ものづくりコラム COLUMN

第56回「得意先と値上げ交渉はできていますか?」

著者:荒井 哲(あらい さとし)
中小企業診断士コラム「先義後利」

こんにちは。株式会社テクノア、IT経営プロジェクトの荒井です。
私達・IT経営プロジェクトでは、財務分析とIT利活用の両面で、改善のお手伝いをしておりますが、
今回は、販売価格の引き上げ交渉に必要な個別原価計算についてご紹介します。

昨今、原価が高騰しており、中小製造業の収益が低下しています。
私達のお客様は、多品種小ロットの中小製造業がメインですが、
「取引先への値上げ交渉が上手く行かないから、正しい原価計算をしたい」というご相談をよく受けます。

1.値上げ交渉の根拠資料は製品の個別原価資料

当社のIT経営プロジェクトチームでは企業の決算書をお預かりして、財務分析を行っていますが、
「売上が増えたが、原価はもっと上がっているために儲かっていない。」という状況が増えてきました。
特に「材料費」や「外注費」の単価がこの1年で2割以上増加していることは珍しくありません。

値上げ交渉で有効なのが、「これだけコストがかかった」という個別原価の資料を示すことです。

 

診断士「売上は上がっていますが、利益が減っていますね。何か心当たりはありますか?」

経営者「材料費は高騰しているので、これはどうしようもないのです。」

診断士「では材料費が上がった分、売価を上げないと採算があいませんね。得意先と交渉をしていますか?」

経営者「交渉していますが、得意先に値上げを受け入れてもらえないのです。どうしたら良いでしょうか?」

診断士「ただ、『値上げさせてください』では難しいですね、、、。原価が高騰しているという根拠資料を出していますか?」

経営者「弊社は恥ずかしながら、どんぶり勘定で、製品毎の個別原価は把握していないのです。
得意先から原価資料の提示を求められており、いよいよ個別原価が把握できる仕組みを
作るべきだと思っています。」

 

このように、以前にも増して、「個別原価を把握したい」というニーズは高まってきています。

2.ITを活用した個別原価の把握

では、個別原価を把握するにはどのような仕組みが必要なのでしょうか?
様々な原価の要素がありますが、まず「材料費」「外注費」「製造工数」は物件に紐づいた形でITを活用して原価集計を行います。
ただし、以下の2点は原価計算の社内ルールをしっかりと決めることが必要になります。

  • 正しい時間チャージの計算
  • 間接費・販売管理費を考慮した売価設定

時間チャージについては、根拠ある正しい金額をシステムで設定しないといけません。
ところが、20年前から時間チャージを変えていないとか、同業他社の時間チャージを参考にしているという経営者が多くいらっしゃいます。

また、直接的なコスト以外には、「間接費」と呼ばれるコストや、「販売管理費」と言うコストがあります。
これら間接費等を無視して販売価格を決めている企業も意外に多いです。

 

3.まとめ

この機会に個別原価計算の社内ルールを明確にして、収益改善を進めていきましょう。
弊社でも、財務分析とIT利活用をご提案することで、個別原価計算の仕組みを提供するコンサルティングを行っております。
ご興味がある方は是非、無料診断サービスをご利用ください。

荒井 哲(あらい さとし) IT経営プロジェクト

中小企業診断士、ITコーディネーター
大阪大学工学部機械工学科卒業

テクノアには営業職として入社。
営業活動では、年間約200社の製造業を訪問して現場を多数経験。
現在は、中小製造業にIT経営コンサルティングをご提供する
「IT経営プロジェクト」に所属。
財務分析、生産管理システム導入前分析、課題解決提案を専門領域とします。