ネスティングとは?製造業なら無視できない材料の最適化のための技術

著者:篠田 光貴(しのだ みつたか) ネスティングとは?製造業なら無視できない材料の最適化のための技術

製造業において、ネスティングは一つの材料からより多くの部品を割り付けられるよう配置する技術のことを意味します。定尺材の適切な利用を実現し、製品の品質と機能性を保ちながら、資源を最大限活用することを可能にします。本記事では、製造業で働くにあたり、押さえておきたいネスティングの基本的な知識について解説します。

ネスティングとは

ネスティングは、定尺材(板材や棒材など)から部品を効率よく取るための割り付けを行うことです。部品取り、製品配置といわれることもあり、レーザー切断やプラズマ切断、ガス切断、ウォータージェット切断、パンチングなどをする際に使われる技術です。生産品の安定性、設計変更のしやすさ、金型の強度、生産性などを踏まえて部品の配置状態を最適化することで、材料の無駄を減らせます。その結果、歩留まりの向上が見込めるのです。

ネスティングを行うメリット

次に、ネスティングのメリットについて解説します。製造業におけるネスティングの主なメリットは、「歩留まりの向上」「材料費の削減」などです。

歩留まりの向上

ネスティングを行うことで、1つの材料から多くの部品を取り出せるため、歩留まりが向上します。歩留まりとは、投入した原材料全体に対する生産数の割合の意味です。例えば、10kgの鉄材を加工して8kgの製品ができた場合の歩留まり率は80%となります 。材料のロスが分かりやすくなるため、歩留まり率を生産ラインの効率性の指標とすることがあります。

材料費の削減

歩留まりの向上により、全体の材料費を削減できる点もメリットです。材料費には、運送費や倉庫の保管料なども上乗せされます。材料が少なくて済めば、運送費の削減や在庫管理の効率化も期待できるのです。今後は物価高騰や物流費高騰なども予想されているため、材料費の削減には、ネスティングのような技術を用いたアプローチも求められます。

近年一般的になっている「自動ネスティング」

システムを活用したネスティングが「自動ネスティング」です。ここでは、自動ネスティングの「基本知識」「ネスティングエンジン」「メリット」について解説します。

自動ネスティングとは

近年では、CADソフトを使用して自動でネスティングを行うことが増えています。自動ネスティングは、自動で部品を適切に配置する技術であり、「ネスティングエンジン」の精度が非常に重要です。

ネスティングエンジンとは

ネスティングエンジンとは、システムの頭脳にあたる部分です。材料と部品の形状、サイズ、生産条件などを考慮して、複雑な計算を担います。エンジンの精度が低いと手動での調整回数が増える要因になり、全ての作業をシステムに任せることはできません。

自動ネスティングのメリット

業務の標準化や人件費の節約につながるのが自動ネスティングのメリットです。熟練のCADスペシャリストであれば、短時間で効果的なレイアウトを作成できるかもしれませんが、作業者の経験値により作業速度と精度は異なります。その点、ソフトウェアを活用した自動ネスティングなら、テンプレートの作成に大幅な労力をかける必要がありません。

また、余った端材をシステムに登録することで、歩留まりのよい素材を自動で選択できるシステムもあります。材料を最大限に活用でき、効果的な材料費の削減が可能です。

ネスティングの将来性と今後の展望

ネスティングの効率化が大幅に進んだことにより、自動ネスティングの技術は既に限界に達していると考える専門家もいます。今後はネスティングを追求するだけでなく、基幹システムと連携した総合的なアプローチも必要と考えられています。
なぜなら、原材料の過剰在庫、残材の有効活用、輸送費のコスト変動など、生産プロセス全体で適切なアプローチが求められるためです。製品の品質向上、コスト削減、環境への配慮といった目標の達成に向けて、生産管理システムと連動したネスティングを目指しましょう。

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篠田 光貴(しのだ みつたか) ブランディング戦略室

2007年3月入社。
入社以来、東海地区を中心に生産管理システム「TECHSシリーズ」の営業に従事。その後ブランディング戦略室にて、広報・企画・マーケティングを担当。
IT利活用での効率化はもとより、お客様の企業変革を行う仕組みや企業ブランディング、マーケティングのご提案をいたします。