溜まったデータ、活かせていますか?生産管理データを”分析”に変える視点
著者:中川 淳一朗(なかがわ じゅんいちろう)
2024年 テクノア入社
2025年 ITコーディネータ登録
2025年 中小企業診断士登録
専門商社での営業や転職エージェントやキャリアコンサルタントとして個人のキャリア構築支援を経てテクノアに入社。
個人だけでなく組織や経営のご支援を行わせて頂く為に中小企業診断士を取得致しました。
TECHSの運用改善に留まらず、中小企業様の経営改善のお力添えをさせていただきます。
生産管理システムに日々の実績を入力していても、そのデータを経営判断に活かせている中小製造業は多くありません。
“データは蓄積されているのに、分析されていない”
これが多くの現場に共通する課題です。本コラムでは、眠っている生産管理データを「振り返り」「分析」に変え、次の一手につなげるための具体的な3つのステップを解説します。
1.膨大に蓄積されたデータ。
そこから、何かが変わったか?
生産管理システムを導入してから数年。
日々の実績入力もすっかり現場に定着した。
そのような企業は少なくありません。工程ごとの進捗、稼働時間、不良数、原価に関わる数字。システムの中には、気づけば膨大なデータが蓄積されています。
しかし、ここで一つ質問です。そのデータを見て、経営判断を変えたことはありますか。
多くの企業でよく見られるのは、「入力はしているが、見返してはいない」という状態です。導入時は「これでデータが取れる、分析できる」と期待していたはずなのに、いつの間にか目的は「入力すること」自体にすり替わってしまう。データは日々増えているのに、会社としての気づきや改善は増えていない。これは非常にもったいない状態です。
2.なぜデータが眠ったままになるのか
原因はいくつかありますが、よく見られるケースは次のような形です。
入力は現場の日常業務として定着している一方で、「集計して振り返る」ことは誰の仕事にもなっていないケース。
つまり、入力担当は決まっているが、管理・分析担当は決まっていない、という状態です。
次に、「何を見ればいいか分からない」というケース。
システムには膨大な項目が記録されていますが、そのすべてを見ようとすると情報量に圧倒されてしまい、結局どれも見ないという結果になりがちです。
そして何より、経営者・管理者自身が日々の対応に追われ、腰を据えて数字を振り返る時間を取れていないことも大きな要因です。システムは「記録」はしてくれますが、「気づき」までは自動で与えてくれません。そこは人が意識的に取りに行く必要があります。
3.溜まったデータから何が見えるか
実際に現場に入って蓄積データを一緒に見ていくと、多くのことが見えてきます。代表的な例を2つ挙げます。
💡Case01:工程・加工実績データ
工程別の実績データを見てみます。どの工程で滞留が起きやすいか、つまり、ボトルネックがどこにあるかが浮かび上がります。感覚的に「あの工程が遅い気がする」と思っていたことが数字で裏付けられることも、逆に意外な工程がボトルネックだったと分かることもあります。
💡Case02:原価データ
次に、製品別の原価データを並べてみると、実はほとんど利益が出ていない製品や、逆に想像以上に稼いでいる製品が見えてきます。売上の大きさだけで判断していた優先順位が、原価ベースで見ると変わることは珍しくありません。
いずれも、感覚ではなく数字をもとに判断できるようになる、というのが最大の価値です。
4.データを活用するための3つのステップ
ステップ1:定期的に見る場を作る
月に一度でかまいません。「数字を振り返る時間」を予定として組み込んでしまうことが大切です。忙しさに流されて「そのうち見よう」と思っていると、いつまでも見る日は来ません。
ステップ2:見るべき指標を絞る
全項目を分析する必要はありません。まずは3つ程度、自社にとって重要な指標(例えば工程別の稼働率、製品別原価、不良率など)に絞って定点観測することをお勧めします。
ステップ3:気づきを次のアクションに繋げるルールを作る
数字を見て「あ、これは問題だ」と気づいても、そこで終わってしまっては意味がありません。気づきを改善提案や原価見直しなど、具体的な次の一手に繋げるルールを、あらかじめ決めておくことが重要です。
5.データは「蓄積する」ものではなく「活用する」もの
中小企業診断士として様々な製造業の現場に入ると、実に多くの企業が「データはあるのに使われていない」状態にあることに気づかされます。せっかくのシステム投資、せっかくの日々の入力の手間を、本当に会社の力に変えるかどうかは、そのデータをどう使うかにかかっています。
まずは月に一度、数字を振り返ることから始めてみませんか。溜まったデータの中には、次の一手のヒントがすでに眠っているはずです。
とはいえ、「何を見ればいいか」「どう分析すればいいか」を自社だけで判断するのは難しいという方もいらっしゃるかと思います。当社では「てくのわ交流会」というイベントを開催しており、同じように現場のデータ活用に悩む企業同士で困りごとを相談・共有していただくほか、当社の中小企業診断士に直接ご相談いただくことも可能です。ぜひお気軽にご参加ください。


















