生産計画とは?立案の方法と策定時によくある課題・ポイント

著者:ものづくりコラム運営 生産計画とは?立案の方法と策定時によくある課題・ポイント

製造業を事業内容とする企業は、事業活動として製品を生産し、販売します。生産にあたっては、最初に経営計画や販売計画を立案し、その内容に基づいて生産する製品の種類や生産の時期、生産する数量などを計画します。生産計画とは、経営計画や販売計画、生産能力や注文状況を踏まえて、どの製品を、どのくらいの数、どのくらいの納期で生産するかをあらかじめ取り決めることです。しかし、生産計画と一括りに言っても、その内容や手法について具体的に理解していない方は多いのではないでしょうか。

この記事では、製造業において必須ともいえる生産計画の基礎知識に加えて、生産計画の立案方法や、策定時によくある課題、押さえておくべきポイントについて解説します。また、製造業向けのおすすめの生産計画システムもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.生産計画に関する基礎知識

はじめに、生産計画の定義と計画の方式、生産計画の立案を便利にするシステムについて基礎的な内容を解説します。

生産計画の特徴

生産計画には、主に次の内容が含まれます。
・製品の種類や数量
・製品を生産する時期
・製品の原材料や生産に必要な部品、資材
・製品の生産日程
もしこれらの生産計画に一つでも不備があると、製造現場においAてさまざまなトラブルが発生することが懸念されます。たとえば、在庫に過不足が生じたり、納期遅れが発生したり、部品の調達が進まなかったりといったものです。見方を変えると、生産計画が綿密に立てられており、急な変更にも余裕を持って対応できる環境が整っていれば、生産活動は遅滞なく進めやすくなります。したがって、生産計画は企業の事業活動として不可欠であるといえるでしょう。

生産計画の方式

生産計画には、「押し出し方式」、「引っ張り方式」と呼ばれる二つの手法が存在します。

・押し出し方式
押し出し方式とは、事前に策定した生産計画に基づいて、部品を供給する前工程から、部品を使用する後工程の順序で製品を生産するやり方のことです。「PUSH型」と呼ばれることもあります。各工程の状況の変化を考慮せず、最初の生産計画どおりに生産を進めることが押し出し方式の特徴です。この方式では在庫に過不足が生じやすくなるというリスクはありますが、計画的な生産が可能となります。
・引っ張り方式
引っ張り方式とは、顧客が要望する数量や納期に基づいて生産計画を立案し、製品を生産するやり方のことです。こちらは「PULL型」とも呼ばれます。引っ張り方式では、後工程から前工程に対して生産指示を出し、生産することが特徴です。後工程での生産が進んで材料が必要になると、手配すべき分の材料の指示を前工程に送ります。押し出し方式では、残りの製品在庫数を計算した上で生産数を事前に決定し、生産を行います。
一方、引っ張り方式では顧客からの受注数に応じて生産数を決定することから、過剰在庫を避けやすくなります。ただし、引っ張り方式を採用するには、一定の条件を満たす必要があります。具体的には、定量在庫数の管理や製品の種類や生産数などの平準化を行い、一定期間で安定した生産ができる状態にするなど条件が挙げられます。

生産計画システムとは?

昨今では、IoTの進歩により、生産計画はITシステムを活用した自動化が可能となっています。このシステムは「生産計画システム」、または「生産スケジューラ」と呼ばれます。似た名称の「生産管理システム」も存在しますが、生産管理システムが製造業の業務全般を最適化するものであるのに対し、生産計画システムは生産計画の課題に特化している点が主な違いです。生産計画システムを導入することで、生産計画にまつわる各種データを正確かつ一元化して取得できるメリットがあります。また、既存の生産管理システムと連携することでデータの受け渡しをスムーズにしたり、各システムへのデータ入力の手間を削減したりと、生産計画・生産管理のさらなる効率化を実現することも可能です。

2.【期間別】生産計画を立てる3つの方法

生産計画は、計画の期間に合わせて、「大日程計画」から「中日程計画」、そして「小日程計画」の順序で策定していきます。

大日程計画

大日程計画とは、3か月から1年間程度にわたる長期的な生産計画です。
大日程計画で行うべきことは、需要の予測です。具体的には、過去の受注数や売上といったデータを分析したうえで必要とされる数量を予測し、生産数を決定します。また、原材料や部品の準備もこの予測に基づいて行うことになります。大日程計画を立てる目的は、生産に必要な資金や人員、材料や設備などを事前に準備しておくためです。これらのリソースが十分に確保されているかどうか確認し、不十分な場合は計画立案の段階であらかじめ調整することになります。

中日程計画

中日程計画とは、1か月から3か月にわたる、中期的な生産計画です。1か月単位で立案されることが多く、「月次計画」と呼ばれることもあります。中日程計画は製品の生産量や部品・原材料の調達、生産能力の把握、人員配置(シフト)などの計画で構成されます。大日程計画で確保したリソースを、中日程計画で各所に割り振っていきます。

小日程計画

小日程計画は、1日から1か月程度の短期的な生産計画です。小日程計画は現場にもっとも近い計画であることから、大日程計画や中日程計画と比べて粒度の細かい内容になります。小日程計画では、中日程計画で定めた生産量や材料の数、人員や設備などのリソースに基づいて作業指示書を発行し、各部門や各作業員に対して具体的な作業指示を行います。

3.生産計画の主な課題と計画立案のポイント

生産計画を立案し、実行する際にはいくつかの課題が発生します。ここでは、生産管理の課題について触れると共に、計画立案をスムーズに進めるポイントを解説します。

生産計画でよくある課題

製造現場では、突然の計画変更に対して柔軟に対応することが難しい傾向にあります。たとえば、出荷時期や納期の変更、生産負荷の調整、販売計画への反映などです。加えて、もし品質面でなんらかの問題が生じた場合、通常業務に加えて問題を解決するための一時的な業務が発生する場合もあります。こうしたイレギュラーな事態の発生を減らしていくには、生産にかかわるデータを分析し、より精度を向上させた綿密な計画の立案が重要です。

適切な計画立案のポイント

生産計画を実行するにあたって、不測の事態は起きないことが望ましいものの、予期せぬトラブルの発生はつきものです。また、顧客の要望に応じて計画変更を余儀なくされる場合も多々あり、イレギュラー対応までを織り込んだ計画を立案する必要があります。とくに在庫や時間、生産能力などは、想定外の変動に対応できるように、余裕を持って見積もることが望ましいといえます。また、中長期的な生産計画においては、定期的に内容の見直しを行うことで精度を高めやすくなるでしょう。
適切な生産計画を立案するには、「生産計画システム」の導入がおすすめです。現場の状況をリアルタイムに反映できる生産計画システムでは、管理業務を効率化し、計画変更に対応しやすくなる大きなメリットがあります。

生産スケジューラの活用例

おすすめの生産計画システムとして、生産スケジューラ「Seiryu」をご紹介します。Seiryuは、多品種・少量生産の製造業向けに特化した機能を備えた生産計画システムです。生産計画の立案に当たっては、工場内の負荷状況を逐一かつ正確に把握する必要があります。しかし、実際に工場に出向いて状況を把握しようとすると、どうしても多くの時間と手間がかかってしまいます。Seiryuを活用すれば、現場の負荷がシステム上で確認できるようになります。急な計画変更が生じた際に工場の稼働状況をすぐに把握し、自動的に機械を割り当てるなど、迅速な対応が可能です。また、現場にいなくても管理画面上で作業の進捗状況を把握でき、計画変更に応じてスケジュールの再調整が自動的に行われます。具体的な活用イメージを以下に示します。

・生産計画の作成(任意で設定した条件に基づき、生産計画を立案できる)
・生産計画の調整(機械の故障、特急品の受け入れを考慮して再計画できる)

なお、Seiryuは既存の販売管理・生産管理システムと連携が可能です。システム連携を行うことで、マスタ登録等の手間を最小限に抑えながら運用できます。

生産スケジューラ「Seiryu」を詳しく知りたい方はこちらの紹介ページをご覧ください。
多品種・少量生産の製造業向けに特化した生産スケジューラ『Seiryu(セイリュウ)』

 

 

 

4.生産計画のコツはシステム導入による効率化

製造業が一定の品質を維持しながら滞りなく製品を生産し続けるために、生産計画の立案は不可欠です。生産計画の立案に当たっては、生産にかかわるデータの分析結果に基づき、精度の高い予測を立てる必要があります。しかし、どれだけ綿密な計画を練ったとしても、予期せぬトラブルや、顧客の要望などに応じて、計画変更を余儀なくされるケースは少なくありません。こうした不測の事態に備え、計画立案には余裕を設け、実行する際は軌道修正を適宜行う必要があります。しかし、これには現場の負荷状況や作業能力を逐一把握する必要があり、担当者に大きな負担が強いられることとなります。
適切な生産計画の立案のためには、今回ご紹介した「Seiryu」のような生産計画システムの活用がおすすめです。生産スケジューラなどのITツールを活用することで担当者の負担を軽減し、生産計画の自動化を実現します。自社の課題解決に向けたソリューションとして、活用を視野に入れてみてください。

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