事業継続計画(BCP)の現状と効果

著者:榊原 由佳(さかきばら ゆか) 事業継続計画(BCP)の現状と効果        
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榊原 由佳(さかきばら ゆか) IT経営事業部

2014年入社
中小企業診断士 2020年5月登録

入社以来、中小製造業様向け生産管理ソフト「TECHS」のカスタマーサポート部において、サポート業務に従事。
TECHSに関するお客様からの様々な問い合わせやトラブルの対応を行い、システムの安定稼働を通して、業務改善を支援しています。

1.はじめに

みなさまの会社では、事業継続計画(BCP)を策定しているでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大、令和6年能登半島地震などの災害が記憶に新しいのではないでしょうか。このような災害の発生自体は、自社でコントロールすることはできません。だからこそ、事前に備えることによって、不測の事態に際し、業務の中断リスクを下げ、短期間で復旧を行うために事業継続計画(BCP)の策定が重要です。

2.事業継続計画(BCP)とは

事業継続計画(BCP)とは、企業や組織が災害、事故、経済的ショックなどの予期しない事態に直面したときに、その活動を最小限の中断で持続または速やかに再開するための戦略的計画です。BCPは、リスクを特定し、影響を評価し、対応策を計画するプロセスを含みます。これにより、組織は人員、安全、資産保護、データ管理、サプライチェーンの維持など、重要な事業機能を守ります。計画には緊急時連絡網、代替作業場所の確保、ITシステムのバックアップなどが含まれ、定期的に見直しと訓練が行われることで有効性を高めます。最終的にBCPは、企業のレジリエンス(回復力)を強化し、信用維持や法的・規制上の要求に適合することを目指します。

3.中小企業の事業継続計画(BCP)の現状

中小企業白書によると、BCPの策定率は大企業でも中小企業でも上昇傾向にあります。2023年の策定状況を見ると、大企業で35.5%、中小企業で15.3%になっています。

出典:「2024年版 中小企業白書 小規模企業白書」(中小企業庁)

中小企業における事業中断リスクに備えた実施・検討内容では、「従業員の安否確認手段の整備」が最も高く、65.1%となっています。次いで、「情報システムのバックアップ」が54.1%、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が38.4%と続いています。また、僅差で「災害保険への加入」「調達先・仕入先の分散」「事務所の安全性確保(建物の耐震性補強、設備の転倒・落下対策など)」がほぼ横並びとなっています。

出典:「2024年版 中小企業白書 小規模企業白書」(中小企業庁)

4.事業継続計画(BCP)の効果

事業継続計画(BCP)の策定効果として、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が最も高く51.6%を占めています。
また、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」「業務の改善・効率化に繋がった」「取引先からの信頼が高まった」など、日常業務の改善や効率化にポジティブな影響も与えています。

出典:「2024年版 中小企業白書 小規模企業白書」(中小企業庁)

5.まとめ

BCPは、緊急事態に備えるとともに、その策定を通して、従業員のリスク意識の向上、業務の改善など、緊急時以外の面でもよい効果が見込まれます。
災害はいつ起こるか分かりません。事前に準備して、いざという時に備えましょう。

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