「結局どれが正解?」製造業が生成AIで工程改善する前に知っておきたいこと

著者:プラッとものづくり コラム担当 「結局どれが正解?」製造業が生成AIで工程改善する前に知っておきたいこと
プラッとものづくり コラム担当 プラットフォーム事業部

現在はプラットフォーム事業部にて様々な業務に従事しております。ものづくりの依頼先探しや製造業様の営業活動にお役立ていただけることを目指し、情報発信していきます!

昨今、生成AIが急速に普及し始めています。製造業の皆様が「生産工程を効率化したい」と考えたとき、何に取り組めば良いかをまず生成AIに聞いてみた——という方も多いのではないでしょうか。この記事では、製造業で工程改善を実現するための生成AIの活用方法と付き合い方についてご紹介します。

1. 生成AIを利用するうえでよくある場面

工程改善について、筆者が生成AIに「生産効率を上げるにはどうすればいい?」と尋ねると、非常にもっともらしい答えが返ってきました。「ムダをなくす」「設備の稼働率を上げる」「工程を最適化する」「人の作業効率を上げる」「品質向上を図る」・・・。これらを「具体化して」と指示すると、さらに具体的な回答が返ってきます。
しかし、生成AIを利用していて、このような経験はないでしょうか。

① 条件を少し足すと、前の答えを否定する

「コストを抑えたい」と条件を加えると、最初の提案は「費用がかかるので優先順位は最下位です」と覆ることがあります。

② 「それは本当ですか?」と聞くと謝る

生成AIの回答を疑うと、「おっしゃる通り、別の見方もあります」「鋭い指摘です。正直に言うと、その通りです」と簡単に撤回します。

その結果、「結局、どれが正しいの?」と正解が分からなくなる感覚に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

2. なぜ生成AIの答えは変わるのか

生成AIは「聞かれたことに答える」ツールです。質問の粒度や前提条件、いわゆるプロンプトが変われば、返ってくる答えも変わります。AIが嘘をついているわけではなく、ある文脈では正しい場合もあります。しかし、AIが事実と異なる内容をもっともらしく生成する「ハルシネーション」と呼ばれる現象が起こることもあります。そのため、生成AIから実際に取り組めそうな改善案は得られても、「本当に自社にとって何を行うのが良いのか」を判断することは、なかなかできません。

3. 生成AIが答えられないのは「自社の工場」のこと

生成AIはどれだけ賢くなっても、あなたの会社のことをすべて知っているわけではありません。先ほど「プロンプトが変われば生成AIの回答も変わる」という話をしましたが、より会社のことを知ってもらおうとして、プロンプトを追加すればするほど、生成AIの回答は異なってきます。

  • A工程がボトルネックになっている
  • 来年退職するベテラン社員のノウハウを残していく必要がある
  • 現場のリーダーが改善に後ろ向きである

こうした生の情報を得られるのは、現場に足を運んだ人間だけです。AIの精度がどれだけ上がっても、現場の人・文化・関係性を踏まえた判断は簡単には代替できません。

4. 人との対話によるメリット

では、生成AIではなく、製造業の支援を行っている「人」に尋ねる場合はどうでしょうか。「貴社の状況を考えると、高額な設備に投資する前に、まず人の動線を整理しましょう」このように、会社全体の状況を踏まえた総合的な判断は生成AIではなく、現場を知る人だからこそ言える言葉です。そして、専門家として責任を持って伝えられる言葉でもあります。

また、人との対話にはもう一つメリットがあります。それは、現場のモチベーションを引き出せることです。工程改善に限らず、他の業務や日常生活においても、実際のところ正しい手順を知るだけでは、改善はなかなか進みにくいのではないでしょうか。「なぜ変える必要があるのか」「誰が何をするのか」といった対話が現場に生まれ、合意が形成されて初めて動き出すのではないでしょうか。
生成AIはいくら問いかけても、現場の空気を読んで背中を押すことはできません。人と人との対話だからこそ、納得感が生まれ、実際の行動につながるのです。

5. 生成AIを「正しく使う」ための3つのポイント

生成AIを工程改善に活用したいなら、使い方のコツを押さえておくことが重要です。

① 目的を絞って使う

「工程改善とは何か」「リードタイムとは何か」など、知識のインプットや用語の確認に生成AIは非常に有効です。まずは、わからないことを調べる入口として活用しましょう。

② 答えを「たたき台」として扱う

生成AIの回答はあくまでも「たたき台」です。回答をそのまま実践するのではなく、「この提案は自社に当てはまるか?」を必ず自分の目で検証する習慣を持ちましょう。

③ 最終判断は人に委ねる

人員、文化、タイミングなど、どのような改善が必要かは、一概に数値だけでは語れません。生成AIの提案を材料にしながら、最終的な意思決定は人が行うようにしましょう。自社だけで判断するのが難しければ、現場を知る専門家と一緒に取り組むことが、遠回りのようでも確実な近道です。

6. まとめ:生成AIは補助として使い、改善は専門家と一緒に

生成AIはものづくりの改善を考えるうえで便利な補助ツールです。ただし、最終判断まで委ねるべきではありません。生成AIで効率よく工程改善のたたき台を作成し、最終的には人がさまざまな要素を総合して判断しましょう。

しかし、自社だけでは判断が難しい、外部からの意見も聞いてみたいという場合も多いのではないでしょうか。
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