生産管理システムとERPの違いとは?特徴と製品の選び方

著者:ものづくりコラム運営 生産管理システムとERPの違いとは?特徴と製品の選び方

生産管理にシステムを導入する際、ERPについても検討する場面が多いかと思われます。
生産管理システムなどの業務支援システムとERPは、どちらも企業の業務を効率化するシステムですが、異なる目的をもっています。

本記事では、ERPと生産管理システムの基本的な違いについて解説します。あわせてどちらを選択すべきか、導入する際のポイントなども紹介します。デジタル化を推進して生産管理の業務効率化を実現しましょう。

1.ERPと生産管理システムの違いについて

ここではERPと生産管理システムの違いについて解説します。

ERPとは

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称で、企業資源計画のことを指します。「ERPシステム」として導入されている場合が多く、“企業の業務全体”の効率化を図るシステムです。
つまり、生産管理システムや会計システム、人事管理、物流管理といった業務を統合し、情報の一元化を行うことで効率化を図るシステムとも言えます。

ERPシステムには基幹業務の主な機能が備わっており、基幹システム、あるいは基幹業務システムと呼ばれています。製造業における基幹業務とは、製造、流通、販売、在庫管理、財務会計、経費精算、人事管理などです。上流の管理がしやすくなるほか、下流工程にも対応しています。

●ERPの魅力
ERPの魅力は、各管理システムが連携しやすくなる点です。マスタが統合されているため、二重に行っていた作業がなくなります。帳票間の数字の不一致という事態をERPの導入によって防ぐことが可能です。

システムを一元化することで運用保守などのコスト削減にもつながります。部門ごとに販売管理システムや会計システムが存在していると、それぞれの監視やバックアップが必要になり、管理が煩雑になります。ERPであれば、部門や業務ごとに個別システムを導入するよりもコストが抑えやすいのです。

 

●ERPのデメリット
RPのデメリットは、企業独自の管理手法にそぐわないケースがある点です。ERPはカスタマイズをせずパッケージとして導入する場合があります。そのため、工場の業務プロセスにおいて独自の手法があった場合、ERPに合わせるためルールの変更が必要になるケースがあります。

個別にシステムを導入するよりもコストは抑えられるものの、単体での費用は高めです。企業の規模や業務体制によってはオーバースペックの場合があり、導入コストが無駄になりがちです。

 

生産管理システムとは

生産管理システムとは、生産管理の3要素である品質・コスト・納期(QCD)の最適化を目的とするシステムです。顧客が求める品質を守り、安い製品を短納期で納品するには欠かせないものです。主なシステムの機能としては、受注管理、生産計画、必要材料試算(MRP)、工程管理、品質管理、出荷管理、原価管理などがあります。

ERPは企業の業務全体を対象とするシステムですが、生産管理システムは“生産業務”の効率化を図るシステムです。生産管理の分野に特化しているため、現場での管理がしやすくなります。

●生産管理システムの魅
生産管理システムの導入メリットは、ERPに比べて生産管理システム単体のコストは低めである点です。初期費用を抑えたい中小製造業や、生産管理に特化したシステムを導入したい企業には適しています。

生産管理システムはベンダーによってさまざまなシステムがあるため、特殊なオペレーションや複雑な製造工程にも対応しやすい点も強みです。見込み生産や受注生産、多品種少量生産や少品種多量生産などさまざまな生産形態に適応できます。業務の無駄を発見し、改善することで生産スピードや品質の向上につながる点もメリットです。各工程の工数や製造状況、過去の実績などを確認する機能などもあります。

 

●生産管理システムのデメリット
生産管理に特化しているため、自社に合うシステムを選べないと使いこなすのが困難です。たとえば個別受注生産の場合には製番管理に対応した生産管理システムが必要ですが、ロット生産に対応したシステムを導入すると使いこなせません。

営業や経理部門に販売管理システムや会計システムがあれば、生産管理システムとのデータ連携も必要です。マスタ登録などの作業もそれぞれのシステムで行うため、手間が発生し業務効率が下がるおそれがあります。

 

2.製造業においてERPと生産管理システムはどちらを導入するべき?

ERPと生産管理システムの比較をする際に、そもそも管理したい業務範囲や導入の目的が異なるため、いま自社で何を優先的にシステム化を行いたいのか整理したうえで比較することをおすすめします。したがって、企業の業態や生産品目、生産管理業務のフロー、事業規模などによって導入の優先度を決めるとよいでしょう。

一般的にERPは大規模な企業に適したソリューションです。企業内にさまざまなITシステムが乱立しており「業務改善を実現したい」「情報を一元的に管理したい」場合にはERPが適しているでしょう。製造業にとって大切なサプライチェーン全体の管理もできます。

一方、生産管理システムは中小企業向けのシステムが多く販売されています。「ERPでは不要な機能が多い」「複雑な製造工程のためERPでは機能が足りない」といった場合は、生産管理システムを導入するのがおすすめです。

中小企業で生産品目、生産形式が特殊、複雑なケースなども生産管理システムが適しているでしょう。まずは生産管理システムを導入し、事業規模の拡大や生産フローの改善・簡易化などが実現したらERPを検討するという方法もあります。段階的に導入すると、現場の混乱も減らせます。

3.ERPや生産管理システムを導入する場合に確認するべきポイント

ERPや生産管理システムを導入する場合、業務フローや予算、使用環境、セキュリティなどさまざまな点からの検討が必要です。ここではシステム導入の際に確認するべきポイントを紹介します。

自社の製品・業務フローとの相性

自社のオペレーションによって適した機能が変わるため、自社の製品や業務内容とシステムとの相性をチェックすることが大切です。具体的には生産方式、業種業態、製造品目、自社の規模、売上高などを考慮し決定するとよいでしょう。

ERPであれば、多種多様なモジュールが存在します。すべてのモジュールを使用するよりも「どのモジュールを取捨選択し」「どのように使用するのか」を決めることが重要です。見込み生産品を取り扱う企業なら、生産管理モジュールを効率的な生産計画の立案やタイムリーな原材料調達などに使用するとよいでしょう。

見込み生産で生産管理システムを導入するなら、「需要予測の機能はあるか」はチェックポイントの一つです。需要の分析を正確にできれば、適切な販売計画を立案できます。大日程計画・中日程計画・小日程計画を立案できる機能があるかも重要です。

使用する環境や予算との兼ね合い

ERPと生産管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があります。使用する環境や予算などを考慮して、クラウド型とオンプレミス型のどちらかを選ぶとよいでしょう。

●クラウド型とは
クラウド上で構築されたシステムを利用するタイプです。従来はオンプレミス型が主流でしたが、近年ではクラウド型のERPや生産管理システムも増えています。
クラウド型は、サーバといった機器や自社内の環境構築が不要で、初期費用を比較的抑えられる点がメリットです。アクセスの利便性向上のほか、システムのバックアップやメンテナンスなどの保守運用コストも低減できます。一方で、オンプレミス型に比べ、機能のカスタマイズの自由度が低い場合があります。

 

●オンプレミス型とは
オンプレミス型は、自社でサーバやネットワーク環境を用意し、管理するタイプです。自社の業務に合わせて設計できる点がメリットです。ただし、クラウド型と比べ管理をすべて自社で行う必要があります。メンテナンスやアップデートなどの対応も自社で行うのが基本であるため、保守運用コストもかかります。

 

セキュリティ面

セキュリティに関して十分に配慮された製品を選ぶとよいでしょう。
製造業ではサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃が起きており、生産がストップする事態もあるためです。

ERPは企業の重要な情報を一元管理するため、マルウェア対策のされたセキュリティに関して問題ないものを選ぶことが望ましいと言えます。クラウド型は、通信の暗号化や二要素認証などに対応しているかどうかも重要な判断ポイントです。

サポート体制

システムに問題や不具合が起こった場合に、素早く対応してもらえるサポート体制が整っているかも重要です。システムの導入時やアップデートの際は不具合が起こりやすいものです。サポート体制が手厚いサービスなら、問題発生時も業務への影響が抑えられます。

現場での使い方のレクチャーを行っているかなど、必要なサポート体制も重視しましょう。
新しいITシステムを導入した際に操作方法や使い方がわからないと、結局はExcelを使用するケースもあるためです。

4.中小製造業の業務に特化したおすすめの生産管理システム

ERPの導入前に、まずは生産管理システムを導入することをおすすめします。ここでは中小製造業に適したテクノアの生産管理システムについて紹介します。

「TECHS-S NOA(テックス・エス・ノア)」

「TECHS-S NOA(テックス・エス・ノア)」は個別受注生産に特化したクラウド対応型の生産管理システムです。クラウド環境であるため短期間で導入できます。利用料金は定額制で、初期費用を抑えて利用できる点も特長の一つです。

個別生産では注文ごとに部品表を作る作業がネックとなります。しかし、TECHS-S NOAは部品表取込機能でCADやExcelから簡単にデータを取り込み、部品表に登録できます。進捗問い合わせ画面では、製番ごとにリアルタイムな進捗状況の把握が可能です。
また、ユーザー様からのご要望を反映した、帳票などのレイアウト変更ができる設計機能もあり、自社の運用に合わせた使い方ができる点もおすすめです。

「TECHS-BK(テックス・ビーケー)」

「TECHS-BK(テックス・ビーケー)」は、多品種少量生産の部品加工業様向けの生産管理システムです。ハンディターミナルにより、実績をリアルタイムに収集する機能があります。図面参照機能を使用すれば、過去の図面や類似図面などを素早く取り出せます。

多品種少量生産では納期管理が重要です。TECHS-BKなら、ガントチャートで日程計画を作成できます。たとえばガントチャートを現場の大型モニターに表示すれば計画の見える化ができ、社員一人ひとりの納期意識も高まります。

5.ERPや生産管理システムを導入する際は企業の特徴に合わせて

製造業で利用されるITシステムにはERPや生産管理システムなどがあります。ERPは企業の業務全体を一元管理するシステムで、生産管理システムは生産管理に特化したシステムです。

どちらを選ぶかは、その企業の生産方式、業種業態、製造品目、事業の規模、売上高などによって変わります。

中小製造業であれば、生産管理システムがおすすめです。複雑な製造工程や業務フローを考慮できるほか、初期費用も抑えられます。工場のDXを実現したい方は、テクノアの生産管理システムをぜひご検討ください。

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