経営判断を変える!製造業でROIを正しく使いこなすための基礎知識

著者:ものづくりコラム運営 経営判断を変える!製造業でROIを正しく使いこなすための基礎知識        
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ROI(投資利益率)は、製造業の経営判断に不可欠な指標です。
設備投資や在庫管理、新製品開発など、製造業ではさまざまな分野に多額の資金が投入されます。その成果を定量的に評価するうえで、ROIを活用すれば、費用対効果を客観的に見極めることができます。

本記事では、製造業におけるROIの基本的な考え方や計算方法、関連指標との違い、具体的な活用シーン、そしてROIを高める実践的な方法まで、網羅的に解説します。

1.ROIの基本理解:製造業における重要性

ROIとは何か?

ROI(Return on Investment:投資利益率)は、「投資に対してどれだけの利益が得られたか」を示す指標です。
計算式は「利益 ÷ 投資額 × 100(%)」で表されます。

たとえば、100万円の設備投資をして、そこから1年間で30万円の利益を得た場合、ROIは30%になります。ROIが高いほど、効率よく利益を生み出せていることを意味します。

製造業でROIが重視される理由

製造業では、設備導入や人材教育、新製品開発など、さまざまな場面で投資が必要です。そのため「その投資が利益を生み出しているか」を可視化し、判断するためにROIが重要になります。たとえば高額な機械を導入したが、稼働率が低く利益につながっていない場合、ROIは低くなります。限られた資源で効率よく成果を出すため、ROIを判断基準とすることは非常に有効です。

2.ROIの正しい計算方法とその注意点

計算式の基本

ROIの基本計算式は「(得られた利益-投資額)÷ 投資額 × 100(%)」または「利益 ÷ 投資額 × 100(%)」です。

前者は純利益ベース、後者は売上ベースなど状況によって使い分けられます。たとえば、「生産ラインの自動化で年間500万円の人件費が削減され、設備導入コストが1000万円だった場合、ROI=(500万円 ÷ 1000万円)×100=50%」となります。

製造業特有の考慮点

製造業では、投資効果がすぐに表れないケースが多いため、ROIの計算において「評価期間」を意識することが重要です。また、減価償却やメンテナンス費用など、隠れたコストも考慮に入れる必要があります。投資判断の際には「短期的な利益」だけでなく「長期的な効果」まで見通すことが求められます。

3.他の指標との違いと使い分け

ROAS(広告費用対効果)との違い

ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対してどれだけ売上があったかを見る指標で、「売上 ÷ 広告費 × 100(%)」で算出されます。一方、ROIは利益を基準にするため、ROASが高くても、コストがかかりすぎて利益が残らなければROIは低くなる、というケースもあります。つまりROASは「売上重視」、ROIは「利益重視」の指標と言えます。

GMROI(粗利益投資利益率)との違い

GMROI(Gross Margin Return on Inventory Investment)は、在庫に対する粗利益の効率を示す指標です。「粗利益 ÷ 平均在庫額」で求められ、特に在庫回転率が重要視される業種で活用されます。製造業でも、過剰在庫や在庫滞留が課題となるケースでは、GMROIを補完的に活用することで、ROIでは見えにくい問題を明らかにできます。

4.製造業におけるROIの活用場面

設備投資の評価と見直し

高額な設備導入に際して、ROIは導入の是非を判断する材料となります。たとえば、新しいNC旋盤を導入することで加工精度が向上し、歩留まりが改善されるとします。その効果による利益増加が投資額を上回るかをROIで定量的に評価できます。導入後も継続的にROIを追い、改善活動に活かすことが重要です。

新製品開発とマーケティング

新製品に対する開発費や販促費も、ROIで効果測定することができます。特に市場ニーズに合った製品を出すことで、限られたマーケティング予算で高いROIを実現することが可能です。費用対効果が高い施策に資源を集中させるためにも、ROIは意思決定を支える根拠となります。

在庫管理と生産性向上への投資

在庫圧縮やリードタイム短縮など、生産性向上施策に対してもROIを用いることで、投資判断の透明性が高まります。たとえば、在庫管理システムを導入し在庫回転率が向上した結果、倉庫費用や在庫廃棄損が削減された場合、その成果をROIとして評価できます。

5.ROIを高めるための具体策

[1]投資コストの最適化とムダの排除

ROIを高めるには、まず「余分なコストをかけない」ことが基本です。過剰スペックな設備や不要な外注コストなど、成果に直結しない投資は避けるべきです。たとえば、IoTセンサーを大量導入しても、活用できていなければROIは下がります。必要最小限の投資で、最大の効果を得ることがROI向上のカギです。

[2]売上拡大施策とデータ活用

投資額を下げるだけでなく、売上や粗利を増やす施策もROI向上には欠かせません。製造業では、「顧客ニーズに合った製品開発」「納期遵守率の向上」「アフターサービスの強化」などが挙げられます。加えて、営業活動や生産実績のデータを分析し、どこにリソースを集中すべきかを可視化することが、高ROIの施策実行につながります。

[3]PDCAサイクルの徹底

ROIの継続的な改善には、投資→実行→効果測定→改善のPDCAサイクルを回すことが不可欠です。たとえば、製造ラインの改善活動において「どの改善施策が最もROIが高かったか」を定期的に振り返ることで、次の投資判断に活かせます。また、改善活動の成果を見える化し、社内で共有する仕組みもROI改善に貢献します。

6.まとめ:ROIは製造業の経営判断を支える「羅針盤」

製造業において、ROIは経営資源をどこに集中すべきかを示す「羅針盤」のような存在です。限られた人員・時間・資金を活かし、競争力を高めるためには、数値に基づいた判断が不可欠です。ROIを活用することで、投資の妥当性や優先順位を見極め、成果につながる経営判断が可能になります。短期的な利益だけでなく、中長期的な成長を見据えた投資のために、ROIという視点を日常的に取り入れていくことが求められます。

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