個別原価データを使ってこんな分析をしてみよう!
著者:秋元 信吾(あきもと しんご)テクノア入社後、システム導入サポート業務を経て、現在はTECHSの設計開発を担当しています。
中小製造業様のお困りごとを解決するソリューションの創出に取り組んでいます。
2017.12.10
月刊 自動認識 特集「製造現場の業務改善」
製造現場の映像と生産管理を繋ぐ業務改善のIoTソリューション
https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=4220
皆様こんにちは。秋元 信吾です。
今回は個別原価計算とそのデータ分析手法についてご紹介したいと思います。
1.個別原価計算とは
まず個別原価計算についてのおさらいです。
個別原価計算は、受注案件別に原価を集計する計算方法です。
受注案件ごとの利益率がわかり、個別受注生産をしている場合によく使用されます。
過去の受注案件と類似の受注案件があった場合に、過去の原価を参考にして、見積を作成する時にも役立ちます。
個別原価計算で利益率がわかったら、次は分析が必要です。
見積通りの利益率となった場合も、そうでなかった場合も、なぜその結果になったのかを分析し、PDCAサイクルを回すことが大切です。
こちらについては、ITコーディネータコラム「原価管理は組織で」でも述べられている通り、購入する部材や工程ごとに、予定原価を設定しておくことで、それぞれの工程で原価低減の意識を持てるようになりますし、また予算超過を未然に防ぐことにもつながります。
案件が終わってから原価計算するのでなく、仕掛中に予定-実績比較を定期的に行い、着実に利益がでるようにしていきましょう。
2.個別原価データの分析手法
さて、個別原価計算では、計算に使用したデータを元に、一つの案件の原価の内訳を掘り下げて、各工程や部材単位で分析し、改善していくというアプローチもありますが、別のアプローチもあります。
様々な受注案件の個別原価データが集まったら、次のようなグラフを作成してみましょう。
縦軸が粗利率、横軸が売上金額の散布図です。
さて、このグラフを受注案件の平均(あるいは目標)の粗利率、受注金額で分割してみましょう。
この4つの領域は、利益の確保のしやすさという点で考えると、それぞれ以下のように特徴づけられます。
右上…粗利率も売上金額も高い
優良な案件
右下…粗利率は低いが売上金額は高い
原価低減の効果が大きい案件
左上…粗利率は高いが売上金額は低い
同種の受注案件を増やすことで利益拡大が期待できる案件
左下…粗利率も売上金額も低い
積極的には受注しない等の対策が必要な案件
表示している散布図は、受注案件ごとにデータ点をプロットしていますが、これを例えば、得意先別や、製品の分類別にプロットすることで得意先ごと、製品の分類ごとに原価・取引量についての課題が見えてきます。
「この製品群は原価低減の効果が高い」「あの得意先との取引をもっと増やそう」等々、戦略立案に使用していただければと思います。
このグラフ機能は弊社製品TECHSでも最新バージョン(TECHS-S Ver.6.5 SP3以降、TECHS-BK Ver.3.5 SP2以降)にてご利用いただけます。
個別原価の集計、グラフの作成等の手間を減らし、簡単にグラフの確認ができます。
また、グラフから単一案件の個別原価の詳細画面にジャンプする、といった分析しやすい機能も取り入れていますのでお勧めです。
ご興味があれば是非、お問合せください。