従業員に会社の経営成績を公開していますか?《先義後利》
著者:荒井 哲(あらい さとし)中小企業診断士、ITコーディネータ
大阪大学工学部機械工学科卒業
テクノアには営業職として入社。
営業活動では、年間約200社の製造業を訪問して現場を多数経験。
現在は、中小製造業にIT経営コンサルティングをご提供する「IT経営事業部」に所属。
財務分析、生産管理システム導入前分析、課題解決提案を専門領域とします。
「うちの従業員はコスト意識が低くて困っているんだ。」
「従業員は会社の業績なんて他人事で、孤独を感じる。」
という経営者は少なからずいらっしゃいます。
そういった時に、私がいつも必ず尋ねるのが、「会社の経営成績を従業員に公開していますか?」ということです。
経営成績とは、例えば「会社の1年の売上高が2億円で、利益は2,000万円でした。」と言うことですが、従業員に売上・利益を伝えていない会社が多いのです。
私は日頃、中小製造業の経営者とお会いしていますが、体感では半分以上の中小製造業では、従業員は会社が儲かっているのかどうか分からない中で仕事をしています。
1.会社の売上・利益を従業員が知らないと、どのような問題があるのか。
会社の売上・利益を知らないと、様々な悪影響があると考えられます。
その様な会社は、年間の売上目標や利益目標も曖昧にしがちです。
売上目標が無いと、ただモノを作れば良い、という惰性で仕事をすることになりがちであり、
また、利益の目標が無い会社の多くは、物件の原価管理も行っていませんので、
「何が儲かっていて、何が儲かっていないのか分からない。」という状態になってしまいます。
また、このような会社は、従業員のコスト意識も低いです。
これでは、利益を生み出している仕事に経営資源を集中させることなど難しいですし、
「売上は伸びたけど、利益は減ってしまった。」「今年は忙しかったけど、あまり儲からなかった。」
ということになり、原因が分からないので対策することができません。
2.売上目標・利益目標を立てて、従業員と共有し強い組織を作る
このような悪い状態にならないためにも、まずは、「売上目標」「利益目標」を立てることから始めていきましょう。そして、1年を終えたら、経営成績を従業員に発表しましょう。
経営成績はただ公開すれば良いわけではありません。目標達成したご褒美としてボーナスを約束するとか、正しく理解してもらうための一定の知識や補足は必要ですが、その点は、専門家と相談しながら、進めていくことも良いでしょう。
これがうまく行けば、従業員から「自分はどうしたら、会社の利益に貢献できますか?」と自ら会社のために動くようになります。
また、ITを活用して、物件の原価管理をする仕組みも必要になってきます。
従業員が会社の利益に貢献したいのに、「何が利益を生み出していて、何が赤字の原因なのか分からない。」という状態では、何から手を付けて良いのか分かりません。
働く一人一人が会社と同じ方向を向いていること、会社のことを「他人事」ではなく、「自分事」のように思う、そのような強い組織を作っていきましょう。
弊社でも、財務分析とIT利活用をご提案することで、会社組織を強くするコンサルティングを行っております。
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