ものづくりコラム COLUMN

第47回「中小製造業のための下請け脱却方法~webブランディング【2】~」

著者:井上 創(いのうえ つくる)
中小企業診断士コラム「先義後利」

こんにちは、中小企業診断士の井上創と申します。
本記事は、

とお悩みの中小製造業経営者様向けの記事です。

第45回のコラム「中小製造業のための下請け脱却方法~webブランディング【1】~」の続きです。
前回のコラムで、中小製造業こそ「webブランディング(自社ホームページ活用)」が重要であることをお伝えしました。今回は、自社ホームページを作成するための考え方をご紹介します。

 

1.どんなホームページが見られるか?

大前提として、ホームページを訪れる人は、何か困りごと(課題)があり、その解決策を求めています。
例えば、「長年部品製作を行ってくれていた協力会社が廃業したため、これまで通りの精度で加工してくれる会社を探している」、といった課題です。
そのような場合、検索エンジンで「○○加工 東京」、「XX部品 大阪」等と検索し、上位表示されるのホームページを閲覧します。そこで、自社の課題が解決できそうと判断した場合に初めて、実際にその会社に問い合わせることになります。

つまり、顧客の課題に対して、ホームページにより解決可能だと思わせた場合にのみ、その人・会社と接点をもつことができます。
よって、自社ホームページを作成するために最も重要となるのは、「誰のどんな課題を解決できるか?」を適切に表現することです。

上記を検討する上で、大前提となるのが自社の”強み”です。”強み”を軸として、誰に、何を、どのように、提供可能か(課題解決可能か)をホームページ上で示していくことになります。
まずは、自社の”強み”を明確にする方法をご紹介します。

2.自社の”強み”の明確化

中小製造業経営者に「貴社の”強み”は何ですか?」と聞くと、「特にない。お客さんに言われた通り作ってきただけ。」という回答が多いことに驚きます。もしかしたら、貴社も同じ状況なのではないでしょうか?
それは、非常にもったいないです。なぜなら、長年事業を継続している企業であれば必ず”強み”はあるからです。
例えば、以前、大手メーカーで生産技術エンジニアとして働いていた私の経験では、長年継続して同じ協力会社に、試作治具・装置などの製作を依頼していました。

なぜなら、以下の”強み”があったからです。
・短納期に柔軟に対応してくれる
・簡単なポンチ絵だけで製作してくれる
・自社で加工できなくても、付き合いのある会社で製作してくれる

余談ですが、当時の私は、発注金額のことはほとんど気にしていませんでした。エンジニアとして、「価格」よりも「試作が上手くいくこと」を優先していたからです。

では、”強み”を見つけるために、具体的にどうすればいいのでしょうか?
今回は、以下の2つの方法をご紹介します。

【1】顧客に聞く
自社の”強み”を客観的に知るために、最も手っ取り早いのは、顧客に直接聞くことです。
特に、貴社と長い取引のある顧客に聞いてみるのが最も有効だと思います。先述のように、長年貴社に注文を出し続けているのは、何かしらの理由(自社の”強み”)があるからです。
少し恥ずかしいかもしれませんが、臆せず聞いてみましょう。

【2】自社で”強み”を棚卸する
顧客に”強み”を聞くのが、難しいようであれば、以下の質問例を参考に自社の”強み”を棚卸してみてください。

以下の質問に回答することで、自社の製品・技術が顧客のどのような課題解決に貢献してきたか、を浮き彫りにすることができます。それがまさに自社の”強み”になります。

質問 回答例
Q1 お客様のどのような問題を解決してきたか?(喜ばれてきたか?) ・お客様からの「3日以内」、「本日中」など超短納期の要望に何とか応えてきた。
・他社で歩留まりが悪かった部品加工品を、製造工程を工夫することで不良をほぼゼロにできた。
・切削加工でしか、できないと思われていた部品を、プレス加工での量産に成功し、
大幅なコストダウンと納期短縮を実現できた。
Q2 会社独自の技術や製品は何か? ・「日本でうちしかできない」という特殊な技術はないが、長年アパレル業界で培った、
真鍮を素早く、高精度でプレス加工する技術に関しては長けている。
Q3 繰り返し買ってもらえる、紹介してもらえる技術や製品は何か? ・お客様か他社に頼んだり、いろいろ試したがうまくいかなかった加工を、
創意工夫でやり遂げた案件は、継続受注しているし、他社紹介を頂いている。
Q4 会社独自の価値=「戦わない、比べられない価値」は何か? ・50年培ってきた、フリクションプレス加工技術による、高精度な真鍮加工技術を用いた、
OEM製造請負い

出典:村上 肇『中小製造業のための儲かるWebブランディングの教科書』日本実業出版社(2016) 、ISBN:978-4-534-05431-9、図表2-1「自社の潜在価値を顕在化させるワーク(記入例)( P49)」を基に作成

3.ホームページの作成

繰り返しになりますがホームページを作成する上で重要なポイントは、「誰のどんな課題を解決できるか?」をわかりやすく表現することです。
そのためには、前項の方法で明らかになった自社の”強み”を軸に、以下の流れで考えていく必要があります。

・誰の、どんな課題を解決できるか?→例)冷間圧造金型(カタ)に関する課題(救急修理、短寿命対策など)
・そのための製品・サービスは何か?→例)鍛造解析(CAE)を用いた長寿命を実現する金型の設計
・それをどのように証明するか?→例)加工実績、各種認証・受賞歴

4.ホームページの改善

ホームページは作って終わりではありません。詳細な説明は省きますが、日々更新を続け、顧客にとって有益なホームページに改善していく必要があります。
最近では、Google等が提供している無料のホームページアクセス解析ツールもありますので、それらのツールを利用しながら、改善・効果検証を繰り返すことが重要になります。

5.まずは始めることが重要

ホームページ作成と日々の改善活動の全てを自社で行うのは、困難な場合が多いと思います。最近では、小規模事業者持続化補助金や、地方自治体独自の補助・助成制度などが整備されています。これらを用いれば、比較的安価に外部のサポートを受けることができます。
自社ホームページにより、新規顧客を獲得し、下請け企業脱却を目指しましょう!

井上 創(いのうえ つくる) TECHS事業部 ソリューションサービス部

大手鉄鋼メーカーでの生産技術エンジニアを経て、経営コンサルタントとして多くの企業様の経営改善を行ってきました。

エンジニア時代に、仕入先であった中小製造業様が日々経営に悩まれている姿を目の当たりにし、「将来少しでもお手伝いきれば」と考え、中小企業診断士の勉強を始めました。

エンジニアとしての「現場改善」、コンサルタントとしての「経営改善」の経験を活かして、お客様の経営課題の解決を支援いたします。