第43回「IT導入プロジェクトを成功させるコツ」
著者:佐々木 靜(ささき しずか)
こんにちは。株式会社テクノアの佐々木です。
私は入社してから7年間、生産管理ソフトTECHSの導入を支援するインストラクターを務めておりました。
50社以上のTECHS導入の現場を支援してきましたが、中には、「社運を賭けTECHSを導入するぞ!」という経営層の熱い想いで始まったIT導入プロジェクトであっても、いざ現場に行ってみると、思うように進まず、このままでは頓挫してしまうのでは?と、はらはらしたこともあります。
今回は、多くのIT導入プロジェクトの現場を見てきた私が最も大切と考える、「IT導入プロジェクトを成功させるコツ」をお伝えしたいと思います。
1.IT導入プロジェクトの現場で感じる課題
経営層にとっては社運を賭けたプロジェクトであっても、いざ実務者の方とお話をしてみると、残念ながら導入目的が理解できていないと感じることがあります。
「会社が導入を決めたから。」「なんでこれをやらなきゃいけないの?」と言われることもあります。
導入目的を理解せず他人事のままシステムの操作練習だけ始めると、慣れた今までの運用を変えることに意味を見出せなかったり、既存システムと比較して細かな操作の違いが目につき不満ばかりが出て、導入プロジェクトの進捗を遅らせる要因となります。
2.デジタル化に向けた意識改革の必要性
前述の課題は決して実務者の方の意識の低さや、怠慢により生じるものではありません。
むしろ仕事に責任を持って取り組んでいるからこそ、やり方を変えることで今までと同じ成果が挙げられなくなるリスクを避けたい、という想いが強いのだと考えます。
この殻を破るためには、やはり会社全体で意識を変えていく必要があります。
中小企業白書によると、デジタル化推進に向けた課題として「アナログな文化・価値観が定着している」ことを挙げる企業が多くあります。
※図:「中小企業白書2021年度版」P224より抜粋
また、次の表からはデジタル化に取り組むことに対して積極的な文化が醸成されている企業は、そうでない企業と比べ「社内の各層にデジタル化の目的・目標などを丁寧に説明している」ことが大きな違いであるとわかります。
※図:「中小企業白書2021年度版」P232より抜粋
このことから、社内にデジタル化に取り組むことに対して積極的な文化を醸成するためには、目的・目標の丁寧な説明を実施することが効果的であると推察されます。
3.伝えることの大切さ
ポイントは「丁寧に」説明するという点です。
ともすれば「生産管理ソフトを入れたんだから、目的は明らか。」「今の会社の状況を見れば、何をするべきかみんな分かっているはず。」と考える経営層の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし多くの場合、それは「伝えたつもり」です。
そのような「伝えたつもり」に陥らないように、
・明文化する
・キックオフを行い宣言する
・相手の反応を確認する
ことがとても重要です。
IT導入の目的は経営課題の解決ですが、実務者の方は経営のプロではありません。
経営層の皆様が当たり前と思っていることこそ口に出し、相手の反応から理解度を測ってください。
理解が十分でないと感じた場合、かみ砕いた説明を何度でも丁寧に行ってください。
部門長に任せるのではなく、経営のプロであり自社の経営課題を最もよく理解する経営層が行うことに大きな意義があります。
TECHSの導入では、プロジェクト開始時に必ず社長に同席をいただき、従業員の皆様とキックオフを開催しています。その場で導入の目的や想いを社長から発信いただくことで皆が同じ方向を向き、スムーズな稼働に繋がります。
さらにプロジェクトの途中でも、中間報告会を開催し、方向性がずれていないかを確認します。
これらは、テクノアのインストラクターが開催を支援しています。
想いがあっても伝え方がわからない、という方は積極的に外部人材を活用してはいかがでしょうか。
テクノアは、4,000社以上の製造業様への生産管理システム「TECHSシリーズ」の導入、および運用・運用支援の実績があります。
どうぞお気軽にご相談ください。
入社から7年間、TECHSの運用指導を担当しておりました。
ユーザー様に様々なことを教えていただき、仕事の楽しさを実感。
このご恩を返すため、中小製造業様のお役に立つためには?と考え、中小企業診断士を志しました。
システムをきっかけに、現場と経営をつなぎ、中小製造業様にもっと元気になっていただくために活動中です。