製造業における「脱エクセル文化」が進まない本当の理由
著者:ものづくりコラム運営
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脱Excelが進まない本当の理由は、Excelが便利だからではなく、業務そのものがExcel前提の“文化”になっているからです。
「もう限界だ」「そろそろシステム化を」と感じながらも、今日もまたExcelを開いてしまう――そんな現場は、決して少なくありません。本コラムでは、Excelを否定するのではなく、なぜ製造現場で手放せないのかを整理し、無理のない“次の一歩”を考えます。
1.「やめたいのに、やめられない」現場の本音
「Excelが限界だと分かっている。でも今日も使っている。」
これは多くの中小製造業の現場で、実際に聞かれる言葉です。
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⚠️管理項目が増えすぎて、ファイルが重い
⚠️誰が最新版を持っているか分からない
⚠️集計や転記に時間がかかる
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それでもExcelは使われ続けています。それは、現場がITに後ろ向きだからでも、変化を嫌っているからでもありません。Excelが、現場の仕事そのものに深く溶け込んでいるからです。
2.なぜExcel文化は根強いのか(3つの理由)
Excel文化が根強いのには、明確な理由があります。多くの場合、それは現場にとって「正しい選択」だったからです。
理由①:誰でも使える/今すぐ直せる安心感
Excelは特別な教育がなくても使えます。「項目を1つ足したい」「計算式を少し変えたい」――そんな要望にも、その場で対応できます。このスピード感と自己完結性は、忙しい製造現場にとって大きな魅力です。
理由②:暗黙ルールを吸収できる柔軟性
現場ごと、人ごとに異なるやり方や判断基準。Excelは、それらを明文化しなくても“なんとなく”吸収してくれます。結果として、標準化されていない業務ほどExcelと相性が良い状態が生まれます。
理由③:長年積み上げた「自社流Excel」が資産になっている
何度も改修され、改善されてきたExcelファイル。そこには、自社なりの工夫やノウハウが詰まっています。だからこそ、「これを捨てるのは不安だ」という感情が生まれるのです。
3.「脱Excel」がうまくいかない会社の共通点
ツールを変えたのに、現場が楽にならない理由
脱Excelが失敗する会社には、いくつかの共通点があります。
| 【Check🔎】 ・システム導入=Excel廃止だと思っている ・現場の使い方を整理せず、ツールだけ置き換えている |
この結果、「前より使いにくい」「結局Excelの方が早い」となり、Excelに逆戻りします。
問題はExcelそのものではなく、Excelと業務が一体化している状態を理解せずに変えようとすることです。
4. 本当に変えるべきは「Excel」ではなく「使い方」
Excelが問題なのではありません。問題の正体は、ツールではなく運用にあるのです。
例えば…
🚨属人化している
🚨二重入力が発生している
🚨手修正が前提になっている
これらは、Excelでなくても起こり得ます。
つまり、脱Excel=システム化ではなく、業務の整理・見直しが本質なのです。
5.脱Excelの現実的な考え方|「全部やめる」より「分けて考える」
現実的な脱Excelは、段階的に進めることです。
| 【Check】 ✅一気にやめない ✅残すExcel/手放すExcelを分けて考える ✅「判断・集計・履歴」で限界が来ている部分から見直す |
すべてをシステムに置き換える必要はありません。
Excelが得意な仕事、苦手な仕事を見極めることが、成功への近道です。
6.まとめ:最初の一歩は「やめる」ことではない
脱Excelの第一歩は、「やめる」ことではありません。
“Excelで何を無理やりやっているか”を知ることです。
そこが見えたとき、
「なぜ変えるのか」「どこから変えるのか」が、初めて現場と共有できるようになります。















