技術伝承は一日にして成らず
著者:石丸 亨(いしまる とおる)テクノア入社後、生産管理システムの導入支援に携わり、現在はカスタマイズを担当しています。
前職の製造業の経験も活かし、お客様の社員皆さまにお喜びいただけるようなIT利活用方法を提案いたします。
皆さん、こんにちは。テクノアの石丸 亨と申します。
今回は、技術伝承についてお話させていただきます。
1.「暗黙知」と「形式知」
かねてから製造業の皆様の頭を悩ませている「技術伝承」。
その技術伝承が難航している理由について調べていると、「暗黙知」と「形式知」という単語を目にすると思います。少々乱暴に要約すると、「暗黙知」は資料化できない・しにくい知見、「形式知」は資料化できる・しやすい知見となり、おそらく多くの製造業様で頭を悩ませているのは「暗黙知」の方の伝承ではないかと思われます。
その「暗黙知」の一つに、何かうまくいかない時や失敗する時に、試行錯誤して解決する技術があると思います。応用力と言い換えてもよいかもしれません。
仮に上記の技術を何とか資料化しようとしても、資料として書き出せていない「暗黙知」は必ずあります。ベテランの方が長年かけて培ってきた技術の継承が資料化だけでは十分でない理由はここにあります。
2.「暗黙知」で気をつけたいこと
「暗黙知」を継承する際に気をつけたい点を以下に記載します。
・ベテラン技術者と技術伝承される側のコミュニケーション
一見、当人同士の問題に見えるかもしれませんが、会社側も、円滑にコミュニケーションを取れる風土作りをしなければなりません。任せっきりにするのではなく、常に配慮・改善が必要です。
・技術伝承される側の基礎技術習得
ベテラン技術者の話すことが理解できないと先に進みません。
また、ベテラン技術者の方も説明することが上手でないかもしれません。
その際に、ベテラン技術者の伝えたいことはどういうことなのかを汲み取れる、わからないことを聞き返せる知識が必要です。そのためにも、基礎技術の教材として「形式知」を資料化しておくことは十分に意味がありますし、むしろ推奨事項です。
・時間
時間はどうしてもかかります。
やはり経験は時間と共に積み重ねていく他ありません。
そうして経験を積むことで、技術を昇華でき、応用力が育まれていきます。あまり時間はかけられないのが実情かもしれませんが、ある程度は時間のかかるもの、と踏まえた上で技術伝承を計画するのが寛容です。
・「形式知」かどうか
継承した結果、実は「形式知」だった、という技術は積極的に資料化すると、今後の人材育成につながり、会社の財産になります。
3.まとめ
技術伝承の問題は現状を解決したら終わりではなく、世代が代わるだけであり、今後も続く恒常的な問題です。会社側も技術伝承のノウハウを養い、来るべき時に慌てないように普段から取り組んでいただけたらと思います。