経営理念はなぜ大切なのか?《先義後利》
著者:佐々木 靜(ささき しずか)入社から7年間、TECHSの運用指導を担当しておりました。
ユーザー様に様々なことを教えていただき、仕事の楽しさを実感。
このご恩を返すため、中小製造業様のお役に立つためには?と考え、中小企業診断士を志しました。
システムをきっかけに、現場と経営をつなぎ、中小製造業様にもっと元気になっていただくために活動中です。
皆さんは、ご自身の会社の経営理念をご存じですか?
また、部下の方や同僚の方に経営理念を説明することはできますか?
社内に掲示している会社も多いと思いますが、単に標語を覚えているだけではその効果は発揮されません。
経営理念を理解し、日々意識して行動をすることは、経営者にとってはもちろん、従業員にとっても大切です。
経営理念はなぜ大切なのか、今回はこのことについて深堀りしてみたいと思います。
1.判断のよりどころとなる
自社は何のために存在するのか、社会に対して何を行っていくのかという、企業が存在する目的を表現しているのが経営理念です。判断に迷ったときに、そもそも何をするために会社があるのかに立ち戻り、適切な判断をするための羅針盤となります。
経営の基本的な考え方は、よくこのような図で表されます。
例えば、テクノアの考え方の一部を説明すると、以下のようになります。
(話をわかりやすくするため、実際の経営理念とは表現を変えています。)
・経営理念 …縁のあった人々を幸せにする
・ビジョン …【IT文明】の進歩を先取りして【ソフト文化】の開発と提供をする
・戦 略 …中小製造業様に役立つパッケージソフトを開発、提供する
・戦 術 …ソフト提供だけでなく、導入支援、導入後サポートも充実させる
判断とは、経営トップが行う経営判断に限りません。
私の担当業務の一つに、生産管理システム「TECHS」を検討中のお客様へ提案することがあります。この業務ではお客様がTECHSを導入したいと仰っても、業務内容をヒアリングし、合わないと判断した場合は、当社から提案を辞退させていただくことがあります。システムを販売してもお客様に活用いただけないと、経営理念の「縁のあった人々を幸せにする」にはつながりません。
この様に経営理念を意識すると、「システムを販売する」だけでなく、「お客様の課題の解決をする」ことを重要視した判断を、一従業員でも行うことができます。
2.働くことのモチベーションにつながる
経営理念は従業員にとって、働くことの目的や使命感となります。
例えば私の場合、経営理念が念頭にあるので、日々の業務を単なるシステムの提案とは捉えていません。システム導入を通じてお客様に利益体質になってもらう、さらには日本のものづくりを強くするためのお手伝いをする、という使命感を持って取り組むことで、モチベーションに繋がっています。同じ仕事でもモチベーションによって成果は異なります。経営理念を意識することは、業績にも結び付いていきます。
3.従業員が同じ方向を向く
経営理念を明文化し、共有することで、従業員は同じ方向を向いて働くことができます。
経営理念を意識して行動すると一貫性が生まれますし、同じ志で働く仲間がいるという意識が高まり、相乗効果も期待できます。
もし経営理念に反する行動があった場合、それに気づき、諫めることもできます。
この様に、経営理念を共有することは、組織力を強くします。
4.ブランディング
経営理念が明文化されていると、取引先や関連する方々にも理解を得やすくなります。
経営理念を掲げ、それに沿った行動をすると、共感していただけるファンが増えるなどの効果が期待できます。
経営理念の大切さはご理解いただけましたでしょうか?
対面での交流が少なくなり、対話の中で社風や理念を伝えていくことが難しい昨今、経営理念を掲げる重要性はさらに高まっていると感じます。
このコラムが、皆さんが経営理念を振り返るきっかけとなれば幸いです。