼーションが不可欠です。企業はこの取り組みによって、競争力を高め、未来に向けた持続可能な成長を実現することが可能です。
IT技術の進歩により、AIやクラウドサービスなど、日々新しい技術を用いたシステムが登場しています。レガシーシステムからの脱却は、企業がこれらの新技術を利活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、避けては通れない課題です。社内の状況や業務内容を把握し、自社のニーズに合ったツールやシステムを活用しましょう。

テクノアでは、クラウド対応型生産管理システム『TECHSシリーズ』をはじめとする、中小製造業様向けのパッケージシステムをご提供しております。レガシーシステムからの脱却のために、パッケージシステムへの乗り換えも有効な方法の一つです。
既存システムからの乗り換えのご検討や、現行システムの運用課題など、ぜひ弊社にご相談ください。

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