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MRP(資材所要量計画)とは?導入目的やMRP2・ERPとの違い

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MRPとは、製造業における生産方式の一つで、日本語では「資材所要量計画」を意味します。他にも、JIT(ジャストインタイム)生産方式やセル生産方式、パラメトリック生産方式など製造業では多くの用語が存在しますが、MRPは生産管理や在庫管理を効率的に行うための管理手法として使われます。ここでは、MRPがどのような生産方式なのか、何のために利用するのか、またMRP2やERPとの違いについても解説していきます。

1.製造業におけるMRPとは?

MRPは、工場などの製造現場における管理手法ですが、具体的にどのようなものかを説明していきます。

MRPとは?

MRPとは、Material Requirement Planningの略で、資材所要量計画のことを指します。製造業などで用いられる生産管理手法の一つで、生産計画をもとに、製造に「必要なもの」を「必要なとき」に「必要なだけ」調達できるよう、資材(原材料・部品)の調達時期を決める手法がMRPとなります。1970年代に「アメリカ生産在庫管理協会(APICS)」によって提唱されたものですが、現在でも製造業の現場で使われている手法です。MRPを活用することで資材調達を最適化し、在庫管理コストの削減や生産性の向上に繋がります。

MRPを導入する目的

MRPでは、部品表(BOM)などから必要な資材を確認し、調達や生産にかかる時間(リードタイム)やコストまで算出します。そのため、MRPで状況を正確に把握することで資材調達の効率化を図るだけでなく、他にも次のようなメリットも期待できます。

・生産性の向上
MRPの導入により、生産計画で必要な資材の必要数量や納期を最適化することで、計画的かつ効率的な資材調達が行えるようになります。ゆえに、「部品の手配遅れによる前工程や後工程への影響」といった生産計画のリスク回避や、製造現場における効率化の実現で、仕入コストの低減や納期厳守、品質維持にも繋がり、企業の生産性向上にも寄与します。
・在庫リスクの軽減
MRPを活用することで、必要な資材を「必要なとき」に調達できるため、製造工程での待ち時間を短縮することができます。また、「必要なもの」を「必要なだけ」調達するため、部品や仕掛品といった在庫を抱えるリスクも削減できます。
・顧客サービスの向上
MRPにより資材調達の最適化と適切な在庫管理により、在庫切れや納期遅延を回避することができます。そのため、顧客指定の納期遵守や顧客対応の品質を上げることで、顧客満足度の向上に繋がります。
・人材配置の最適化
MRPによる業務の効率化や在庫の最適化により、在庫確認や棚卸に充てていた管理工数の削減にも期待でき、多数ある工程の中で人材を最適に配置転換することができるようになります。また、MRPの導入やシステム化により、業務の二重化や人為的ミスの回避にも期待できます。

2.MRPに必要な項目

では、実際にMRPの計算を行う上で必要な情報を見てみましょう。MRPでの資材所要量の算出に必要な情報として「生産計画」「部品表」「在庫情報」の3つがポイントとなります。MRPのステップとして、まず、内示などの受注予測や過去の受注情報から需要予測を立て「生産計画」を行います。次に、生産計画を基に「部品表」を作成し、部品や原材料などの総使用量を計算します。そして、部品表や在庫状況から必要な資材や量を決定し、納期(リードタイム)を考慮した発注手配を行います。ここでは、MRPのステップに必要な、3つのポイントについて項目ごとに確認してみます。

生産計画の策定

まず、生産計画とは、製品の生産量や時期を決定する計画のことを指します。生産する製品の数は受注数や需要の予測によって算出し、販売計画と合わせて長期的な生産計画を作成します。生産計画を基に、次のステップの部品表の作成ができるようになります。

部品表(BOM)の作成

製品の生産活動において、加工に必要な原材料や部品などの情報を管理するのが「部品表(BOM)」です。生産計画を行う上で、この部品表を基に、どの部品(原材料)が、いつまでに、どのくらい必要なのかを把握するために、必要な情報を共有する必要があります。

【BOMの詳細について】
モノづくりの現場にて不可欠な「部品表(BOM)」の役割や重要性についての詳細は、記事コンテンツでご紹介しています。バナーリンクよりご参照ください。

・サマリー型部品表
「サマリ型」は、製品を製造するのに必要な部品や材料を、並列に一覧でまとめた部品表です。これは、製品の加工や組立の順序に関係なく、必要な部品をリスト化し、手配数が分かりやすいレイアウトのため、資材や調達部門で主に使用される管理方法となります。また、仕様変更や部品の追加にも柔軟に対応できるメリットもあるため、試作品や個別受注の1点ものなど、仕様変更の多い製品の製造に携わっている業種に適しています。
・ストラクチャ型部品表
次に、「ストラクチャ型」とは、製品の組立順序を踏まえて、親品目・子品目といった親子関係を階層構造で管理する部品表です。親子関係とは、完成製品を「親」、組立に必要な加工部品を「子」、さらに加工に必要な原材料を「孫」といったように階層を分けて考えることができます。ストラクチャ型で管理することで、製品の完成までの加工順序や予定工数、リードタイムの計算がしやすくなります。また、仕様変更が生じた場合も、影響範囲や原価計算が容易になることから、多くの製造業で活用されています。
在庫情報の確認と発注

部品表を作成後、在庫数や発注残、仕掛数といった在庫情報を考慮し、発注に必要な数を算出します。言い換えれば、部品や原材料などの資材の「総必要量」から「在庫量(在庫数)」を差し引き、発注対象となる「必要量」を計算します。生産計画や製造工程において、部品の手配漏れや納期遅れが大きく影響を与えることがあります。在庫は足りているか、いつまでに発注した部品が届く必要があるのか等、状況を考慮した手配が必要です。

3.MRP導入時の課題・デメリット

製造業におけるMRP管理の課題

製造業において不可欠なMRP管理ですが、MRPを導入したからといって、すぐに効果が出るわけではありません。生産活動において有効な生産管理方式ですが、課題事項やデメリットを把握した上での導入が必要です。

部品表(BOM)の整備
MRPは、部品表(BOM)を使用して部品や原材料などの必要数量を計算します。MRP管理の肝とも言える部品表ですが、部門によって管理方法が異なったり、必要な情報が不足していたりと課題も多いのではないでしょうか。社内の共通言語として「部品表(BOM)」を整備し、システム活用でリアルタイムに社内共有できれば迅速な対応が可能となります。そのためにも、部品表の管理方法の見直しや、品目(品番)整理、記載ルールの徹底など、業務の見直しから始めなくてはいけません。
部門間の情報共有
製造現場において、製作数や製品の仕様変更、納期変更などが生じると、MRPもその都度実行が必要になります。MRPは、急な計画変更に弱いシステムという面もありますが、そこをカバーするためにも、部門間での連携や変更情報の迅速な共有が求められます。部門間のコミュニケーションを行うためにも、リアルタイムに情報を共有できる仕組みや環境づくりが課題となります。生産現場は常に状況が変わるため、生産計画の精度を高め、計画変更による栄養を最小化するためにも、部門間でリアルタイムに正しい情報を把握する必要があります。
在庫管理の環境整備
リアルタイムに把握したい情報として「在庫管理」も重要です。MRPの計算は、生産計画で必要となる「部品情報(総必要量)」と「在庫量(在庫数)」から、発注対象となる「必要量」を計算します。この時、在庫数が正確に把握できていないと、在庫の過不足が生じてしまいます。システムや管理台帳にて正しい在庫数を常に確認できるよう、入出庫情報の更新といった業務ルールや在庫管理の体制を見直す必要があります。
リアルタイムで情報共有するための仕組みづくり
製造業に限らず、部門間の情報共有や情報の見える化はどの企業様でも課題となります。その改善方法としてシステム導入による情報の一元化に取り組む企業様も多いのではないでしょうか。設計部や資材・調達部、製造部で、異なる「部品表」をEXCEL管理したりと、情報共有に時間がかかり、生産計画に影響することもあります。MRPに限らずですが、システム化や部門間の連携を強固にする環境づくりにおいて、デメリットを考慮した上で取り組むことが必要です。

4.MRPとMRP2、ERPの違い

MRPに関連するキーワードとして、MRP2やERPがあります。ここでは、生産計画から作成した部品表と在庫管理から計算するMRPとの違いや、それぞれどのような管理が必要なのか解説します。

MRP2

MRP2とは、Manufacturing Resource Planningの略で、日本語で「生産資材計画」を指します。1980年代に広がった手法で、MRPの発展型で、資材や設備、人員など、製造に必要な資源を管理し、製造工程を考慮した計画を立てます。生産スケジューラなどを活用し、設備や作業者の負荷や加工工程を見える化し、生産能力にも目を向けた管理となります。より正確な生産計画を立てることができ、生産プロセスの効率化や生産性向上にも繋がります。生産管理の手法であるMRPやMRP2をさらに発展させ、企業全体の資源最適化や生産効率を高め、経営管理の中枢を担うシステムとも言えます。

ERP

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、日本語で「企業資源計画」を指します。1990年代に広がった手法で、MRP、MRP2から発展し、企業全体の業務プロセスを見直しや最適化を目的とした管理方式となります。生産管理の手法であるMRPやMRP2をさらに発展させ、企業全体の資源最適化や生産効率を高め、経営管理の中枢を担うシステムとも言えます。ERP導入の最大のメリットは、「情報の一元管理」であり、生産管理システムなどのIT導入により「業務の効率化」や企業の体質改善を図ります。統合型ERPや業務に特化した業務ソフト型など導入形態が異なりますが、自社の課題を把握した上でのシステム選びが重要です。

5.MRPからERPへ

システムを活用した生産活動の管理

製造業においてMRPは重要ですが、生産活動だけでなく販売管理や生産管理、請求管理など部門を跨いで多くの管理が必要とされます。部門ごとに個別に管理するだけでは、企業全体の活動が見えず、経営に関する意思決定時に必要な情報が得られない場合もあります。そこで、「情報の一元管理」を実現するERPが主流となり、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源をリアルタイムに把握し、素早い経営判断に繋げることができます。製造業に欠かせない管理方法ですが、ERPシステムにも様々な製品があるため、自社の生産形態や業務フローを理解した上でシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

システムでデータ活用!情報の一元化でペーパーレスを実現

生産管理システム『TECHSシリーズ』は、中小製造業様向けに開発された、受注から売掛・買掛管理まで一元管理できるシステムです。案件ごとの図面や資料の管理を含め、業務データの一元管理に必要な機能が網羅されています。
また、受発注業務を電子化する「BtoBプラットフォーム 受発注 for製造業」をはじめとする豊富なオプションから、自社にあわせた機能を組み合わせることができます。
生産管理システム『TECHSシリーズ』は、特に、受注生産、繰り返し生産が多い中小製造業が必要とする機能を搭載しており、業種別に、個別受注型の装置・機械製造業向けの『TECHS-S(テックスエス)』、多品種少量生産の部品加工業向けの『TECHS-BK(テックスビーケー)』があります。

【導入効果の一例】

  • 業務データの一元管理で、必要な情報を、各自がいつでも簡単に確認活用できる環境を実現
  • 複数システムへの二重入力の廃止により、人件費を月0.5人相当削減
  • 受注、指示書納品書発行、請求処理などの時間を月80時間削減
  • 1日3~4時間かかっていた、様々な情報の検索や確認の工数を削減
  • 実績などの情報を見える化し、全社のモチベーションがアップ
  • 進捗や図面、過去原価などがすぐに参照できるようになり、月42時間の事務工数を削減
  • 各自が情報をもとに自発的に考えるようになり、業務改善や他部署の支援などが可能に
  • データの見える化で、業務効率化の意識向上と負荷の平準化、多能工化を実現
  • 業務効率化により、半年間で約170万円の人件費削減効果
  • 蓄積データの分析活用により、収益率10%アップに成功
  • ベテラン社員や管理者が、新規事業、営業活動など、付加価値のある仕事ができるように

【製品詳細】

 ◇個別受注型 機械・装置製造業様向け生産管理システム『TECHS-S』

◇多品種少量型 部品加工業様向け生産管理システム『TECHS-BK』

 


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