【DX未着手でも大丈夫】中小製造業のGXはコスト削減のチャンス!~今日から始める脱炭素経営~

著者:ものづくりコラム運営 【DX未着手でも大丈夫】中小製造業のGXはコスト削減のチャンス!~今日から始める脱炭素経営~
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「GX(グリーントランスフォーメーション)」や「脱炭素」という言葉を耳にしても、「DXすら進んでいないのに、うちには関係ない」「コストがかかるだけだろう」と、感じていませんか?

GXは、遠い未来や大企業だけのものではなく、高騰する電気代や燃料費を直接的に削減し、経営体質を強化する絶好のチャンスなのです。
しかし、「何から始めればいいか分からない」「専門知識を持つ人材がいない」というのが多くの経営者の悩みではないでしょうか。

この記事では、専門知識や大規模な投資がなくても、DX未着手の中小製造業様が「今日から始められる」脱炭素経営の具体的なステップを解説します。読み終える頃には、「これなら自社でもできる」というコスト削減への道筋が見いだせれば幸いです。

目次

1.いまさら聞けない「GX」の基本と中小製造業に関わるワケ

まずはGXという言葉の基本と、なぜ今、中小製造業に求められているのかを理解しましょう。

GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは?

GX(グリーントランスフォーメーション) は、化石燃料依存から脱却し、再生可能エネルギーを核とした持続可能な経営へ転換する取り組みです。気候変動の原因である温室効果ガスを削減する取り組みを、経済成長のチャンスと捉える考え方でもあります。具体的には、石油や石炭といった化石燃料中心の産業・社会構造から、太陽光などのクリーンエネルギー中心へと転換し、産業競争力の向上と両立させようという国家戦略です。
決して「コストをかけて環境活動をしよう」というだけの話ではないため、中小製造業にとっては「環境対策」ではなく「エネルギーコスト削減と生産効率化を同時達成する経営戦略」という位置付けが重要です

DXとGXの関係性とは?

「DXとGX、何が違うのか?」と疑問に思うかもしれません。DXは「デジタル技術でビジネスを変革すること」、GXは「エネルギー転換で経済成長を目指すこと」を目的としており、目指すものは異なります。 しかし、この2つは密接に関連しています。 例えば、GXの第一歩である「エネルギー使用量の把握」には、IoTなどのデジタル技術(DX)が非常に有効です。GXへの取り組みをきっかけに、結果としてDXも推進できる、と捉えることができます。

例えば、工場の電力使用量やCO2排出量をIoTなどのデジタル技術(DX)で把握。その後、生産管理システムで分析し、電力コストなどの無駄な設備稼働を削減することも可能です。

なぜ今、中小製造業にGXが必要なのか?

「カーボンニュートラルは、大企業が取り組むべき課題」と考えていると、思わぬところでビジネスチャンスを失うかもしれません。近年、トヨタや日産といった大手メーカーは、自社だけでなく、部品などを供給する取引先(サプライチェーン)全体でのCO2排出量削減目標を掲げています。 ドイツのメルセデス・ベンツは、2039年までにカーボンニュートラルを達成できない企業をサプライヤーから除外する方針を示すなど、GXへの対応が取引継続の条件となりつつあるのです。
このように、GXへの取り組みが経済性と環境性の両立や、取引先からの信頼向上(SBT認証取得)、新規顧客の開拓にも直結するのです。中小製造業のGXは「すべてを変える」必要はありません。生産管理システムを活用した取り組みなど、現場目線の小さな改善の積み重ねが、競争力強化の最短ルートとなるのです。

2.コスト削減から受注拡大まで!中小製造業がGXに取り組む3つのメリット

GXへの取り組みは、負担だけではありません。中小企業にとってこそ、大きなメリットが存在します。

【メリット①:コスト削減】高騰する光熱費・燃料費を直接的に削減する

GXの取り組みの基本は「省エネルギー」です。工場の照明をLEDに変える、エネルギー効率の高い設備に更新するといった省エネ対策は、月々の電気代や燃料費の削減に直結します。これは、利益率の改善にも繋がり、経営体質を強化する上で最も分かりやすいメリットと言えるでしょう。

【メリット②:取引維持・受注拡大】大手企業から「選ばれる」ための必須条件に

前述の通り、大手企業はサプライチェーン全体での脱炭素化を推進しています。取引先に対してCO2排出量の報告を求めたり、削減目標を提示したりするケースも増えています。 こうした動きに対応することで、既存の取引を維持できるだけでなく、環境意識の高い企業として評価され、新たなビジネスチャンスの獲得に繋がる可能性があります。

【メリット③:資金調達・企業価値向上】国からの手厚い補助金と金融機関からの評価

現在、政府はGXを重要政策と位置づけ、中小企業が活用できる様々な補助金制度を用意しています。 これらを活用すれば、設備投資の負担を大幅に軽減できます。また、金融機関も、企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への取り組みを評価する「ESG投資」の流れを重視しており、GXに取り組む企業は融資を受けやすくなる可能性があります。

3.中小製造業がGXに踏み出せない3大課題と解決の糸口

メリットは分かっていても、なかなか第一歩を踏み出せない、という声が多いのも事実です。中小企業白書によれば、脱炭素化に取り組んでいない理由として「知見やノウハウがない」「人手が足りない」といった点が挙げられています。 ここでは、代表的な3つの課題と、その解決の糸口を探ります。

【課題①】人材・ノウハウ不足:「何から手をつけて良いか分からない」

〈解決の糸口〉
専門知識を持つ社員がいなくても問題ありません。まずは国や自治体が設置している無料の相談窓口を活用しましょう。全国にある「よろず支援拠点」では経営全般の相談ができますし、「省エネルギー相談地域プラットフォーム」では専門家が無料で省エネ診断をしてくれます。こうした外部の知見を借りることで、自社に合った取り組みの第一歩が見えてきます。

【課題②】資金不足:「設備投資をする余裕がない」

〈解決の糸口〉
GXは必ずしも大規模な投資が必要なわけではありません。まずは本コラムの次の章で紹介するような「投資ゼロでできる省エネ活動」から始めるのが鉄則です。その上で設備更新を検討する際は、国の手厚い補助金制度を徹底的に活用しましょう。「ものづくり補助金(グリーン枠)」や「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」などを活用すれば、自己負担を大幅に抑えて高効率な設備を導入することが可能です。

【課題③】効果が不明瞭:「日々の業務が忙しく、優先度が低い」

〈解決の糸口〉
GXを「環境貢献」という壮大なテーマで捉えると、どうしても後回しになりがちです。そこで、まずは「コスト削減」という、経営に直結する分かりやすいゴールを設定しましょう。 電気代の検針票をチェックする、主要な設備に簡易モニターを付けて電力使用量を“見える化”するなど、すぐに効果が実感できる小さな取り組みから始めることが、継続の秘訣です。

人材、資金、知識――このようにGXに踏み出せない課題は様々です。
しかし、これらすべての根底にある最も大きな壁は、もしかしたら「GXはまだ自社には関係ない」という”他人事”の意識そのものかもしれません。
GXを「地球環境のためのボランティア」ではなく、「月々のコスト削減」や「大切な取引先からの信頼獲得」といった、自社の経営に直結する”自分ごと”の経営課題として捉え直すこと**。この視点の転換こそが、あらゆる課題を乗り越え、次の一歩を踏み出すための、最も重要で、そして最初の解決策なのです。

4.では、何から始める?多くの企業が実践するGXの具体的な3ステップ

前の章で挙げたような課題を抱えながらも、多くの企業がGXへの一歩を踏み出しています。では、一体どこから手をつければいいのか?ここでは、多くの企業が実際に取り組んでいる、再現性の高い3つのステップをご紹介します。自社で取り入れられるヒントになれば幸いです。

ステップ1:「知る」ことから始めるエネルギーの”見える化”

何事も、まずは現状把握から。CO2排出量を削減するには、まず自社が「いつ、どこで、どれだけ」エネルギーを使っているかを知る必要があります。

取り組み例①:まずは検針票のチェックと簡易モニターで現状把握
専門的なツールがなくても、始められることはあります。例えば、毎月の電気やガスの検針票を並べて使用量の推移をグラフにするだけでも、季節ごとの変動や、生産量とエネルギー使用量の関係性が見えてきます。さらに、主要な機械に数千円で購入できる簡易的な電力モニターを設置し、待機電力が大きい設備を特定するだけでも、運用ルールの見直しに繋がり、電気代の削減が期待できます。
【システム活用】生産管理システムで実現する「本当のコストの見える化」
一歩進んで、より精度の高い「見える化」を目指すなら、生産管理システムの活用が効果的です。
【システムの訴求ポイント】
弊社の生産管理システムなら、機械の稼働データとエネルギー消費量を連携させ、「どの製品を、どの工程でつくると、どれだけエネルギーコストがかかるか」を自動で算出できます。これにより、非効率な生産プロセスを特定し、的確な改善策を打つことで、コスト削減とGX推進を両立できます。

ステップ2:「できること」から始める地道な省エネ活動

エネルギー使用の無駄がどこにあるか見えてきたら、いよいよ改善活動です。いきなり高額な設備投資を考える必要はありません。

取り組み例②:今日からできる地道な省エネ活動
例えば、コンプレッサーのエア漏れは、気づかぬうちに大きなエネルギーロスを生んでいます。定期的なチェックと補修をルール化するだけでも効果は絶大です。他にも、工場内の照明をLEDに交換したり、古い空調機のフィルターをこまめに清掃したりと、すぐに着手できることは数多くあります。こうした地道な活動の積み重ねが、着実なコスト削減に繋がります。
取り組み例③:補助金を活用した賢い設備投資
高効率なコンプレッサーや最新の工作機械など、エネルギー効率を大きく改善できる設備への更新は、GXを加速させる有効な選択肢です。その際、後述する国の補助金制度をうまく活用することで、投資負担を大幅に軽減しながら大きなコスト削減効果を得ている企業は少なくありません。

ステップ3:「生産プロセス」の見直しで根本から無駄をなくす

エネルギー効率は、省エネ設備だけで決まるものではありません。生産現場の「無理・無駄・ムラ」をなくすことも、立派なGX活動です。

取り組み例④:品質改善による「見えないコスト」の削減
生産現場における**不良品の発生は、材料費だけでなく、加工に費やしたエネルギーや廃棄コストも全て無駄にしてしまいます。**品質改善活動によって不良率を低減させることは、材料ロスとエネルギーロスを同時に削減する、非常に効果の高いGX活動なのです。
【システム活用】生産計画の最適化で、エネルギー消費を最小化

 

5.【2025年最新版】中小製造業が今すぐ使えるGX関連の補助金・相談窓口

GXへの取り組みを、国も強力に後押ししています。自社の状況に合わせて活用できる補助金や相談窓口があります。
※補助金制度は公募期間や内容が変更されるため、必ず公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

目的別にご紹介!おすすめの補助金制度

【省エネ設備の導入に】省エネルギー投資促進支援事業費補助金
工場や事業場における高性能な省エネ設備(空調、ボイラー、コンプレッサー等)への更新を支援する、代表的な補助金です。 補助率は多くの場合1/3で、非常に使いやすい制度です。
【生産性向上とGXを両立】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)
革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を支援する補助金です。 温室効果ガス排出削減に資する取り組みを行う「グリーン枠」があり、通常枠より高い補助率や補助上限額が設定されています。
【事業再構築とGXに挑戦】事業再構築補助金
ポストコロナを見据えた事業の再構築を支援する補助金で、ここにも「グリーン成長枠」が設けられています。 グリーン成長戦略で定められた14の重要分野での取り組みが対象となり、最大で1.5億円という大規模な支援が特徴です。

「何から始めれば…」に応える無料の相談窓口

省エネルギー相談地域プラットフォーム
「自社のどこに省エネの可能性があるか分からない」という場合に、専門家が無料で相談に乗ってくれたり、実際に事業所を訪問して省エネ診断をしてくれたりする制度です。 全国各地に窓口が設置されています。
よろず支援拠点
経営上のあらゆる悩みに対応してくれる、国が設置した無料の経営相談所です。もちろん、GXや脱炭素経営に関する相談も可能です。

 

6.まとめ

GXは、もはや他人事ではなく、中小製造業の未来を左右する避けては通れない経営課題です。しかし、専門知識や潤沢な資金がなくても、決して乗り越えられない壁ではありません。
まずは自社のエネルギー使用状況を知る「見える化」から始め、地道な省エネ活動で「コスト削減」という身近なメリットに繋げることが成功の鍵です。一つ一つの改善は小さくとも、その積み重ねが着実なコスト削減と、取引先から選ばれる競争力強化に繋がります。この記事を参考に、「自分たちにできること」からの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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