業務フローとは?属人化を防ぐ「仕事の流れ」の考え方と作り方

著者:ものづくりコラム運営 業務フローとは?属人化を防ぐ「仕事の流れ」の考え方と作り方
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業務フローとは、「誰がいなくても仕事が回る状態」をつくるために、仕事の流れを見える形にしたものです。
また、業務フローは、仕事を管理するためのものでも、現場を縛るためのものでもありません。人に依存せず、仕事が回る状態をつくるための土台です。

「あの人が休むと仕事が止まる」「引き継ぎがうまくいかない」といった悩みは、多くの現場で当たり前のように起きています。
本記事では、業務フローの基本的な考え方から、属人化を防ぐ理由、現場ですぐに使える業務フローの作り方までを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。

1.業務フローとは何か

業務フローは「仕事の設計図」

業務フローとは、仕事が始まってから終わるまでの流れを整理したものです。誰が、どのタイミングで、何を行い、その仕事が次にどうつながっていくのかを示します。

よく混同されるものに、マニュアルや手順書があります。
マニュアルや手順書は、「作業のやり方」を詳しく説明するものです。一方、業務フローは「作業同士がどのようにつながっているか」を示します。

言い換えると、

📌マニュアルは「点」
📌業務フローは「線」

です。
業務フローを見ることで、仕事全体の流れや前後関係が理解できるようになります。

この考え方は、仕事に限ったものではありません。例えば学園祭の準備やアルバイトの引き継ぎでも、「次に何をするのか」「誰に渡すのか」が分かっていなければ混乱が生じます。
業務フローは、私たちが無意識に行っている「段取り」を、誰にでも分かる形にしたものだと言えます。

なぜ仕事は属人化するのか

属人化は「真面目に働いた結果」である
属人化は、誰かが意図的に情報を抱え込んでいるから起きるわけではありません。むしろ、真面目に仕事に向き合ってきた結果として起こるケースがほとんどです。

忙しい現場では、「とりあえず自分がやったほうが早い」「後で説明しよう」と判断する場面が増えます。
そうした判断や調整、例外対応が積み重なり、気づけば判断そのものが特定の人に集中していきます。

「分からなければ聞けばいい」という状態は、一見すると問題がないように見えます。
しかし、

⚠️聞かれ続ける人は仕事が増える
⚠️聞く側は自分で判断できない

という構造が固定化され、結果として属人化が進んでしまいます。

属人化の正体は、「作業」ではなく「判断」が共有されていないことにあります。

2.業務フローはなぜ属人化を防げるのか

属人化するのは「判断」である

作業自体は、手順を見れば誰でも再現できます。しかし、「どのタイミングで」「どの条件なら」「どちらを選ぶか」といった判断は、言語化されにくく、人の頭の中に残りがちです。

業務フローに仕事の流れを落とし込むことで、

✅どこで判断が発生しているのか
✅何を基準に判断しているのか

が見えるようになります。

判断基準が共有されると、次の工程を担当する人が迷わなくなります。結果として、「あの人に聞かないと分からない」という状態が減り、仕事が人から切り離されていきます。

属人化を防ぐということは、誰かを置き換えるためではありません。
働く人を守り、無理なく仕事を続けられる環境をつくることでもあります。

業務フローは誰のためにあるのか

業務フローという言葉に、「管理される」「縛られる」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、業務フローの本来の目的は管理ではありません。

🏭現場担当者にとっては…
仕事の全体像が分かり、迷いや手戻りが減ります。

👥若手や新人にとっては…
「何をすればいいか」が明確になり、安心して仕事に取り組めます。

📊管理職にとっては…
状況把握がしやすくなり、的確な判断ができます。

👨‍💼経営層にとっては…
ボトルネックやリスクが見えるようになります。

業務フローは、立場の違う人たちをつなぐ共通言語の役割も果たします。

3.業務フローの主な種類と考え方

仕事の流れをどう切り取り、どう並べるか

業務フローには、決まった正解の形はありません。重要なのは、「見た人が理解できるかどうか」です。まずは、どの視点で仕事を見るかを決めることが大切です。

① 業務軸(工程軸)で考える業務フロー

業務軸(工程軸)の業務フローは、仕事の流れを時系列で一直線に追っていく方法です。
まずはどんな業務(工程)があるのかを洗い出し、「最初に何が起きて、次に何をして、最後にどう終わるのか」を順番に整理します。

(例)
◍受注 → 設計 → 手配 → 製造 → 検査 → 出荷
◍問い合わせ → 見積作成 → 承認 → 提出

【特長と向いている場面】
✅業務全体の流れを把握しやすい
✅抜けている工程や、戻り作業が見つかりやすい
✅初めて業務フローを作る場合に取り組みやすい

特に、
「自社の仕事がどう流れているのか、全体像を誰も説明できない」
という状態では、この工程軸の整理が効果的です。

💡属人化との関係
工程ごとに「ここで必ず特定の人に確認している」「この工程だけ異常に時間がかかる」といった箇所が見えてきます。属人化している業務は、流れの中で“引っかかり”として表れるため、問題の発見につながります。

② 部門軸で考える業務フロー(スイムレーン型)

部門軸の業務フローは、営業、設計、製造、購買など、部門ごとにレーン(区画)を分けて整理する方法です。
スイムレーン型と呼ばれることもあります。

【特徴と向いている場面】
✅「誰から誰へ仕事が渡っているのか」が明確になる
✅部門間の責任範囲が分かりやすい
✅引き継ぎ漏れや認識違いを防ぎやすい

業務が滞る原因は、個人の問題ではなく
部門間の受け渡しの曖昧さにあるケースが少なくありません。

【よく見えるようになるポイント】
✅どのタイミングで情報が止まっているか
✅口頭やメールに頼っている箇所はどこか
✅同じ確認を複数部門で行っていないか

こうした点は、工程軸だけでは見えにくく、部門軸で整理することで初めて浮かび上がります。

💡注意点
部門が多い場合や業務が複雑な場合、図が横に広がりやすくなります。
そのため、全体像を把握した後に使う、もしくは業務範囲を絞って作成するのがおすすめです。

③ 人・役割軸で考える業務フロー

人・役割軸の業務フローは、特定の担当者や役割ごとに仕事を整理する方法です。
「Aさんが何をしているか」「この役割にどんな仕事が集まっているか」を可視化します。

【特長と向いている場面】
✅属人化が深刻な業務を洗い出せる
✅仕事の偏りが一目で分かる
✅引き継ぎや教育の検討に役立つ(例)
・ベテラン社員にしかできない作業
・判断や調整が一人に集中している業務
・「その人が休むと止まる仕事」

こうした業務は、人・役割軸で整理すると明確になります。

【💡属人化の本質が見える】
人軸で見えてくるのは、「誰が悪いか」ではありません。
なぜその人に仕事が集まっているのかという構造です。

🚨判断基準が共有されていない
🚨情報がその人にしか集まらない仕組みになっている
🚨過去の経緯で役割が固定されている

こうした背景を理解することで、業務の分解や再設計につなげることができます。

どの業務フローから作るべきか

業務フローは、1種類だけで完結させるものではありません。最初は、業務軸で全体像を描くことをおすすめします。

①最初は業務軸で全体像をつかむ
②次に部門軸で受け渡しを確認する
③最後に人・役割軸で属人化を深掘りする

このように目的に応じて使い分けることで、業務の課題が立体的に見えてきます。

4.業務フロー作成の具体ステップ

業務フローは、ツールや図の描き方から入ると失敗しやすくなります。
大切なのは、人・仕事・流れを言語化すること。以下のステップで進めると、現場に根付く業務フローになりやすくなります。

ステップ1|関係者を洗い出す(誰が関わっているか)

最初に行うのは、業務に関わる人・部門・外部関係者を洗い出すことです。
フローが現実とズレる原因の多くは、「関係者の漏れ」にあります。

✅担当者(正社員・パート・派遣・ベテラン)
✅管理者・承認者
✅他部門(営業、設計、品質、購買など)
✅協力会社・外注先

【ポイント】
💡役職や組織図ではなく、「実際に手を動かしている人」を基準にする
💡「たまに関わる人」も必ず含める

ステップ2|業務の範囲を決める(どこからどこまでか)

次に、今回作成する業務フローの開始点と終了点を明確にします。範囲が曖昧なままだと、途中で話が広がり、フローが完成しません。
(例)
◍受注〜出荷まで
◍問い合わせ受付〜見積提出まで
◍不良発生〜是正完了まで

【ポイント】
💡最初は欲張らず、1つの業務に絞る
💡「ここから先は別フロー」と線を引く

ステップ3|タスクを洗い出す(何をしているか)

次に、関係者ごとに、実際に行っている作業(タスク)をすべて書き出します。
(例)
◍書類作成
◍システム入力
◍電話・口頭確認
◍判断・調整・例外対応

【コツ】
✅「確認する」「対応する」など曖昧な言葉は避ける
✅1タスク=1動作を意識する
(例)
×:「手配をする」
〇:「部品リストを確認」「在庫有無を確認」「発注書作成」

ステップ4|判断・分岐を整理する(どこで迷うか)

属人化が起きやすいのが、この判断ポイントです。
(例)
✅OK/NGの基準は何か
✅誰が判断しているのか
✅判断材料はどこにあるのか

このステップを省くと、「図はあるが役に立たないフロー」になります。

【ポイント】
💡「人の頭の中」にある判断を言語化する
💡例外処理も必ず書き出す

ステップ5|業務フローの種類を選ぶ(どう表現するか)

洗い出した内容を、目的に応じたレイアウトで整理します。

【業務フローの主な種類】詳細は前章をご確認ください

フローの種類 ポイント
①業務軸(時系列)フロー ・仕事の流れを時系列で追う
・新人教育や全体把握に向いている
② 部門・担当者軸(スイムレーン)フロー ・誰が何をしているかが一目で分かる
・部門間の抜け漏れや二度手間を発見しやすい
③ 判断・例外重視フロー ・分岐を中心に整理
・属人化の原因分析に向いている

ステップ6|「現状フロー」を完成させる

いきなり理想像を描かず、今やっている通りの流れをそのまま可視化します。まずは現状を把握することが大切です。

【ポイント】
・非効率でもOK
・口頭ルールもそのまま記載
・「本当はこうあるべき」は後回し
・事実ベースで書く

ステップ7|関係者とすり合わせる(正しいか確認する)

作成した業務フローは、必ず現場の関係者全員で確認します。

✅抜けている作業はないか
✅実態と違う部分はないか
✅「実はこうしている」という暗黙ルールはないか

この確認作業自体が、属人化解消の第一歩になります。

ステップ8|改善視点で見直す(次のアクションへ)

最後に、業務フローを使って次を考えます。

🔎人に依存している部分はどこか
🔎標準化できそうな作業はどこか
🔎将来的に仕組み化したい部分はどこか

ここで初めて、マニュアル化・ルール化・ツール活用といった話につながります。

【💡ポイント】
業務フローは、一度作って終わりではありません。
・人が変わる
・仕事が増える
・ルールが変わる
こうした変化に合わせて、更新され続ける前提の資料として捉えることが重要です。

5.業務フローだけでは回らなくなる瞬間

業務フローを整えるだけでも、多くの問題は改善します。
しかし、人や案件、情報が増えてくると、次の課題が見えてきます。

⚠️紙やExcelが増え、情報が分散する
⚠️転記ミスや二重管理が発生する
⚠️全体が見えているつもりで、実は見えていない

業務フローを維持するための「仕組み」が必要になる段階です。

【業務フローを「仕組みとして保つ」という考え方】
ここで初めて、生産管理システムといったツールを活用した「仕組み」が選択肢として出てきます。

生産管理システムは、業務を自動化するためのものではありません。
業務フローという考え方を、継続して共有・再現するための置き場所です。業務フローが整理されていれば、システムは自然と現場に馴染みます。

6.まとめ|業務フローは人を縛るものではない

業務フローは、誰かを管理するためのものではありません。
人に依存せず、安心して働ける環境をつくるためのものです。

まずは、ExcelやPowerPointといったツールを活用し、小さく描くことから始めてみてください。業務フローを考えること自体が、改善への第一歩になります。

 

           

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