CCCとは?運転資金との違いや計算方法、日数を短縮するコツ

著者:ものづくりコラム運営 CCCとは?運転資金との違いや計算方法、日数を短縮するコツ

経営者や経理のご担当者ならCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。米国で多くの企業に浸透している方法で、企業の資金繰りの状態を表す指標として使われています。
ここではCCCの意味と運転資金との違い、計算方法と改善方法をわかりやすく解説します。運転資金や資金繰りに困らない経営を目指したい方は、CCCを取り入れてキャッシュフローの改善に役立てましょう。

1.CCCとは?

まずはCCCの意味や計算方法、CCCと運転資金(運転資本)との違い、CCCの改善方法などについて詳しく解説していきます。

CCCの意味

CCCとは、「Cash Conversion Cycle(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」の略語で、企業が商品や原材料の仕入れに現金を投入(仕入債務)してから、現金(売上債権)を回収するまでの効率性や日数を示し、企業の資金効率(企業の調達した資本の運用効率を評価する指数)を確認するための指標として利用されるのが一般的です。仕入れから商品の販売までは手元のキャッシュが減っている状態のため、CCCが短いほど資金繰りが安定していることを意味します。CCCは金額でなく期間(時間)を表す言葉です。

運転資金(運転資本)との違い

運転資金(運転資本)は事業活動を継続するために必要な資金のことで、 「Working Capital(ワーキングキャピタル)」とも呼ばれます。CCCとの違いは、CCCが必要な資金量を期間(日数)で表すのに対して、運転資金は金額ベースで表しているかの違いです。

2.CCCの計算方法

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)は「売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数」で計算できます。まず、それぞれの各項目についての計算方法を以下で解説していきます。

売上債権回転日数

売上債権回転日数とは、売上が発生してから実際に代金を回収するまでにかかる期間のことです。期間が短いほど現金の回収スピードが速く、資金繰りが健全な状態といえます。計算式は下記のとおりです。
計算式「売上債権回転日数=売上債権/(売上高/365日)」
・売上債権:売上は発生しているものの、実際に代金は受け取っていない営業上の債権です。受取手型、売掛金などで計算式は下記のとおりです。
計算式「売上債権=受取手形+売掛金-前受金」

棚卸資産回転日数

棚卸資産回転日数とは、商品を仕入れてから販売するまでにかかる期間のことで、在庫回転日数とも呼ばれます。期間が短いほど在庫回転率が良く、滞留在庫や過剰在庫が少ないことを示します。計算式は下記のとおりです。
計算式「棚卸資産回転日数=棚卸資産/(売上原価/365日)」
・棚卸資産:在庫を意味します。商品、製品、原材料、仕掛品 などで、計算式は下記のとおりです。
計算式「棚卸資産=商品+製品+原材料+仕掛品等」

仕入債務回転日数

仕入債務回転日数とは、商品や原材料を仕入れてから実際に代金を支払うまでの期間のことです。 買入債務回転日数とも呼ばれ、日数が長いほど、キャッシュが手元に残る期間が長いため、資金繰りがしやすくなります。ただし、与信審査の際に資金繰りの悪化をごまかすために支払いを遅らせている、と評価されるおそれもあるため、過度に長くならないよう注意する必要があります。計算式は下記のとおりです。
計算式「仕入債務回転日数=仕入債務/1日あたりの仕入高」
・仕入債務:商品やサービスの購入後、未払いとなっている債務のことで、計算式は下記のとおりです。
計算式「仕入債務=支払手形+買掛金-前払金」

仕入債務支払高は「期首仕入債務+当期仕入高-期末仕入債務」で算出可能で、実務上は売上原価を用いるケースも多いです。

3.CCCの改善方法

CCCの短縮には売上債権回転日数と棚卸資産回転日数の短縮、仕入債務回転日数の延長が効果的です。
仕入先へ支払いの入金を長くとれば、仕入債務回転日数の延長でCCCを短縮が可能ですが、逆に仕入先から見た場合、売上債権回転日数が長くなり、その結果、仕入先にお金が入らず、負担がかかってしまうこととなります。自社のCCCが短縮したことで取引先のCCCが長くなる可能性があるため、取引先との関係性が悪くなってしまうため、バランスを考慮する必要があります。

支払い期限を交渉する

仕入先に発注前に支払い期限を長めに設定してもらうよう交渉することで、仕入債務回転日数の延長が可能となります。仕入先も大口の顧客の獲得や、今後の安定的な発注が継続取引に繋がる可能性があるなどメリットの考えられる条件を提示する必要があります。

売掛金を減らして現金取引を増やす

なるべく売り掛けには応じず、現金商売に近い取引条件へ転換します。取引先には現金での支払いに切り替えてでも、取引を継続することがプラスと思ってもらえることが大切です。

販売方法の見直しを行う

新しい製品を、予約販売という方法もあります。また、相手先の必要量などが正確にわかっていればその分を作り販売したり、注文を受けてから生産、販売したりするなど、販売方法を見直しそもそもの売上をあげていくことを検討していきます。

商品の販促活動に力を入れる

既存の相手先にリピートしてもらえるよう相手先の必要な時期を見極めて買うきっかけをつくっていくというような販促活動をしたり、SNSなどで認知度を高めたり、新規顧客の獲得に力を入れて獲得後は製品の試用期間などを設け購入に導きます。

適正在庫を維持する

在庫量を適正に保つことで、在庫の滞留を最小限に抑え、棚卸資産回転日数の短縮につながります。そのため、精度の高い需要予測や在庫管理を行うシステムの導入が必須です。
生産管理システム:製造現場における納期や仕入れ、在庫、原価などの情報を一元管理するためのシステムのことです。


・個別受注型 機械装置業様向け 生産管理システム『TECHS-S』(テックス・エス)

 

 

「TECHS-S(テックス・エス)」は個別受注型の機械・装置業様向けの生産管理システムです。受注から売掛・買掛管理といった業務データの一元管理できるシステムです。また他にも、システム導入により下記のようなメリットが得られます。
 ①個別受注型製造業に特化
 ②部品マスタの事前登録なしで運用可能
 ③CADやExcelからの部品表データを取り込める
 ④在庫品のトレース管理
 ⑤バーコードを用いて、仕入れや作業実績の入力が簡単
 ⑥EUC Tool(オプション)の利用によりデータの有効活用
 ⑦仕掛中の原価と完成時予測原価がリアルタイムに把握可能

 

*導入による効果は「OA(オフィスオートメーション)効果」や「進捗・納期管理の強化と原価低減効果」、「利益体質(会社の品質)への改善と継続効果」など、多くの企業様が抱えているお悩みをより深く改善することができます。中でも、管理職やベテラン社員を事務作業から開放することができるのがポイントの一つです。なぜなら、管理職やベテラン社員に製品開発や顧客の開拓に注力してもらえるようになるためです。改善効果の結果(情報)を積極的に開示「見える化」・「見せる化」して、公平な数字評価により全社員のやる気を引き出すことができます。
*導入実績は4,500社を超えており、あらゆる製造品目での実績やノウハウを蓄積しております。一例ですが、精密板金筐体等の設計製造、産業用電源機器の設計製造電気自動車用急速充電器の設計製造販売他、システムインテグレータ(SIer)、高圧受配電盤、低圧配電盤の設計製作、制御回路設計及び制御盤の設計製作、計装回路設計及び計装盤の設計施工といったサービスを展開している企業様に導入いただいております。

 

「TECHS-S」を詳しく知りたい方はこちらの紹介ページをご覧ください。
個別受注型 機械・装置製造業様向け生産管理システム『TECHS-S』

・多品種少量型 部品加工業様向け 生産管理システム『TECHS-BK』(テックス・ビーケー)

 

 

多品種少量型 部品加工業様向け生産管理システム「TECHS-BK(テックス・ビーケー)」は、中小製造業様の生産管理システムです。複雑になりがちな下記のようなデータを一元管理できるというメリットがあります。
 ①受注から生産、売上代金まで一元管理
 ②「品番マスタ登録なし」で運用
 ③バーコードハンディターミナルにより、リアルタイムに進捗状況を把握
 ④得意先からの受注データを取り込み可能
 ⑤図面参照機能で、過去図面もすばやく引き出せる
 ⑥先行製番にも対応
*導入による効果として「TECHS-S」同様に、「OA(オフィスオートメーション)効果」や「進捗・納期管理の強化と原価低減効果」、「利益体質(会社の品質)への改善と継続効果」が挙げられます。OA効果では、ハンディーターミナル運用になるため、原価集計時間を大幅に短縮することができます。また、製番単位の個別原価をリアルタイムに知ることができるため、黒字化対策が図れます。
*導入実績ですが、機械用部品製造業、金型・同部品製造業、金属加工業、航空機部品製造業、弁・同付属品製造業など幅広い業種でご利用頂き、多品種少量生産形態での加工業全般に適合します。

 

「TECHS-BK」をもっと詳しく知りたい方はこちらの紹介ページを参考にしてみてください。
多品種少量型 部品加工業様向け生産管理システム『TECHS-BK』

4.まとめ

CCCを元に全体的なバランスが大事

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)や運転資金との違いや計算方法、日数を短縮するコツを解説してきましたが、CCCは企業の資金繰りの状態を知るために有益です。自社のCCCを確認して同業他社と比較したり、長期的な推移を見たり、資金繰りの改善に役立てましょう。改善を進めていくなかで、精度の高い需要予測や適正在庫を維持するために、在庫管理システムの導入も必要となってくるでしょう。また、数値だけにとらわれず、取引先とのバランスを取りながら、資金繰りの方法について検討しつつ、経営にお役立てください。

 

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