3Sとは?目的や効果、8つの事例・アイデア、活動を進める手順

著者:ものづくりコラム運営 3Sとは?目的や効果、8つの事例・アイデア、活動を進める手順

製造業において、現場を整理整頓し、清潔な状態を維持していくことは非常に重要です。製造業におけるこうした活動のことを「3S」と呼びます。現場がきれいであることは、生産性の向上や従業員の士気にもかかわるため重要です。今回の記事では、3Sの基本的な知識や事例、3Sを進める際に押さえておくべきポイントについてわかりやすく解説します。

1.3Sの基礎知識

はじめに、3Sの基本的な知識について解説します。

3Sとは

3Sとは「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」のローマ字から、それぞれの頭文字である「S」を取ってできた言葉です。整理、整頓、清掃を徹底することにより、職場の環境改善を図るための活動を「3S活動」と呼びます。3S活動は主に製造業の現場で用いられている言葉です。

整理とは「ものを片づける」ことを指します。ここでは、必要なものと要らないものを区別し、必要に応じて不要なものは「捨てる」こともポイントです。ものを捨てないままだと、スペースが圧迫されて新しいものを置けなくなるだけでなく、管理や維持のための費用も発生します。また、ものを正しい位置に片づけることで、作業効率が上がることもあります。たとえば、通路にものがなければ通りやすくなり、歩行者の安全が保たれるほか、作業もしやすくなるのです。整理においては、必要なものは片づけ、不要なものは処分するようにしましょう。

 

●整頓整頓とは「ものの配置を決める」ことです。ものを適した場所に配置することで、ピックアップしやすくなり、作業がスムーズに行えるようになります。作業が効率化されることで現場の負担が少なくなり、安全性も向上します。使用するものを使用しやすい場所へ、一目でわかりやすく配置することが重要です。

 

●清掃
清掃とは「作業する空間をきれいにする」ことを指します。ごみやほこりを放置しておくと衛生面で問題が生じやすくなり、残った塗料や薬剤によって人体に被害が起きる恐れもあります。こうした問題が企業の信頼を損ねるリスクも無視できません。
まめな清掃を心がけましょう。

●整理

 

3Sと「4S」「5S」の違い

製造業の現場が環境改善を図るために掲げる言葉には、3Sのほかに「4S」や「5S」があります。4Sは3Sの3要素に「清潔」を加えたものです。また、5Sは3Sの3要素に「清潔」と「躾(しつけ)」を加えたものです。3S活動に取り組むことは、4Sや5Sの徹底に向けた基盤づくりになります。

きれいな状態を維持すること。整理、整頓、清掃によって作業場をきれいにしたあとは、その状態を維持するよう心がけましょう。

 

●躾(しつけ)

習慣をつけること。3Sも清潔も一度で終わらせてしまったら意味がありません。決められた規則を普段から継続できるように習慣づけましょう。

●清潔

3S活動の目的と効果

3S活動の目的は、ものや情報に対する従業員の捉え方や扱い方、日々の行動の質を高めることです。形式的な活動として取り組むのではなく、組織の売上や利益につながる本質的な活動として取り組むようにしましょう。

3S活動の目的は職場の環境を美しく保つことだけに限りません。3Sには、業務の生産性や安全性、品質を向上させる効果も期待できます。さらに、健全な企業風土の醸成にもよい影響を与える可能性があるのです。

5S活動によって成功体験がもたらされると、従業員の達成感や、従業員同士の信頼感の向上にもつながることがあります。

2.3S活動の具体的な事例・アイデア

次に、実際に行われている3S活動の具体的な事例やアイデアをご紹介します。

3S活動の具体例

自社で3S活動を始めるときは、他社の事例やアイデアを参考にするのがおすすめです。3Sは他社の事例やアイデアをそのまま実施しやすい活動の一つです。3Sによって、職場環境の改善につながる、新たな気づきや改善を得られる可能性があります。

活動場所 3S活動の具体例
工場・倉庫 ・在庫日の使用から1年経過するごとにシールを貼り、年数が経ったものは処分する
・工場をいくつかのブロックに分け、毎朝1ブロックずつ掃除する
・「これは捨てる・これはいつまで置いておく」というルールを決める
・コード類を網やバンドでまとめ、床に散らばらないようにする
・細かな道具を入れる容器を透明にし、引き出しの下に色紙を敷いて正しい位置に道具を戻せるようにする
オフィス・事務所 ・椅子や机の正しい位置を写した写真を会議室の壁に貼る
・すべてのものに定位置を決めてレイアウトを作成する
・消耗品の最大量と最小量を決めて現在の使用状態がわかるようにし、足りなくなったら最大量まで補充する
・すべてのものの置き場所がわかるよう、定位置が書いてあるラベルを貼る
・在庫品の設置棚をカテゴリ別に色分けして、配置すべき商品が一目でわかるようにする

3.3S活動を効果的に進める手順とポイント

ここからは、3S活動を効果的に進める四つの手順と押さえておくべきポイントについて解説します。

Step1 3S活動を行う目的を明確にする

一つ目は、3S活動を行う目的を明確にすることです。トップダウンで強行するのではなく、3S活動の目的を従業員の間で理解・浸透させることが重要です。そのために、従業員全員が3S活動に参加できる環境や機会を用意しましょう。具体的には、従業員全員を3Sのどれかのプロジェクトの責任を持てるように、全員に担当者を割り振るといったものです。

Step2 現状の業務プロセスを可視化する

二つ目は、現状の業務プロセスの可視化です。3S活動によって職場改善を行う際は、最初に現状の業務プロセスを可視化して、流れを把握できるようにしておく必要があります。業務プロセスが把握できると、3S活動を行う余地がどこにあるかを見直すことにつながるため、忘れず行うようにしてください。

Step3 具体的なルールを作成する

三つ目は、具体的なルールの作成です。事例で紹介したように、「1年経過したら処分する」「ものには定位置を決める」といったルールを制定することで、全員が同じルールで活動できるようになります。ルールが統一化されていないと、個人がおのおのの裁量で整理整頓をするため、ものの場所や掃除のルールにばらつきが生じるのです。誰もが守りやすいルールをつくりましょう。

Step4 活動の記録と見直しを継続する

四つ目は、活動の記録と見直しを継続することです。3S活動において難しいことの一つに「継続する」があります。一過性で終わってしまったり、形骸化してしまったりしないように、活動内容や活動時間、よかった点、改善すべき点などを毎回記録しましょう。振り返って見直す習慣をつけることで、徐々に継続できるようになっていきます。

4.ツールも活用しながら効率的な3S活動を行いましょう

3S活動は工場や倉庫、オフィスの利便性や安全性を高め、業務効率や生産性を高めます。3S活動の成功によって達成感や従業員同士の信頼感を醸成することも可能です。すでに多くの企業で行われている取り組みですので、事例を参考にしてみてください。

なお、3S活動を行う際は、可視化や整理・整頓に特化したツール・サービスを導入することも有用です。今回は、おすすめのツールとして「Ez-Bee(イージー・ビー)」と「A-Eyeカメラ」の2点をご紹介します。

AI画像認識を利用した設備・機械の見える化システム『A-Eyeカメラ』

「A-Eyeカメラ」は、ネットワークカメラで撮影された画像を元にAI(人工知能)が生産設備の稼働状況を判断し、クラウドに情報を蓄積するIoTシステムです。蓄積された情報をリアルタイムに集計・分析し、全社員で稼働状況を共有することで「工場の見える化」を推進します。業務プロセスの可視化や3S活動の状況の把握、管理に役立つでしょう。

※製品の詳細はこちら:生産設備の稼働実績を低コストで収集するIoT『A-Eyeカメラ』

IoTでモノや従業員の位置を見える化するシステム『Ez-Bee』

「Ez-Bee」は、建物空間内のヒト・モノの位置情報や作業進捗を把握し、パソコンやスマートフォン・タブレットなどで確認できるツールです。所在不明品の撲滅とリアルタイムでの進捗管理を実現し、3S活動の効率化に大きく貢献します。

※製品の詳細はこちら:位置×実績 見える化システム『Ez-Bee』

これらのツールをうまく利用して、貴社でも優れた3S活動を実現してください。

 

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