生産管理システムの導入で重要な要件定義とは?押さえたい機能や要件

著者:ものづくりコラム運営 生産管理システムの導入で重要な要件定義とは?押さえたい機能や要件

生産管理システムとは、生産に必要なモノや情報を総合的に管理するITツールのことです。

製造業においてはQCD、すなわち品質・コスト・納期が重要な要素だといわれますが、生産管理システムの導入によりQCDの情報を一元管理できます。
さらに、自社に適した生産管理システムの導入することで、QCDの最適化や業務改善、DX化の推進に役立ちます。

しかし、生産管理システムの導入を成功させるには、「要件定義」が非常に重要です。
本記事では要件定義の意味やポイント、導入にあたって気をつけるべきところを解説しますのでぜひ参考にしてください。

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1.生産管理システムの導入で特に重要な「要件定義」とは?

要件定義とは、生産管理システムを導入する目的を決め、システムを自社で最大限活用するために必要な機能や条件を明確にする行為のことです。

一般的に要件定義は導入フェーズで行います。必要な機能や運用方法を決めることで、自社に適した生産管理システムを導入する際の指針になります。

生産管理システムに求められる主な機能とメリットについては以下の通りです。

工程管理機能

生産計画と受注した製品のスケジュール管理を行うための機能です。生産に要するリードタイムから適切な製造着手日を算出するだけでなく、自社の生産能力に応じた生産計画を立案できるようになります。

また、機械や作業者の負荷をシステム上で確認でき、負荷の平準化や適切な納期を回答できたりします。計画に従った納品をするために、各工程の進捗状況を可視化するのに役立ちます。

販売管理機能

製品の受注・出荷・売掛金の管理をするための機能です。確定した受注情報を正確に生産計画に落とし込むことで、販売→製造→出荷までの流れを一気通貫で管理できるようになります。

たとえば、受注残の推移を把握すれば今後の生産計画の指針となり、受注高を分析すれば営業戦略を立てる際に役立ちます。取引先より電子データで受注情報を送られるケースもあるでしょう。EDIと連携するように設計すれば、受注情報を効率的に取り込めます。

在庫管理機能

購買部門の業務に必須の機能で、生産に必要な材料や部品、外注などの手配を生産計画に合わせて管理するためのものです。情報を一元管理する生産管理システムにより、在庫状況や生産計画を考慮した発注時期の算定ができます。

さらに発注情報を部門間で共有できるように設計した場合、発注漏れや二重発注を防止するメリットもあります。

発注・仕入管理機能

購買部門の業務に必須の機能で、生産に必要な材料や部品、外注などの手配を生産計画に合わせて管理するためのものです。情報を一元管理する生産管理システムにより、在庫状況や生産計画を考慮した発注時期の算定ができます。

さらに発注情報を部門間で共有できるように設計した場合、発注漏れや二重発注を防止するメリットもあります。

原価管理機能

工程管理や在庫管理などの機能で蓄積した情報を活用するのが原価管理機能です。原価管理は生産でかかった材料費や労務費を集計するものですが、部門ごとに情報が散在していると正確に集計はできません。生産管理システムで一元管理できるようにすることで、日々の業務から材料費と労務費などの情報が得られ、原価情報として反映できるようになります。

 

2.生産管理システムの要件定義を行う際のポイント

導入した後で使いにくいシステムにならないように、要件定義は導入フェーズの段階で明確にする必要があります。ここでは、要件定義のポイントについて紹介します。

生産管理システムの導入の目的を明確にする

まず、現状の業務の課題から、生産管理システムを導入して解決したいことを明らかにします。生産管理システムによって課題を解決できるか、適した運用が可能かを検討しましょう。目的を決めることで、導入する生産管理システムのイメージも明確になります。

生産管理の業務は幅広く、企業によってはERPとして取り入れる場合もあります。全社をあげてのプロジェクトになるため、導入目的を明確にし、全部門で課題や目的を共有することも大切です。

製造現場の要望を参考に要件定義をする

生産管理システムの導入を成功させるには、製造現場が使いやすいシステムであるかどうかもポイントです。現場で使用する際に適したシステムとなるよう、現場が求める要件もヒアリングして整理するとよいでしょう。

たとえば製造現場で実績を入力する場合、バーコードリーダーやハンディ端末で運用すると情報をタイムリーに収集でき、現場の負担も手入力より軽くなります。製造指示書に記載されていない情報を知りたいときに、製造現場ですぐに確認できる仕組みを構築すれば利便性も高くなります。

導入するシステムの要件はできるだけ明確にする

自社に適したシステムを導入するには、要件を洗い出してできるだけ明確にする必要があります。要件を明確にすることで、課題を解消しやすくなるからです。業務の煩雑さや属人化などの課題に対して、どのような機能要件を追加すべきかを整理しておきましょう。

要件を明確にすることは、使わない機能を追加しないため、コスト肥大化の防止にもつながります。システム選定時の判断基準となるRFP(提案依頼書)をベンダーに提出すると、導入もスムーズです。

自社の業種・業態・生産方式に合っているか確認する

業種や業態、生産方式によって生産管理における重要な機能は異なります。自社の業種・業態・生産方式に合った機能があるか、管理が実現できるかを確認しましょう。

たとえば、受注生産か見込み生産かで求められる機能は異なります。受注生産なら受注した製品によって部品や納期が違うため、「効率的な部品手配や管理ができるか」「工程の進捗状況を把握できるか」などが重視されます。見込み生産なら、適正在庫と販売計画に基づいた需要予測機能が必要です。

稼働時期の目安や稼働目標を明確にする

導入の目的やシステムの要件に加え、稼働の目安や稼働の目標も明確にしておきます。生産管理システムの導入は、自社の業務が大幅に変わる大きなプロジェクトになりえるものです。想定通りの結果が出ているか判断するためにも、目標を定めておきましょう。

目標はできるだけ数字に落とし込むようにすると、効果も測定しやすくなります。在庫の削減が導入の目的の一つであれば、「仕掛品を〇〇%削減」などのように具体的な数値目標を定めておきます。

3.生産管理システムの導入時に押さえておきたい機能以外の要件

要件定義には機能以外の要件について整理しておくことも大切です。どのような点に気を配るべきかを解説します。

自社の業務フローに沿った機能が網羅されているか

必要な機能が網羅されているかに加え、案件管理の上で必要な項目に対応できるかなども確認します。受注生産の場合は、受注情報がベースになるため「いつ入った受注か」「どこから入った受注か」などの取り扱いに注意が必要です。

システムの操作性は導入時に非常に重要となります。資料請求や問い合わせで、事前に判断材料を収集することがポイントとなります。体験版を利用できるようなら、導入前に操作性を確かめておくと安心です。

必要な帳票や集計資料がシステムから出せるか

見積書や伝票といった帳票を生産管理システムで出力する場合は、レイアウトを簡単に変更できる方が利便性は高くなります。また、社内の会議資料や経営資料として必要なデータを出力できるかも確認しておきましょう。

データの出力形式や共有のしやすさなども、自社にとって使いやすいか確認し、自社にとって必要な管理帳票が揃っているかも重要なポイントです。さらに、データ出力機能があれば、データの二次加工も可能となり、共有資料として有効活用できます。

部署間の連携や認識のすり合わせができている

関係部署で、導入時に必要な機能や発注・見積もり・出荷などの際に出力するべき帳票などの確認を行います。
各部署がそれぞれの課題だけを解決する目的で導入すると、システム全体の最適化を実現できません。一事業部への部分導入でない限り、複数の業務をまたぐ生産管理システムの導入は、部門間の連携や協力が必要になります。

使いにくいシステムにならないように、認識をすり合わせて優先順位を明確にしましょう。

システムがカスタマイズ対応できるか

生産管理システムにはパッケージソフトとして導入できる商品がありますが、既存の業務に適合できない場合もあります。基本機能でうまく対応できないときは、各部門の業務に合わせてカスタマイズできるかどうかも重要な検討事項になるでしょう。

営業、生産管理、製造、経理、購買といった部門ごとに業務の棚卸しをして、機能要件と非機能要件について明確にしておけば、自社に適合したカスタマイズができるようになります。

既存のシステムとの相性

生産管理システムは、会計システムや販売管理システムなどすでに稼働している既存のシステムとの連携が必要です。したがって、データの受け渡しがスムーズにできるかも重要な判断材料になります。

たとえばEDI受発注システムで受注するケースでは、生産管理システムと連携させて、タイムリーに入力できる仕組みが必要です。Web受発注システムではインターネット経由のため、強固なデータセキュリティ対策ができるかの判断も重要となります。

4.要件定義は生産管理システム導入を成功させる決め手に!

生産管理システムは情報を一元管理できるため、業務の効率化や生産性向上につながります。導入を成功させるためには、要件定義が重要です。必要な機能や自社の生産方式、カスタマイズ性などを考慮しましょう。

ここでは、業種や生産方式に特化したテクノアの生産管理システムについてご紹介します。

生産管理システム・生産スケジューラ

個別受注の機械・装置製造業に特化した「TECHS-S NOA(テックス・エス・ノア)」は、受注管理や進捗管理、発注管理など、必要な機能が厳選された生産管理システムです。短期間かつ、低コストに導入できるのが魅力です。

一方、個別受注・多品種小ロットの部品加工業向けの「TECHS-BK(テックス・ビーケー)」は、複雑になりがちな多品種小量型の製造を受注から生産、売上まで一元的に管理できます。1つのシステムで効率的に管理できる点が特徴です。

業務・機能 TECHS-S NOA TECHS-BK
見積管理 〇(オプション) 〇(オプション)
受注管理
工程管理
発注・仕入管理
日報(作業実績)管理
進捗管理
在庫管理 〇(オプション)
原価管理
売上管理(売掛・請求) 〇(オプション)
買掛管理
生産計画(日程計画) 〇(オプション) 〇(オプション)
データ抽出&帳票レイアウトツール 〇(オプション)

また、EXCELで生産計画を行っている製造業様におすすめの生産スケジューラ「Seiryu(セイリュウ)」は、単位時間を運用に合わせて設定できたり、計画変更をスムーズに調整できたりと、詳細な工程計画の立案が可能です。

必要な要件を満たすシステムがあれば、ぜひ導入をご検討ください。

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