タクトタイムとは?製造業での重要性やサイクル・リードとの違い

著者:ものづくりコラム運営 タクトタイムとは?製造業での重要性やサイクル・リードとの違い

タクトタイムとは、主に製造業で使われる時間の考え方で、一つの製品にかかる製造時間を表す言葉です。楽器演奏を指揮する際に使われる指揮棒(タクト)に由来し、ピッチタイムとも呼ばれます。タクトタイムは製造業において重要な指標のうちの一つです。

本記事では、製造業が押さえておくべきタクトタイムの基本的な知識について、わかりやすく解説します。

1.タクトタイムが製造業で重要な理由

タクトタイムは、生産工程の標準作業の三要素に含まれる非常に重要なものです。標準作業とは、「人の動き」「モノ」「設備」に焦点を当てた、“効率的”な生産方式のことをいいます。

良いものを早く、安全に、無駄を削除して作ることを目標に、業務改善の指針や製造ルールの基本形になるものです。

標準作業の前提条件は、人の動きを中心としていること、繰り返し作業であることです。次に紹介する「タクトタイム」「作業順序」「標準手持ち」の3つが標準作業を実現するための要素になります。

2.標準作業の三要素「タクトタイム」「作業順序」「標準手持ち」

標準作業の三要素である「タクトタイム」「作業順序」「標準手持ち」について深掘りします。

タクトタイム

タクトタイムは、一つの製品を製造するためにかかる時間の目安を指します。細分化して製品を構成する部品の製造にかかる時間を指すこともあります。

【タクトタイムの計算式】
タクトタイムの計算式は次の通りです。

タクトタイム=1日の定時稼働時間÷1日の生産必要数

たとえば1日の稼働時間が8時間(480分)で1日40個の製品を作る必要がある場合、12分(480÷40=12)がタクトタイムです。

1日の生産必要数は、依頼された生産個数を納期で割ることで求められます。200個の製品を5日の納期で収める場合、40個(200÷5=40)が1日の生産必要数です。

よく似た言葉に「サイクルタイム」がありますが、タクトタイムとは視点が異なるため、注意しましょう。

サイクルタイムは、製品の製造開始から完了までの1サイクルにかかる時間を指す言葉です。実際に製造した後で分析する時間であり、自社の工場が持つ生産能力を示す意味合いが強くなります。

一方でタクトタイムは、製品を作る前の目安を考えるのに用いられます。顧客目線で見た製造期間の目標の意味合いが強い言葉です。

「リードタイム」もよく似た言葉の一つですが、意味は異なります。タクトタイムは製造開始から製造完了までの時間を指す言葉ですが、リードタイムは発注から製品の納品までにかかる時間を指す言葉です。製品を作る作業時間だけでなく、待ち時間や発送時間なども含めた工程をすべて数値で表します。

作業順序

作業順序とは、作業者が効率よく良いものを生産できる順序のことです。具体的には、ものを運ぶ、機械に取り付ける、加工、組み立ての作業を効率よく行うための順序です。
無駄のない作業順序を決めることで、作業効率の向上につながることが期待できます。作業順序だけでなく、誰が行っても同じ作業ができる順序になっていることも大切です。誰でもできる効率の良い手順にすることが作業順序では求められます。

標準手持ち

標準手持ちとは、繰り返し同じ作業ができる必要最低限の仕掛品のことです。常に仕掛品がある環境にすることで、同じ供給を繰り返して効率の良い流れを作ることを目指します。ただし、仕掛品が多すぎると過剰在庫につながるおそれもあるので、標準手持ちはバランスよく調整しなければなりません。

3.理想的なタクトタイムの状態は?

タクトタイムとサイクルタイムの理想的な関係性は、両者が等しい状態といえます。オーダー数量と自社の生産設備のバランスが取れていることを意味するからです。生産における理想的な状態であり、無駄な生産が発生しない形になります。

ただし、タクトタイムとサイクルタイムを等しくすることを実現するのはほぼ不可能といえます。生産工程以外にも資材の調達や緊急の作業など、生産サイクルに含まれない作業が入るおそれがあるからです。タクトタイムとサイクルタイムが完全に一致しているときは、わずかなミスによって納期遅延を起こすリスクも潜在しています。あくまでも、理想としてタクトタイムとサイクルタイムを近づける努力程度に考えておくとよいでしょう。

4.タクトタイムの管理には生産管理システムやデータ収集システムの導入がおすすめ

タクトタイムとリードタイムの管理には生産管理システムやデータ収集システムの導入をおすすめします。タクトタイムの最適化には、これまでに蓄積したタクトタイムやリードタイムを分析して割り出す必要があるからです。また、最適なタクトタイムがわかっても適切なスケジュールを組むためには労力がかかるでしょう。生産管理システムやデータ収集システムを活用することで、最適なスケジュールを作成・調整するために役立てます。

実際にどのようなシステムを選べば良いのか判断に迷うかと思いますので、タクトタイムやリードタイムを正しく管理するための3つの製品を紹介します。

「TECHS-BK」や「TECHS-S NOA」「A-Eyeカメラ」などの製品がおすすめです。

生産管理システム

多品種少量型の複雑になりがちなデータを一元化『TECHS‐BK』
TECHS-BKは、多品種少量型の部品加工業様に特化し、リアルタイムで加工進捗や原価状況を把握しやすい生産管理システムです。です。ハンディターミナルやタッチパネルなどを使用し、設定した休憩時間を除外した実作業の実績をリアルタイムに収集できます。TECHS-BKの導入により、加工時間の予実比較や作業状況の把握によって生産性向上やリードタイム短縮が図れます。

 

・クラウド対応、1アカウントから利用できる生産管理システム『TECHS‐S NOA』
TECHS-S NOAは、個別受注型製造業に特化したクラウド対応型生産管理システムです。
加工部品の加工工程を入力でき、社内の作業指示書や外注への発注書の発行なども可能です。製番進捗問い合わせでは、作業指示書のバーコードをハンディターミナルで読み込むことで、作業の開始時刻や終了時間を収集して進捗状況の把握や工数実績の蓄積にもつながります。欠品などの問題も早期に発見することが可能です。

 

データ収集システム

・AI画像認識を利用した工場の見える化システム『A-Eyeカメラ』
A-Eyeカメラは、ネットワークカメラで撮影された画像を元にAI(人工知能)が生産設備の稼働状況を判断し、工場の見える化を推進するシステムです。AIが判別するため、機械設備のメーカーや年代に関係なく状況を把握できます。メーカーや年代に関係なく、多種多様な機械・設備に対応でき、主に次のような機能が特徴です。

● 積層信号灯の点灯状態の判別機能
● 画面上の情報の読み取り機能
● 人物の有無の検知機能

生産設備の操作画面内の文字や、積層信号灯の点灯状態を、学習内容を元にAIカメラが画像で判断できます。可視化ツールも充実しており、製造現場の稼働状況をさまざまなアウトプットから確認・分析することも可能です。たとえば、稼働率推移グラフ、時間別稼働率円グラフ、ガントチャートなどの機能を用いて、稼働率の推移や傾向の把握、改善効果のチェックなどを生産設備ごとに分析できます。タクトタイムとリードタイムがある程度等しい数値になることを目指すために、進捗状況を把握して実績を蓄積していく使い方も可能です。

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A-Eyeカメラ

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