稼働状況の見える化とは?期待できる効果と可視化を行う方法

著者:ものづくりコラム運営 稼働状況の見える化とは?期待できる効果と可視化を行う方法        
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製造業における生産性向上や業務効率化は、常に重要な課題です。その中で、「稼働状況の見える化」が注目されています。工場の設備や作業の状況をリアルタイムで把握し、データとして可視化することで、多くの利点が得られるのです。本記事では、稼働状況の見える化について、その定義や効果、実施方法などを詳しく解説します。

1.稼働状況の見える化とは

稼働状況の見える化は、製造現場の効率化や生産性向上を実現するための重要な手法です。工場内の設備や作業の状況をデータ化し、誰もが理解しやすい形で表示することで、現場の課題や改善点を明確にします。

稼働状況の見える化の定義

稼働状況の見える化とは、工場内の設備の稼働状況を監視し、そのデータを収集して可視化することを指します。具体的には、機械の稼働時間、生産量、不良品率などの情報をリアルタイムで把握し、グラフやチャートなどの形で表示することです。
この見える化により、工場内の状況を一目で理解できるようになります。例えば、ある機械の稼働率が低下していることや、特定の工程で不良品が多く発生していることなどが、データとして明確に示されます。
さらに、見える化されたデータは、遠隔地からでもアクセスできるようになります。つまり、工場から離れた場所にいる管理者でも、リアルタイムで設備の稼働状況を把握できるのです。これにより、迅速な意思決定や問題解決が可能になります。

稼働状況の見える化が広まった背景

稼働状況の見える化が広く普及した背景には、トヨタ自動車の生産方式(トヨタ生産方式)の影響が大きいと言えます。トヨタ生産方式では、「目で見る管理」という考え方が重視されており、これが見える化の基本的な考え方となっています。
トヨタ生産方式では、生産ラインの状況や問題点を視覚的に表現することで、誰もが現状を把握しやすくなり、迅速な対応が可能になると考えられています。この考え方が、他の製造業にも広く採用されるようになり、稼働状況の見える化が一般的な手法として普及していったのです。
見える化の目的は、業務の現状、進捗、実績などを常に見えるようにすることであり、様々なメリットも得られます。

【稼働状況の見える化による利点】
 ・問題点の早期発見:異常や非効率な状況をすぐに発見できる
 ・迅速な対応:問題が見えることで、素早い対応が可能
 ・情報共有の促進:誰もが同じ情報を共有できるため、チームワークが向上
 ・改善の促進:現状が明確になることで、改善点が見つけやすくなる

このように、稼働状況の見える化は、単に情報を可視化するだけでなく、製造現場の継続的な改善や効率化を支える重要なツールとなっているのです。

2.稼働状況の見える化によって期待できる効果

稼働状況を見える化することで、製造現場には多くの利点がもたらされます。生産性の向上や品質管理の改善だけでなく、従業員のモチベーション向上にも繋がる可能性があります。ここでは、稼働状況の見える化によって期待できる主な効果について詳しく解説します。

課題を把握しやすくなる

稼働状況の見える化の最大の利点は、製造現場の課題を迅速かつ正確に把握できるようになることです。生産の進捗状況、不良品の発生率、設備の稼働率など、様々な情報が可視化されることで、これまで見過ごされていた問題点や非効率な部分が明確になります。
例えば、ある工程で予想以上に時間がかかっていることや、特定の機械で不良品が多く発生していることなどが、データとして明確に示されます。これらの情報は、グラフや図表などの形で視覚的に表現されるため、誰もが簡単に理解できます。
課題を早期に把握できることで、解決策を探しやすくなります。問題が発生してから対応するのではなく、問題が大きくなる前に予防的な対策を講じることができるのです。これにより、生産性の向上や品質の改善につながります。

稼働率の向上に期待できる

稼働状況の見える化は、設備の稼働率向上にも大きく貢献します。設備の稼働状況をリアルタイムで監視することで、故障や不具合を事前に検知できるようになるからです。
例えば、ある機械の稼働率が徐々に低下している様子がデータとして示されれば、そこに何らかの問題が潜んでいる可能性が高いと推測できます。このような兆候を早期に発見することで、大きな故障や突然の停止を未然に防ぐことができます。
また、設備の異常停止やトラブルなどを見つけやすくなることで、迅速な対応が可能になります。これにより、ダウンタイム(設備が停止している時間)を最小限に抑えることができ、結果として稼働率の向上につながります。
稼働率が向上すれば、それは直接的に生産性の向上につながります。つまり、同じ時間でより多くの製品を生産できるようになるのです。これは工場全体の収益性の向上にも大きく寄与します。

業務の属人化を防止できる

稼働状況の見える化は、業務の属人化を防ぐ効果も期待できます。属人化とは、作業の手順や状況などの情報を特定の担当者しか把握できていない状態を指します。これは、その担当者が不在の際に業務が滞る、あるいは品質にばらつきが生じるなどの問題を引き起こす可能性があります。
見える化によって業務手順などの情報を共有することで、このような属人化のリスクを軽減できます。例えば、ベテラン作業者の作業手順や判断基準をデータ化し、可視化することで、他の作業者も同様の水準で作業を行えるようになります。

【情報の可視化によるメリット】
 ・知識やスキルの共有が容易になる
 ・新人教育の効率化が図れる
 ・作業の標準化が進む
 ・品質のばらつきが減少する

これらの効果により、業務効率の低下や品質問題などのリスクを回避しやすくなります。また、特定の個人に頼らない、安定した生産体制を構築することができます。

従業員のモチベーションアップにつながる

稼働状況の見える化は、従業員のモチベーション向上にも寄与します。工場の状況や課題などをデータで明確に把握できるようになることで、従業員一人ひとりが自分の仕事の意義や重要性を理解しやすくなるからです。
例えば、自分が担当する工程の生産性が向上し、それが全体の生産性向上にどのように貢献しているかが数値として示されれば、従業員は自分の仕事の成果を実感しやすくなります。
また、改善活動の成果をデータで明確化できることも、モチベーション向上につながります。例えば、ある改善策を実施した結果、不良品率が減少したことが数値で示されれば、その改善に関わった従業員は大きな達成感を得ることができます。
このように、自分の仕事の成果や改善活動の効果が目に見える形で示されることで、従業員の仕事に対する意識も高まりやすくなります。結果として、さらなる改善や効率化への意欲が生まれ、好循環が生まれるのです。

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3.稼働状況の見える化を行う主な方法

稼働状況の見える化を実現するには、いくつかの段階を踏む必要があります。主に、データの収集、現場状況の把握、データの集計・分析という3つのステップが重要です。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

設備から稼働データを収集する

稼働状況の見える化の第一歩は、設備から稼働データを収集することです。設備から収集してきたデータから、稼働状況を正確に把握できるようになるため、この過程は非常に重要です。
収集するデータには、以下のようなものが含まれます。
 ☑設備の稼働時間
 ☑生産量
 ☑サイクルタイム(1個の製品を生産するのにかかる時間)
 ☑エラー情報(機械の停止、不具合など)
 ☑品質データ(不良品率など)

ただし、設備の仕様や年代、接続方法によって収集できるデータの内容は異なります。例えば、最新のIoT対応設備であれば、より詳細で多様なデータを自動的に収集できる可能性があります。一方、古い設備の場合は、センサーを後付けしたり、手動でデータを入力したりする必要があるかもしれません。そこで、設備にセンサーやモニタリング装置を取り付けることで、稼働状況やエラー情報などのデータをリアルタイムで取得できるようになります。

【例:設備のデータ収集の方法】
 ・PLCからのデータ取得:多くの生産設備に搭載されているPLC(Programmable Logic Controller)からデータを直接取得する方法
 ・センサーの設置:稼働状況を検知するセンサーを設備に取り付ける方法
 ・IoTデバイスの活用:インターネットに接続可能なデバイスを使用してデータを収集する方法
 ・手動入力:作業者が定期的にデータを記録し、システムに入力する方法
 ・AIの活用:積層信号灯や操作盤の文字などをAIが監視し、生産設備の稼働状況を判断する方法

これらの情報を、ダッシュボードやグラフなどの形で視覚化することで、誰もが簡単に現場の状況を理解できるようになります。例えば、生産ラインの稼働状況を色分けして表示したり、生産量の推移をグラフで示したりすることで、一目で現状が把握できます。
また、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでこれらの情報にアクセスできるようにすることで、現場の管理者がリアルタイムで状況を把握し、迅速な意思決定を行えるようになります。

データを集計・分析する

データをただ収集するだけでなく、それを適切に集計・分析することが重要です。過去のデータを分析することで、トレンドやパターンを把握し、問題の根本原因を特定できます。例えば、不良品の発生が特定の時間帯や設備で多い場合、その原因を探り改善策を講じることで、生産品質の向上が期待できます。
【データ集計・分析方法の例】

統計的分析 平均値、標準偏差、相関係数などの統計量を計算し、データの傾向や特徴を把握
トレンド分析 時系列データを分析し、長期的な傾向や周期性を見出す
比較分析 異なる期間や異なる設備間でデータを比較し、パフォーマンスの差異を明らかにする
予測分析 過去のデータを基に将来の傾向を予測し、先手を打った対策を講じる
異常検知 通常とは異なるパターンやデータの変化を検出し、潜在的な問題を早期発見

データの集計・分析を効果的に行うためには、適切なツールやソフトウェアの活用が不可欠です。例えば、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを使用することで、複雑なデータを分かりやすいビジュアルで表現したり、高度な分析を簡単に行ったりすることができます。
また、最近では人工知能(AI)や機械学習の技術を活用した分析も注目されています。これらの技術を用いることで、人間では気づきにくいパターンや相関関係を発見したり、より精度の高い予測を行ったりすることが可能になります。

分析結果後に実践すべき活動

蓄積したデータや分析結果を基に、次のステップとして様々な活動へつなげることができます。いくつかご紹介いたしますので、こういった活動を意識したデータ収集をおすすめいたします。

・生産計画の最適化
需要予測や設備の稼働率などを考慮して、最適な生産計画を立てる
・予防保全の実施
設備の稼働データから故障の兆候を検知し、事前に保全作業を行う
・品質改善
不良品発生のパターンを分析し、品質向上のための対策を講じる
・工程の最適化
各工程の所要時間や稼働率を分析し、ボトルネックを特定して改善する

よくある課題として、「データを蓄積したものの、どう活用したらいいか分からない」といった声も多いようです。事例などを参考に、まずは、自社でクリアしたい目標を設定するところから始めてみましょう。

4.稼働状況の見える化で製造現場の生産性を大幅に向上させよう

ここまで、稼働状況の見える化について、その定義や効果、実施方法などを詳しく解説してきました。稼働状況の見える化は、製造業における生産性向上や業務効率化に大きく貢献する重要な取り組みであることがお分かりいただけたかと思います。
見える化によって、現場の課題が明確になり、設備の稼働率が向上し、業務の属人化を防ぐことができます。さらに、従業員のモチベーション向上にもつながり、工場全体の生産性を大きく改善する可能性を秘めています。
しかし、稼働状況の見える化を効果的に実施するには、適切なツールやシステムの選択が重要です。ここで、製造現場の課題を見つけるために最適なシステムをご紹介します。

AI画像認識を利用した工場の見える化システム『A-Eyeカメラ(エー・アイ・カメラ)』

A-Eyeカメラはネットワークカメラで撮影された画像を元にAI(人工知能)が生産設備の稼働状況を判断し、クラウドに情報を蓄積するIoTシステムです。蓄積された情報をリアルタイムに集計・分析し、全社員で稼働状況を共有することで「工場の見える化」を推進します。このシステムは、ネットワークカメラを設置し、生産設備の操作画面や積層信号灯の点灯状態の画像から稼働状況をAIで判別するため、機械や設備のメーカーや年代に関係なく状況を把握することができます。

【『A-Eyeカメラ』の特徴】

・非接触での稼働状況把握
設備に直接センサーを取り付ける必要がなく、市販のネットワークカメラとLAN環境があれば設置可能
・リアルタイムモニタリング
あんどん表示で、監視下にある機械の稼働やエラーを一画面で確認可能。収集された情報はクラウド上に保存されるため、どこにいても各端末でリアルタイムに確認可能
・異常検知
設備の異常停止時に関係者へ自動的にアラート通知し、通常と異なる作業や状況を自動的に検出
・データ分析
可視化ツールを用いて、製造現場の稼働状況をグラフで確認・分析可能。収集したデータを分析し、改善点を明確化する。

A-Eyeカメラを導入することで、人手をかけずに常時監視を行い、製造現場の課題を迅速に発見することができます。これにより、生産性の向上や品質管理の改善など、様々な効果が期待できます。
稼働状況の見える化は、製造業の競争力強化に欠かせない取り組みです。A-Eyeカメラのようなツールを活用しながら、継続的に改善を行っていくことで、製造現場の生産性を大幅に向上させることができるでしょう。

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製造業を取り巻く環境は日々変化しています。グローバル競争の激化や労働力不足など、様々な課題に直面する中で、稼働状況の見える化は非常に有効な手段となります。ぜひ、自社の製造現場に合わせた見える化の取り組みを検討し、実践してみてください。それが、未来の製造業を支える大きな一歩となるはずです。

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