製造業が注目するべきIT化とは?期待できる効果やおすすめのシステム

著者:ものづくりコラム運営 製造業が注目するべきIT化とは?期待できる効果やおすすめのシステム

製造業のIT化により、生産性向上や余剰在庫の削減などの効果が期待できます。しかし、資金や人材不足、テクノロジーへの苦手意識など、日本の製造業界ではIT化が進みにくいのが現状です。

本記事では、製造業のIT化が進まない理由やIT化の実現により期待できる効果について解説します。
中小製造企業のIT化に特化したテクノアのシステムも紹介します。

1.製造業の現場がIT化することで期待できる効果

はじめに、製造業の現場をIT化することで期待できる効果について解説します。
ポイントは「生産性の向上」「余分な在庫の削減」「品質の向上」「新たなサービスの提供」の4点です。

生産性の向上

ITシステムの活用によって、作業時間の削減や生産過程の効率化を実現できるため、製造現場の生産性向上がはかれます。
作業の自動化や生産管理システムの導入により、業務の標準化や製造現場のデータを最大限活用することで高い生産性の発揮を期待できます。

余分な在庫の削減

生産過程のリアルタイムな監視は、余分な在庫の削減を可能にします。必要な部品や材料を適切に管理しやすくなるためです。在庫を保管するためのスペースやコストの削減も期待できます。

品質の向上

センサーや計器類、データ収集システムの活用は、製品の品質管理を強化します。人の目や経験では確認しきれない、細かな品質の違いまで近年のテクノロジーなら正確に検知することができます。品質のばらつきや、不良品の発生を減らせるでしょう。

新たなサービスの提供

データの収集や分析などにより、製品やサービスの開発や改善に活用できます。変化しやすい顧客の潜在的ニーズや市場の動向に対応しやすくなり、製品の魅力を最大限に引き出せるのです。
また、生産管理システムやITツールの導入により業務を標準化することで、事務工数の削減により「人にしかできない作業」に注力することで、時間を有効活用できるようになります。

2.製造業のIT化やDX化への取り組みの現状

次に、製造業のIT化やDX化の取り組みの現状について解説します。日本国内と製造業に分けてご案内します。

日本におけるIT化・DX化の現状

総務省の令和3年の情報通信白書によると、アメリカやシンガポールなどの他国に比べ、日本はIT化・DX化が遅れているとわかります。近年のDX化の取り組みについて「実施していない、今後も予定なし」と回答した企業は6割におよびました。

企業の規模別に注目すると、DXを推進できていない大企業は4割にとどまっています。一方、中小企業では約7割の企業が推し進められないほど深刻化しているのです。

【出典】「国際指標におけるポジション」(総務省)
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112420.html

製造業におけるIT化・DX化の現状

次に、製造業におけるIT化やDX化についてみてみます。
総務省の令和3年の情報通信白書によると、国内製造業の5割以上が近年のDX化の取り組みについて「実施していない、今後も予定なし」と回答しました。

6割を超える企業でDX化が進む、情報通信業、金融業・保険業などに比べると、国内製造業のデジタル化の取り組みは少ない傾向です。

【出典】「我が国におけるデジタル化の取組状況」(総務省)
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112420.html

3.製造業のIT化が進まない主な理由

ここからは、製造業のIT化が進まない主な理由について考えてみます。ポイントは「資金や人材の不足」「製造工程が複雑」「新しいテクノロジーへの理解不足」の3点です。

資金や人材の不足

企業のIT化は、システムの導入や運用に費用や時間がかかります。適切な運用を実現するためのノウハウも不可欠です。しかし、製造業では、ITスキルを持った人材の採用や育成はほとんど進んでいません。デジタル技術に精通した人材の採用や育成といった、投資コストの確保がIT化の推進では求められます。

上手くデジタル技術を活用できれば、技術継承などの課題においても、「熟練技術者の繊細なテクニックを映像データで残す」「マニュアル化の推進」など、人手不足の改善に役立つのです。

製造工程が複雑

製造業でIT化を進めるには、細かな製造工程を想定した、設備やシステムの導入が必要になります。製造業では、製品を造る際に複雑な工程が組み込まれていることも多いからです。生産性や品質向上のために独自のプログラムが必要な場合もあり、汎用的なシステムでは対応しきれません。既存の機械やシステムとの連携が難しく、積極的なIT化を諦めるケースもあるのです。

また、一方で「うちは特殊な運用だから…」と諦めている企業も一定数みられます。アナログな業務や属人化により複雑になってしまったフローを見直すと、意外とシンプルな運用に変更できる場合もあります。

新しいテクノロジーへの理解不足

経営陣や管理職が新しいテクノロジーへの理解を示さない場合も、IT化の推進を妨げる課題といえるでしょう。IT化の仕組みや効果が十分に理解されず、業務の標準化が遅れることで現状のアナログな仕組みの問題が認識されないためです。
社内の関心が薄かったり、導入のメリットが理解できなかったりした場合、IT化を進めることは簡単ではありません。熟練者のなかには、業務プロセスや従来の仕組みが変わることに強い抵抗感を示す人もいます。

新しいツールへの苦手意識や、今できているから急ぐ必要はないとなかなか重い腰が上がらない背景もあります。
しかし、ITツールを活用しデータを蓄積することで、現状見えていない課題やボトルネックになっていた工程が見えてくることもあります。なぜITが必要なのか導入の目的も含め検討してみるのもいいでしょう。

4.製造業が注目するべきIT化とは?

IT化が進みにくい製造業において、課題解決のために注目するべきシステムやサービスについて解説します。ポイントは「業務管理システム」「クラウドサービス」「IoT」「AI」の4点です。

業務管理システム

●業務管理システムとは
業務管理システムとは、製造部門や経理部門などの複数の部門の情報を一元的に管理できるシステムです。企業の業務を支える基幹システムの構築に用いられることもあります。

アナリティクスやレポート作成など、収集したデータを元に業務管理をサポートします。また、よく似たシステムにワークフローシステムがありますが、業務管理システムとはやや異なります。ワークフローシステムは、経費精算などの業務手続きをデジタル化するもので、プロジェクト全体の管理を支えるのが業務管理システムです。

 

●導入により期待できる効果
業務管理システムの導入により、生産計画や在庫管理、品質管理などのの業務効率を高めます。情報入力や確認作業にかかる作業時間を減らし、情報の可視化や分析ができるため、生産性や品質の向上にも役立ちます。

社内での情報共有がシステム化されるため、部門間のコミュニケーションや協働を促進しやすくなる効果も期待できます。

 

クラウドサービス

●クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、ネットワークを通して利用者に、データやソフトウェアを提供するサービスです。具体的には、Googleドキュメントやスマホのストレージなど、インターネットを介して受けるサービス全般を指します。最近では、生産管理システムなどでもクラウド対応が進んでおり、月額利用料で導入しいサービスが増えています。

 

●活用により期待できる効果
クラウドサービスの活用により、データの共有や情報の確認がしやすくなるメリットがあります。インターネットに接続できれば、オフィスや自宅などどこからでもサービスを受けられる点もポイントです。

 

IoT

●IoTとは
IoTとは、「Internet of Things(モノのインターネット化)」の略称です。センサーやデバイスなどをインターネットに接続し、データの収集や送信、処理の自動化を実現します。

 

●活用により期待できる効果
IoTの活用により、製品や設備の稼働状態や動作状況などをリアルタイムで監視して、制御が可能になります。機器の状態管理や問題の早期発見が容易になるのです。作業者の負担を軽減し、円滑な業務遂行をサポートする効果が期待できます。

製品や設備からデータを収集、分析することで、適切な稼働率の設定や効果的な設備利用などの効率化を進めやすくなる点もポイントです。

 

AI

●AIとは
AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、人間の知能に近い処理をコンピュータに実装する技術です。

 

●活用により期待できる効果
AIの活用により、画像データを認識・識別するため、製品の異常検知や品質検査などの自動化や高精度化が期待できます。

学習機能を持つため、データを分析するたびに知見を広げることで、業務に有益な予測を立てやすくなる点もポイントです。

 

5.製造業のIT化をサポートするおすすめのシステム

ここからは、製造業のIT化を助けるシステム「A-Eyeカメラ(エーアイ・カメラ)」と「TECHSシリーズ」、「Seiryu」について解説します。
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工場の見える化を実現したい

工場の見える化を実現するには、AIを活用して稼働監視を実現するIoTシステム「A-Eyeカメラ」がおすすめです。A-Eyeカメラは、ネットワークカメラで撮影された画像をAI(人工知能)が分析することで、生産設備の稼働率や稼働状況などを判断し、現状把握と工場の見える化を実現します。

機械設備のメーカーや年代を限定しないため、さまざまな設備でAIによる状況把握が可能です。主に次のような機能を持ちます。

 ・積層信号灯の点灯状態の判別機能
 ・画面上の情報の読み取り機能
 ・人物の有無の検知機能

生産設備の操作画面内の文字や、積層信号灯の点灯状態を学習内容に基づき判断します。豊富な可視化ツールを通じて、製造現場の稼働状況の確認・分析も可能です。

グラフなど分析表も充実しています。たとえば、稼働率推移グラフ、時間別稼働率円グラフ、ガントチャートなどの機能を用いて、稼働率の推移や傾向の把握、改善効果のチェックなどを生産設備ごとの分析が可能です。ITを活用して工場の見える化を実現するには『A-Eyeカメラ』をおすすめします。

AI画像認識を利用した工場の見える化システム『A-Eyeカメラ(エーアイ・カメラ)』

自社に合わせた生産管理をしたい

自社に合わせた生産管理を実現するには、テクノアのクラウド対応型生産管理システム『TECHSシリーズ』をおすすめします。『TECHSシリーズ』、予定工数に対してリアルタイムで進捗や実績を確認できる、中小製造企業に特化した生産管理システムです。

『TECHSシリーズ』は個別受注型、多品種少量生産といった生産形態に特化したシステムとなっています。
製品の詳細や画面イメージは下記リンクよりご確認ください。

個別受注型 機械装置業様向け生産管理システム『TECHS-S NOA』
多品種少量型 部品加工業様向け生産管理システム『TECHS-BK』

なお、部品加工業様に特化した『TECHS-BK』では、システム化したい業務範囲に合わせて選べる「Mini」「Basic」「Standard」と3つのエディションをご用意。
まずは販売管理から始め、最終的に受注から売上までの業務を一元化するといった、段階的稼働が可能です。詳細は製品ページをご確認ください。
 

業務の計画性を高めたい

業務の計画性を高めるには、多品種少量型の製造業に特化した生産スケジューラ『Seiryu』がおすすめです。
『Seiryu』には、中小企業の現場を「見える化」「最適化」「整流化」する効果が期待できる、次のような機能があります。
 ・現場の作業予定・負荷状況確認
 ・設定された制約条件を元に計画立案
 ・機械の自動割り当てが可能

『Seiryu』を活用することで、「効率的な計画」の策定と「手持ち」のムダの削減ができます。スケジュールの負荷が過剰な工程は、赤色で目立つように表示されるため、機械や作業者の負荷状況がひと目で把握可能です。さらに、設備の負荷状況を判断し、納期を守るための代替機械を自動で割り当てるのも可能です。
全工程の調整を一括して計画立案できるため、スケジュール担当者の経験が浅くても、一貫した基準に基づいて計画の策定が可能となります。

多品種少量生産向け生産スケジューラ『Seiryu(セイリュウ)』
 

6.製造業のIT化はテクノアにご相談ください

製造業のIT化は、生産性向上や余分な在庫の削減などの効果が期待できます。しかし、人材不足やテクノロジーの理解不足などにより、国内製造業のIT化はほとんど進んでいないのが現状です。

ITソリューションの推進は、あくまでもツールの導入が前提となります。ITツールの導入によって、どのようにカイゼンし、どのような未来を理想(目標)とするかを検討したうえで取り組むことが重要です。

そのため、自社のIT化が進まない場合は、ITツールの利用によってある程度のデジタル化を実現できるケースもあります。製造業でのITツールの利用については、中小企業の製造業に特化したテクノアまでぜひご相談ください。
 
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