変化点管理とは?重要性や管理の方法、実際の進め方とポイント

著者:ものづくりコラム運営 変化点管理とは?重要性や管理の方法、実際の進め方とポイント        
ものづくりコラム運営

ものづくりコラム運営チームです。
私たちは、ものづくりに関する情報をわかりやすく解説しています!
生産現場での課題解決や業務効率化のヒント、生産性向上にお役立ていただけることを目指し、情報発信していきます!

変化点管理とは、製造プロセスにおける変更や変化を適切に管理し、品質や効率性を維持・向上させる手法です。製造業において、品質管理と生産性の向上は常に重要な課題です。その中で、「変化点管理」という概念が注目を集めています。本記事では、変化点管理の重要性や実践方法、そして効果的な管理のためのポイントについて詳しく解説します。中小製造業の皆様にとって、変化点管理の導入や改善のヒントとなる情報が満載です。

1.変化点管理の概要と重要性

変化点管理は、製造業における品質保証と生産性向上の要となる重要な概念です。変化点を適切に把握し管理することで、不良品の発生を防ぎ、安定した製品品質を維持することができます。

変化点管理とは

変化点管理とは、変化点を把握して不良や異常の発生を防ぐことを指します。これは、製品の品質や安全性を維持するために行われる重要な管理活動です。
変化点とは、製造工程に変更があった時点を指します。具体的には、機械の設定変更や材料の変更、作業者の交代などが含まれます。製造工程に影響を与える要因は、一般的に4M(Man、Machine、Material、Method)と呼ばれています。
≪4Mの各要素≫

Man (人) 作業者のスキル、経験、モチベーションなど
Machine (機械) 使用する機械設備、工具、測定器具など
Material (材料) 原材料、部品、消耗品など
Method (方法) 作業手順、標準作業、マニュアルなど

これらの要素のいずれかに変化が生じた場合、それが変化点となり、製品品質に影響を与える可能性があります。

変化点管理の重要な役割

変化点管理の役割は製造工程で発生する意図しない変化によって生じる品質問題やトラブルを未然に防ぐことです。また、トラブルの原因を解明し再発を防止すること、効率的な改善活動の実施なども目的としています。ここでは変化点管理の目的と役割について説明します。

・品質の維持
変化点は品質問題を引き起こす可能性があります。例えば、新しい作業者が加わることで作業の精度が低下したり、材料の変更によって製品の特性が変化したりする可能性があります。変化点を把握し適切に対応することで、このような品質問題を未然に防ぐことができます。
・トラブルの防止
製造工程における予期せぬ変化がトラブルの原因となることがあります。例えば、機械の設定が誤って変更されていた場合、不良品の大量発生につながる可能性があります。変化点管理を通じて、早期に変化点を検知することで、このようなトラブルの発生を未然に防ぐことができます。
・異常の早期発見
・変化点の管理によって、異常が発生する前に対策を講じることができます。例えば、機械の微妙な動作の変化を捉えることで、故障が起きる前にメンテナンスを行うことができます。これにより、生産ラインの停止を防ぎ、生産効率の向上につながります。

以上のように、変化点管理は製造業における品質管理と生産性向上の両面で重要な役割を果たします。次のセクションでは、変化点を効果的に管理するための重要な要素について詳しく見ていきましょう。

2.変化点を管理するための重要な要素

変化点は常に管理する必要があります。そのためには、変化点の「見える化」が不可欠です。見える化によって、部門間で変更情報の共有を図り、全社的な変化点管理を実現することができます。ここでは、変化点管理に必要な要素と、それを実現するためのツールについて解説します。

変化点の見える化

変化点の見える化は、変化点管理の基本となる重要な取り組みです。見える化によって、変化点を容易に把握し、関係者全員で共有することができます。
変化点の見える化には、QC7つ道具を活用すると効果的です。QC7つ道具は、品質管理や問題解決のための基本的なツールであり、変化点の可視化にも適しています。

QC7つ道具と新QC7つ道具の活用

QC7つ道具と新QC7つ道具は、変化点管理に活用される重要なツールです。これらのツールを適切に使用することで、変化点の特定、分析、対策立案などを効果的に行うことができます。

QC7つ道具 新QC7つ道具
パレート図、ヒストグラム、散布図、特性要因図、
チェックシート、グラフ、管理図
親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、
アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法

QC7つ道具とは、1950年代に日本で開発された品質管理のための7つの基本的な統計的手法です。これらは主にデータの収集、分析、可視化に使用され、問題の特定や原因分析に役立ちます。
新QC7つ道具は、1970年代に開発された、より高度な問題解決や意思決定のためのツールです。これらは主に言語データや定性的な情報の整理、分析に使用され、複雑な問題の構造化や解決策の立案に役立ちます。
これらのツールを組み合わせて使用することで、変化点の特定から対策の立案まで、包括的な変化点管理を行うことができます。例えば、チェックシートで変化点を記録し、パレート図でその重要度を分析し、特性要因図で原因を探り、系統図法で対策を立案するといった具合です。

▶【関連コラム】新QC7つ道具とは?各手法を用いてできることや活用時の注意点

変化点管理ボード

変化点管理ボードは、変化点を一元管理して関係者への情報共有を図るためのツールです。このボードには、すべての変化点を記録します。
≪変化点管理ボードを使用する主な目的≫
 ・チーム全体で意識を統一・共有する
 ・変化点の進捗や状況を確認できるようにする
 ・変化点に関する情報を一箇所に集約し、管理を容易にする

≪変化点管理ボードに記載する情報≫
 ・変化点の内容
 ・発生日時
 ・影響範囲
 ・対応責任者
 ・対応状況
 ・完了予定日

このボードを活用することで、変化点の状況を一目で把握し、適切な対応を迅速に行うことができます。また、定期的なミーティングでこのボードを使用することで、チーム全体の変化点に対する意識を高めることができます。
変化点の見える化、QC7つ道具と新QC7つ道具の活用、そして変化点管理ボードの導入。これらの要素を適切に組み合わせることで、効果的な変化点管理を実現することができます。

3.変化点管理の進め方

変化点管理を効果的に行うためには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、変化点管理の基本的な進め方を、3つのステップに分けて解説します。これらのステップを確実に実行することで、変化点を適切に管理し、品質と生産性の向上を図ることができます。

Step1.管理基準の作成

変化点管理の第一歩は、管理基準を明確にすることです。これは、従業員全員が変化点の定義を共有し、同じ基準で変化点を認識できるようにするためです。管理基準の作成時は、変化点の定義を明確にし、管理体制を整え、各要素における変更点を具体的に洗い出すことが大切です。
≪管理基準の作成時の手順≫

①変化点の定義を明確にする
・何を変化点とみなすか、具体的に定義する
(例)設備の変更、作業者の交代、原材料の変更など
②管理体制を整える
・変化点管理の責任者を決める
・変化点の報告ルートを確立する
③各要素における変更点を具体的に洗い出す
・4M(Man、Machine、Material、Method)それぞれについて、想定される変化点を列挙する
(例)
  ∟ Man:新人の配置、熟練者の異動
  ∟ Machine:設備の更新、メンテナンス
  ∟ Material:新しい原材料の使用、サプライヤーの変更
  ∟ Method:作業手順の変更、新しい品質基準の導入

これらの基準を文書化し、全従業員に周知徹底することが重要です。

Step2.変化点の検出と計画の立案

変化点を発見した場合、すぐに検証や評価を行い、対応策を計画することが重要です。

①変化点の検出
・日常的な監視や定期的な点検を通じて変化点を発見する
・従業員からの報告システムを確立する
②変化点の評価
・発見された変化点が製品品質や生産性にどのような影響を与える可能性があるか評価する
・リスクの大きさを定量的に評価する(例:影響度×発生確率)
③対応計画の立案
・評価結果に基づいて、必要な対応策を計画する
[対応策の例]
  ✓ 変更の承認プロセス
  ✓ 必要なテストや懸賞の実施計画✓ 従業員への教育・訓練計画
  ✓ モニタリング計画

対応計画は、変化点の影響度や緊急性に応じて優先順位をつけ、実行可能な形で策定することが重要です。

Step3.実施とモニタリング

計画に基づいて変化点への対応を実施し、その効果をモニタリングします。

①対応計画の実施
・策定した計画に基づいて、変化点への対応を実施する
・変化点を記録して見える化する(変化点管理ボードの活用など)
②変化点の影響評価
・各変化点が品質や生産性、コストに与える影響を評価する
・定量的な指標(不良率、生産性、コストなど)を用いて評価を行う
③モニタリングと調整
・変化点への対応の効果を継続的にモニタリングする
・期待した効果が得られない場合は、対応策の見直しや追加対策を検討する
④結果の記録と共有
・変化点管理の結果を記録し、関係者間で共有する
・成功事例や教訓を蓄積し、今後の変化点管理に活かす

これらのステップを確実に実行することで、効果的な変化点管理が可能となります。ただし、変化点管理を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。次のセクションでは、変化点管理を上手く行うためのポイントについて解説します。

4.変化点管理を上手く行うポイント

変化点管理を効果的に実施するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、4Mの各要素の管理、不良発生時の対応、そして変化点管理の効果確認と振り返りについて詳しく解説します。これらのポイントを押さえることで、より効果的な変化点管理を実現することができます。

4Mの各要素の変化点を管理する

変化点管理では、4Mの各要素(Man、Machine、Material、Method)の管理が非常に重要です。それぞれの要素について、以下のような管理を行うことが効果的です。

要素 管理方法の例 具体的な取り組み例
Man(人) ・作業者のスキルアップやトレーニング計画の策定
・定期的なスキル評価の実施
・作業者の配置や交代時の引き継ぎ手順の確立
・モチベーション管理や健康管理
・月次のスキル評価シートの導入
・OJTプログラムの体系化
・作業者交代時のチェックリストの作成
Machine(機械) ・設備の点検計画を策定して実行する
・保守管理を強化する
・設備の更新や改修時の影響評価プロセスの確立
・予防保全計画の策定と実施
・設備の状態監視システムの導入
・設備変更時の承認プロセスの明確化
Material(材料) ・材料の品質確認などを徹底する
・サプライヤーの評価と管理
・新材料導入時の検証プロセスの確立
・受入検査の強化
・サプライヤー監査の定期実施
・新材料のトライアル生産と評価プロセスの標準化
Method(方法) ・作業手順の標準化と更新
・マニュアルの整備と周知徹底
・作業環境の最適化
・標準作業手順書(SOP)の定期的な見直しと更新
・ビジュアルマニュアルの作成と活用
・5S活動の推進

これらの要素を総合的に管理することで、変化点の影響を最小限に抑え、安定した品質と生産性を維持することができます。

不良発生時の対応

万が一不良が発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。以下のステップを踏むことで、効果的な対応が可能となります。

ステップ 確認事項
STEP1 問題の発生源を特定する ・不良品の特徴を詳細に分析
・製造プロセスの各段階を遡って調査
・関連する変化点の有無を確認
STEP2 原因究明を行う ・特性要因図(魚骨図)などを用いて可能性のある原因を洗い出す
・データ分析や実験を通じて真の原因を特定
STEP3 再発防止策を策定する ・根本原因に対する対策を立案
・短期的な応急措置と長期的な恒久対策を区別して計画
STEP4 対策を実施し、効果を確認する ・策定した対策を確実に実施
・対策後の品質データを収集・分析し、効果を検証
STEP5 標準化と横展開 ・効果が確認された対策を標準作業に反映
・類似プロセスや他の製品ラインへの展開を検討

このような体系的なアプローチを取ることで、不良の再発を防ぎ、品質改善につなげることができます。

変化点管理の効果確認と振り返り

変化点管理の実施後、その効果を確認し、振り返りを行うことが重要です。これにより、変化点管理の有効性を評価し、今後の製造工程に反映させることができます。

■ 効果確認の方法
✓ 品質指標(不良率、顧客クレーム数など)の推移を分析
✓ 生産性指標(生産量、稼働率など)の変化を確認
✓ コスト指標(不良損失、仕損費など)の改善状況を評価
■ 振り返りのポイント
✓ 変化点の特定が適切だったか
✓ 対応策が効果的だったか
✓ 予期せぬ問題が発生しなかったか
✓ コミュニケーションは十分だったか
✓ 今回の経験から得られた教訓は何か
■ 定期的な見直しと改善
変化点管理は一度確立すれば終わりではありません。製造環境の変化や新たな課題の発生に応じて、関係者で議論し、常に見直しと改善を繰り返すことが必要です。
[取り組みの例]
✓ 四半期ごとの変化点管理レビュー会議の開催
✓ 年次の変化点管理方針の見直しと更新
✓ 従業員からの改善提案制度の導入

こうした継続的な改善活動を通じて、変化点管理の精度と効果を高めていくことができます。以上のポイントを押さえることで、より効果的な変化点管理を実現し、製造業における品質と生産性の向上につながるのです。

5.変化点管理の重要性と今後の展望:AI技術の活用

本記事では、製造業における変化点管理の重要性と具体的な実践方法について解説してきました。変化点管理は、品質維持、トラブル防止、異常の早期発見など、製造プロセスの安定化と改善に大きく貢献します。
≪効果的な変化点管理を実現するためのポイント≫
 ☑ 変化点の見える化と情報共有
 ☑ QC7つ道具や新QC7つ道具の適切な活用
 ☑ 4M(Man、Machine、Material、Method)の各要素に対する綿密な管理
 ☑ 体系的な変化点管理プロセスの確立と実行
 ☑ 不良発生時の迅速かつ適切な対応
 ☑ 継続的な効果確認と改善活動
これらの取り組みを通じて、製造業の品質向上と生産性改善を実現することができます。
しかし、製造現場の「見える化」をさらに推し進め、変化点管理をより効率的に行うためには、最新のテクノロジーの活用も検討に値します。その一例として、AI画像認識技術を活用した『A-Eyeカメラ(エー・アイ・カメラ)』をご紹介します。

AI画像認識で工場を見える化『A-Eyeカメラ(エー・アイ・カメラ)』

『A-Eyeカメラ』は、AI画像認識技術を用いて工場内の機械設備の稼働状況を自動的に認識し、リアルタイムで可視化するシステムです。このシステムを導入することで、以下のような変化点管理の強化が期待できます

[1]リアルタイムの製造プロセス監視
・積層信号灯の色や作業者の動きから機械の状態をリアルタイムで把握
・異常や変化点をAIが自動検知し、即時に通知
[2]データの蓄積と分析
・稼働率などのデータを自動的に蓄積
・蓄積したデータを基に稼働状況や傾向分析が可能
[3]視覚的な情報共有
・あんどん表示など、現場の状況を視覚的に共有することで、関係者間の理解を促進
・遠隔地からでもリアルタイムで現場の状況を確認
・稼働率推移グラフ、時間別稼働率円グラフ、ガントチャートなどの分析機能も充実
[4]作業の標準化サポート
・新人教育や作業改善に活用可能

このようなAI技術を活用することで、人間の目では気づきにくい微細な変化点も検出でき、より精度の高い変化点管理が可能となります。
AI画像認識で工場を見える化『A-Eyeカメラ(エー・アイ・カメラ)』

変化点管理は、製造業の品質と生産性を向上させるための重要な取り組みです。従来の手法に加え、AIなどの先端技術を活用することで、さらに効果的な変化点管理が可能となります。製造業の皆様は、自社の状況に合わせて最適な変化点管理の方法を検討し、継続的な改善を進めていくことが重要です。
変化点管理の導入や改善は、一朝一夕には実現できません。しかし、本記事で紹介した方法やツールを活用し、段階的に取り組むことで、確実に成果を上げることができます。品質向上と生産性改善を目指す製造業の皆様にとって、変化点管理は避けて通れない重要なテーマです。ぜひ、自社の変化点管理の現状を見直し、さらなる改善に向けて一歩を踏み出してください。

▼AIソリューションに関するカタログ無料ダウンロードはこちら

この記事をシェアする

A-Eyeカメラ

記事カテゴリー

よく読まれている記事

           

お役立ち資料ランキング

記事カテゴリーCategory

全ての記事一覧