【ものづくりDX CAMP|DAY.3】フェーズ2:「デジタイゼーション」とは?~アナログからの脱却~

著者:加久 尚子 【ものづくりDX CAMP|DAY.3】フェーズ2:「デジタイゼーション」とは?~アナログからの脱却~
加久 尚子 ブランディング戦略室

モノづくり企業様の「知りたいが見つかる」そんなコラムを作成し、情報発信してまいります。
IT利活用による可能性を模索し、お客様に寄り添った課題解決ができるよう、お手伝いさせていただきます。

中小製造業がDXを進める際、まず避けて通れないのが「デジタイゼーション」です。紙の帳票やFAX、ベテランの記憶に頼っていた業務をデジタルデータに変換することで、情報共有のスピードアップや属人化の解消が期待できます。
本コラムでは、DX全体の中でのデジタイゼーションの位置づけから、具体的な取り組み例と効果までをわかりやすく解説。どこから手をつければよいか悩む企業の皆さまに向け、実践的な第一歩をご提案します。

1.そもそも「デジタイゼーション」とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉はよく聞きますが、その中の一段階目にあたる「デジタイゼーション」は何を指すのでしょうか。
デジタイゼーションとは、従来のアナログ情報をデジタルデータに変換することを意味します。例えば、手書きの書類をExcelに入力したり、紙の図面をPDFにスキャンしたりすることがこれにあたります。

ここで大切なのは、デジタイゼーションはあくまでも「デジタル化」であり、DX全体の中の一歩に過ぎないという点です。DXは業務や事業の根本的な変革を目指しますが、そのスタート地点としてデジタイゼーションが位置付けられています。

DX全体の4フェーズにおけるデジタイゼーションの位置づけ
・フェーズ1:準備(DXの目的・ビジョン策定)
フェーズ2:デジタイゼーション(アナログ→デジタル)
・フェーズ3:デジタライゼーション(業務改革)
・フェーズ4:デジタルトランスフォーメーション(事業革新)

2.デジタイゼーションの主な対象と具体例

なぜ中小製造業にデジタイゼーションが必要か?

中小製造業では、今もなお紙の帳票やFAX、口伝えでの情報共有が多く残っています。このようなアナログ中心の業務には以下のような課題があります。

・情報共有に時間がかかり、リアルタイムでの状況把握が難しい
・作業履歴や実績の蓄積ができず、過去データの活用ができない
・担当者に業務が依存しやすく、属人化が進む
・ミスや手戻り作業が多発し、生産性が低下する

「情報の可視化がDX推進の鍵」となります。デジタイゼーションによって、こうした課題の解決に向けた第一歩を踏み出せるのです。

デジタイゼーションの具体例

中小製造業様のデジタイゼーションの例として、以下の業務を一例としてご紹介します。

対象業務 アナログの現状 デジタル化の手法
製造日報・作業記録 手書きの紙帳票 Excelやクラウド日報アプリ
スマホやハンディターミナルを活用した生産管理システムへの登録
図面・設計情報 紙の図面 スキャニングしてPDF化、またはCAD化
AIを活用した図面管理(図面検索システム)
在庫管理 目視と手書き台帳、Excel管理 QRコードやバーコードを活用した
在庫管理アプリや生産管理システムへの登録
受発注業務 電話やFAXでの受発注 メールやWeb受発注システムの活用
ノウハウ・記憶※ ベテラン社員の頭の中に蓄積(属人化) 動画やマニュアル化+社内ナレッジ共有システム

人の記憶が会社の資産になる瞬間
熟練者の経験やノウハウを動画で記録し、デジタルで共有することで属人化を防ぎ、次世代への技術継承を促進します。

3.デジタイゼーションで得られる3つの効果

デジタイゼーションを進めることで、次のような効果が期待できます。

情報の見える化
社内で「今どうなっているか」がリアルタイムに共有でき、意思決定の速度が向上します。

属人化の解消
担当者が変わっても業務が滞らず、組織全体で安定的に生産活動を行えます。

次のステップへの土台づくり
デジタルデータが蓄積されることで、将来的な業務改善や自動化、AI活用の基盤が整います。

4.スモールスタートで始める現実的な取り組み例

DXの第一歩は「小さな成功体験」から

「どこから手をつければいいかわからない」という中小企業も多いはずです。だからこそ、身近なテーマでのデジタイゼーションをおすすめします。

例えば…
・まずは紙帳票のデジタル化から着手
・現場の声をよく聞き、「困りごと」を出発点にする
・100点満点を目指さず、まずは「やってみる」ことを重視

また、小さな改善から始めることで、現場の負担を抑えつつ、徐々にDXの効果を実感できます。
(スモールスタートに最適な改善例)
・製造日報の紙からExcelテンプレートへの切り替え
・目視点検のチェック項目をデジタル化し、スマホやタブレットで共有
・紙の掲示物をGoogleドライブで管理・共有する
・月1回のFAX発注をメール送信に切り替える

5.一歩ずつ、DXを自社の「当たり前」に

中小製造業のDXは「全部を一気に変える」必要はありません。まずは小さな成功体験を積み重ねることが大切です。小さな成功体験が、組織全体の意識を変え、DXを自社の「当たり前」にしていく第一歩となります。

また、完璧な計画よりも「まず動き出すこと」が重要です。小さな変化の積み重ねが、やがて会社の強みになります。自社のペースで、一歩ずつDXを進め、デジタイゼーションを通じて業務の見える化と効率化を実現しましょう!

次回のDAY4では、「フェーズ3:デジタライゼーション ~業務プロセス全体を変える~」をお届けします。
デジタイゼーションで得たデジタルデータを活用し、業務プロセスの抜本的な改革を目指すフェーズです。お楽しみに。

\\DAY4:「デジタライゼーション 」で業務改革!//

DAY4:デジタライゼーション~業務プロセス全体を変える!~

           

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