遠隔監視とは?システムの活用方法や導入の注意点、導入事例

著者:ものづくりコラム運営 遠隔監視とは?システムの活用方法や導入の注意点、導入事例

工場や発電所では、カメラやセンサーを使用した遠隔監視システムの導入が進んでいます。遠隔監視システムの活用は、工場の安全性や生産性向上、情報の一元管理などさまざまな効果をもたらしてくれます。

そこで本記事では、近年注目される遠隔監視とは何か、遠隔監視システムの活用方法や導入時の注意点などを解説します。併せて現場のカイゼンに役立つソリューションも紹介しますのでぜひ参考にしてください。

1.遠隔監視とは

遠隔監視とは、カメラやセンサーなどを設置して生産や設備保全に関する情報を遠隔地から監視することです。社内ネットワークやインターネットとつながるため、収集した情報をオンライン上で一元的に監視できます。

生産データや各種情報はパソコンやスマートフォン、タブレットなどのモニターで確認できるため、管理室などの特定の場所で監視する必要もありません。

遠隔監視の中でも代表的なものは、防犯対策などで使われるネットワークカメラです。ペットカメラや防犯カメラでもお馴染みのネットワークカメラは、カメラにIPアドレスが割り振られており、給電と映像の伝送はLANケーブル一本で済むため大掛かりな工事は必要ありません。Wi-Fi対応であれば内蔵の電池でワイヤレスに映像を見られるといった利便性から、屋外で使用する工場やプラントでも導入が進んでいます。

集められる情報や使用する機器は遠隔監視システムによってさまざまです。発電量を監視できるものや、センサーや制御装置であるPLC(Programmable Logic Controller)などを組み合わせたシステムであれば、生産状況のリアルタイム監視やエラー発見に使用されます。

2.遠隔監視システムの活用方法

遠隔監視システムの役割は防犯だけではありません。近年ではIoTやAIといった先端技術と組み合わせることで、工場を自動化するスマートファクトリーとして活用する方法もあります。遠隔監視システムの代表的な活用方法について紹介します。

リアルタイムで生産状況を把握する

遠隔監視システムの活用法の一つは、生産状況の把握です。遠隔監視と言われるとおり、遠隔地の生産状況でもリアルタイムに収集できる点がメリットになります。たとえば太陽光発電所のような施設でも、離れた場所から発電量のモニタリングが可能です。

生産に関わるデータや映像を収集して可視化すれば、機械設備の異常を検知できます。異常時のデータ蓄積や可視化、アラート通知により、オペレーターや保全担当者は異常を早期発見できるのです。故障発生時にも迅速に対応できます。

特に化学プラントでは、設備に取り付けられたセンサーから流量や圧力、温度、振動などの各種データを収集、カメラの映像と併せることで異常にいち早く気付くようなシステムを構築しています。

さらに遠隔監視システムなら稼働状況の連続データを蓄積・記録し、AIに学習させることにより、設備の不具合や生産の異常を予知する活用法もあります。従来の、「壊れてから直す事後保全」から、「壊れる前にメンテナンスをする予知保全」への移行を後押しするでしょう。

複数の製造ラインを一元管理する

複数の生産拠点を保有するような場合、一括して監視する活用法もあります。遠隔地から複数拠点を管理する用途としては、VMSとSCADAを組み合わせたシステムがあります。

VMS(Video Management System)は監視カメラの映像をサーバーに保存、表示させるソフトウェアサービスです。中央監視室などで、映像をリアルタイムに監視できます。

SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)は「データ収集」と「監視制御」の役割を持つシステムです。プラントや発電所などで生産を監視・制御するために使われています。

VMSでカメラ映像をデジタル化してSCADAと統合すれば、複数拠点の映像と各種データを本社で一元管理し、熟練技術者による遠隔操作といった管理方法も実現できるでしょう。設備ごとの電力量や生産量などを監視でき、過去のデータを蓄積することでして分析に生かせます活かせます。

点検業務を省人化する

人手不足により、設備の点検や工場の見回りといった業務を細かく正確にできないとお困りの方もいるのではないでしょうか。遠隔監視システムなら、人手による巡回を省人化できます。

中央管理室の画面で工場全体を監視できるため、担当者がわざわざ現地に出向く必要がなくなるのです。

たとえば監視カメラの撮影画素数が200万画素であればフルハイビジョン映像に匹敵します。そのため、カメラでも圧力計や流量計などを確認でき、遠隔地からの点検業務が可能です。

また、AIによる人物検出を導入すれば、工場内に不審人物が侵入したり、危険な区画に人が誤って立ち入ったりした場合に自動的にアラームが鳴るといったことが可能になります。これにより、夜間での見回りや24時間の監視業務の省人化も可能です。

従来は人の目や経験、勘といった部分が保守の大部分を担っていました。
遠隔監視システムの導入によりシステムが人間をサポートしてくれるため、より安全性の高い稼働を実現できるでしょう。

3.遠隔監視システム導入の注意点

工場の省人化や自動化に欠かせない遠隔監視システムですが、導入にあたってはいくつか注意点があります。

セキュリティ対策が必要になる

インターネットと接続した遠隔監視システムの場合、収集したデータをインターネット上でやり取りすることになります。したがって外部からのネットワークへの不正アクセスに対応しなければなりません。

一例としてはクラウドカメラがあります。クラウドカメラはクラウドサーバーに映像を保管するため、第三者でも機密性の高い映像を盗み見ることが可能です。もちろん、ログインIDやパスワードはありますが、不正に利用されるケースもあるため、IDやパスワードの管理を徹底するべきでしょう。

インターネット上で通信する場合、安全性が高くなる接続方法は、VPN(Virtual Private Network)の利用です。VPNは、専用のルーターを使用して映像やデータの伝送時に「カプセル化」を行うことで、第三者には見えないトンネルを仮想的に形成して通信します。万が一、トンネルに侵入されても、通信の暗号化をしていればさらに安全性は高まるため安心です。

遠隔監視システムはセキュリティリスクと隣り合わせでもあり、VPNのようなセキュリティ対策を念頭に置いて導入するようにしましょう。

導入費用がかかる

一般的に遠隔監視システムは規模が大きくなるに従って導入コストがかかるものです。
「どのような遠隔監視システムを導入するか」「規模はどの程度か」など、さまざまな要因はあります。

海外も含めた複数拠点のあらゆるデータを収集するような大規模ソリューションであれば、ネットワークカメラは数千台、入出力機器は数万点にのぼります。それだけの機器を新たに導入する場合には多額の費用が必要になるでしょう。

また、収集したデータを保存するサーバーを自社で用意するオンプレミス型にすると、クラウドサーバーよりも費用がかかる傾向があります。システム導入にあたっては自社の規模と予算に合った適切なものを選択しましょう。

4.遠隔監視システムの導入を検討中ならテクノアの「A-Eyeカメラ」がおすすめ

テクノアが提供する「A-Eyeカメラ」は製造業の無駄な工数削減&生産性向上をサポートする、中小企業様でも導入いただけるソリューションです。以下、「A-Eyeカメラ」の特徴と活用事例を紹介します。

「A-Eyeカメラ」の特徴

「A-Eyeカメラ」はネットワークカメラで撮影した画像とAIの画像認識技術を活用して工場の見える化を実現するシステムです。収集した情報をクラウドに蓄積し、設備の稼働状況をリアルタイムに集計・分析するため、現場のカイゼンを推進する際におすすめです。

活用法の一つは積層信号灯の点灯状態の判別です。積層信号灯の色をAIによりリアルタイムに判別し、「機械が稼働しているか、停止しているか」を把握できます。設備の新旧に関わらず導入できる点も特長であり、AIに学習データを与えれば旧式の機械であっても稼働状況を収集します。

また、市販のネットワークカメラとLAN環境を利用して低価格で導入できます。従来のアナログカメラだと電源ケーブルなど複数のケーブルが必要になり設置が難しい面がありますが、ネットワークカメラであれば配線が簡素で簡単に設置可能です。

テクノアの遠隔監視システム「A-Eyeカメラ」の導入事例

●枚岡合金工具株式会社

冷間鍛造部品などの金型製作をしている枚岡合金工具株式会社では、金型を設計から製作まで一貫して行っています。生産性向上のために「3S活動(整理・整頓・清掃)」にも積極的に取り組んでおり、稼働状況の「見える化」による稼働率改善を目的として「A-Eyeカメラ」を導入しました。

機械に作業員がいるかどうかを検知したり、放電加工機では液面の高さを検知したりと、設備によって異なる運用方法を導入しています。取得したデータで稼働率を見える化したことにより全社員の意識が変化し、生産高が 1.7 倍に伸びたそうです。

※事例の詳細はこちら:https://www.techs-s.com/case/show/92

●コクネ製作株式会社

鋳物品の加工・組立と販売を手掛けるコクネ製作株式会社は、生産管理の指示通りに生産が進まないことに課題を持っており、稼働状況の把握ために「A-Eyeカメラ」を導入しました。

すべての生産設備の稼働状況を監視して収集し、データを基に稼働率などをグラフ化しました。これにより仕事はあるのに稼働していない時間帯などが明らかになり、現場のカイゼンへの取り組みが進みます。

実際の現場の状況に合わせた生産指示やリアルタイムのあんどん表示などにより、機械稼働率を上げることができ、生産性の向上を実現させました。

※事例の詳細はこちら:https://www.techs-s.com/case/show/91

5.遠隔監視システムにより工場のDXを実現

ネットワークカメラやVMS、SCADAなどを組み合わせた遠隔監視システムは、工場や発電所の生産状況を遠隔地から一元的に監視できる技術です。

各種センサーやカメラから収集したデータと映像により、現場の生産状況や設備の状態をリアルタイムに把握できます。そのため生産性向上や設備保全、異常の発見などに役立つ点がメリットです。

導入にあたっての初期費用やセキュリティ対策について注意する必要はありますが、遠隔監視システムなら工場の見える化や自動化といったDXを実現できます。気になった方はテクノアの「A-Eyeカメラ(エーアイ・カメラ)」をぜひご検討ください。

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