内示とは?確定注文との違いと3つの対応パターン|内示管理とブレ率の計算方法を紹介
著者:N.K(ITコーディネータ:認定番号9036622022C)
モノづくり企業様の「知りたいが見つかる」そんなコラムを作成し、情報発信してまいります。
IT利活用による可能性を模索し、お客様に寄り添った課題解決ができるよう、お手伝いさせていただきます。
内示とは、正式な注文(確定注文)の前に、取引先から届く「注文予定の数量や時期」の情報です。
「先月の内示どおりに作ったら、確定で2割減った」「内示を信じきれず待っていたら、確定後に特急対応になった」。内示をめぐる悩みは、受け取る側の現場ならではのものです。「他社は内示をどう扱っているのだろう」と気になっていませんか。
この記事では、まず内示と確定注文の違いを整理します。そのうえで、内示を受けた後の3つの対応パターンと、他社と比べる時の視点を紹介します。さらに、内示のブレを数字でつかむ計算方法と、Excelで作れる内示管理表まで解説します。今ある内示の記録を少し整えるだけで、内示に振り回される状態は突破できます。
1.内示とは?確定注文との違い
内示を正しく扱う第一歩は、「内示は注文の予定であって、注文そのものではない」と押さえることです。とはいえ、内示を無視していては生産が間に合いません。ここでは内示の意味と確定注文との違い、そして内示が何度も届く仕組みを整理します。あなたの職場では、内示と確定注文を別々の数字として記録できているでしょうか。
内示とは?
内示とは、取引先が正式に注文する前に、「この先、いつ頃・いくつ注文する予定か」を知らせる情報です。最後は確定注文に切り替わりますが、その数量が内示どおりになる保証はありません。
内示があれば、受け取る側は注文が確定する前から材料の手配や段取りを進められます。製品を大量に作り置きしなくても納期に応えやすくなることが、内示の利点です。
内示は自動車部品の取引でよく知られていますが、継続して部品を納める取引であれば業種を問わず登場します。量産品の取引ほど、内示とうまく付き合えるかどうかが、在庫と納期の両方を左右します。
内示と確定注文の違い
| 比較する点 | 内示 | 確定注文(発注・納入指示) |
| 位置づけ | 注文の予定(参考値) | 正式な注文 |
| 数量・納期 | 確定までに変わることがある | 決まっている |
| 届く時期 | 製造に取りかかる前 | 納期の一定期間前 |
| 主な使い道 | 材料手配・生産計画・人員の計画 | 製造指示・出荷指示 |
| 取消し・変更時の扱い | 契約での取り決め次第 | 取引条件どおりの履行が求められる |
内示は何度も届く(2か月前・1か月前…)
内示は1回きりではなく、定期的に複数回届くのが一般的な形です。たとえば7月分なら、4月・5月・6月と毎月内示が更新され、最後に確定注文が届く、という流れです。
つまり、同じ品番・同じ月の数量が、内示のたびに少しずつ変わります。最新の内示で上書きしてしまうと、「いつの時点で、いくつだったか」が分からなくなります。この「版」の管理は、第4章と第5章で詳しく解説します。
フォーキャスト・納入指示との関係
内示のまわりには、似た言葉がいくつかあります。取引先によって呼び方や意味が違うこともあるため、自社の取引先ではどう使っているかを確認しておきましょう。
| フォーキャスト | 英語で「予測」を意味する言葉。取引先によっては内示と同じ意味で使うため、定義を確認しておく |
| 確定注文 | 数量・納期が決まった正式な注文 |
| 納入指示 | 確定した注文について、取引先のライン稼働に合わせて、納める日と数量を細かく指定するもの |
2.内示を受けたら何をする?3つの対応パターン
内示を受けた後の動き方に、全社共通の正解はありません。大切なのは「内示の段階で、どこまで動くか」を取引先・品番ごとに決めておくことです。ここでは代表的な3つのパターンと、他社と比べる時の視点を紹介します。あなたの職場では、担当者ごとに内示への動き方が違っていないでしょうか。
内示を受けてから出荷までの指示の流れ
内示を受けてから出荷までの社内の指示は、次の順に流れます。
①内示を受け取る:取引先・品番・対象月・数量を記録する
②生産計画を立てる:内示をもとに、いつ・何を・いくつ作るかを決める
③手配・製造の指示を出す:材料や部品の発注、現場への製造指示を出す
④確定注文(納入指示)を受け取る:数量・納期を内示と照合する
⑤出荷の指示を出す:製品在庫や完成品から、指示どおりに出荷する
3つのパターンの違いは、内示の段階で2と3をどこまで進めるかにあります。
内示への3つの対応パターン
パターンCは、言い換えれば「内示の段階で受注したものとして動く」やり方です。内示の数量や納期が確定注文と変わらないなら、内示の時点で作り始めても、結局は注文を受けてから作るのと同じことになる、ということです。名目は「内示」でも中身は確定注文という取引なら、様子見をするより早く動いたほうが、段取りにも余裕が生まれます。
パターンの違いは「内示の段階で、ステップ2と3をどこまで進めるか」にあります。
| 指示の流れ | パターンA先行生産・在庫出荷型 | パターンB材料だけ先行手配型 | パターンC内示=ほぼ確定型 | |
|---|---|---|---|---|
| 内示の段階 |
1内示を受け取る
取引先・品番・対象月・数量を記録
|
内示で実施
台帳に記録
|
内示で実施
台帳に記録
|
内示で実施
台帳に記録し、受注として登録
|
|
2生産計画を立てる
いつ・何を・いくつ作るかを決める
|
内示で実施
内示をもとに生産計画まで立てる
|
一部を内示で
材料の手配に必要な分だけ計画する
|
内示で実施
内示の数量で生産計画を確定させる
|
|
|
3手配・製造の指示を出す
材料・部品の発注と現場への製造指示
|
内示で実施
材料手配も製造指示も出し、完成まで進める
|
一部を内示で
長納期の材料・部品だけ発注する。製造指示は確定後
|
内示で実施
材料手配も製造指示も出す
|
|
| 確定の段階 |
4確定注文(納入指示)を受け取る
数量・納期を内示と照合
|
確定後に実施
製品在庫と照合し、出荷分を引き当てる
|
確定後に実施
製造指示を出して加工を始める
|
確定後に実施
数量・納期の最終確認だけ行う
|
|
5出荷の指示を出す
指示どおりに出荷
|
確定後に実施
製品在庫から出荷する
|
確定後に実施
完成後に出荷する
|
確定後に実施
計画どおり出荷する
|
内示で実施確定を待たずに動く一部を内示で材料の手配など一部だけ先に動く確定後に実施確定注文(納入指示)を受けてから動く
どのパターンを選ぶか?4つの判断軸
たとえば、確定から納期まで1週間しかないのに製造に3週間かかる品番は、内示の段階で動かないと間に合いません。逆に、ブレが大きく転用もしにくい品番は、パターンBで材料だけ押さえるほうが安全です。
💡チェックポイント
✅契約上、内示に拘束力があるか:取消し時の費用負担について取り決めがあるか
✅過去のブレの大きさと傾向:内示より確定が少なめに来るのか、多めに来るのか(第4章で計算)
✅自社の製造リードタイム:確定注文から納期までの期間より、製造にかかる日数が長いか短いか
✅転用のしやすさ:作った物や手配した材料を、他の注文に回せるか
他社と比べる前に整理したい3つの視点
「他社はどうしているのか」が気になったら、まず自社の内示を次の3つの視点で整理してみてください。同業の担当者と情報交換する時も、この3つをそろえて話すと比べやすくなります。
視点1:取引先ごとのブレのクセ
内示と確定の差(ブレ)には、取引先ごとにクセがあります。確定がいつも内示より少なめに来る「多め型」、確定が内示を上回りがちな「少なめ型」、平均するとほぼズレない「一致型」の3つに分けて考えると、整理しやすくなります。
「多め型」の取引先に内示の数量どおり作ると、確定で減った分が在庫としてだぶつきやすくなります。「少なめ型」では、内示どおりの計画だと、確定で増えた分に追いつかず欠品するおそれがあります。
取引先ごとに傾向が違うなら、対応パターンも取引先ごとに変えるのが自然です。自社の取引先がどの型に近いかは、第4章のブレ率の計算で確かめられます。
視点2:内示の届き方(頻度・期間・単位)
取引先ごとに、内示の届き方を一覧にしておきましょう。次は記入例です。
| 項目 | A社の記入例 | B社の記入例 |
| 届き方 | EDI | FAX |
| 届く日 | 毎週金曜日 | 毎月10日 |
| 数量の単位 | 品番ごと・日ごと | 品番ごと・月ごと |
| 対象期間 | 再来週から3か月先まで | 翌月から3か月先まで |
| 確定のタイミング | 毎週月曜日に翌週分が確定 | 前月25日に翌月分が確定 |
| ブレのクセ | 多め型(平均ブレ率-7.6%) | 記録を始めたところ |
届き方を書き出すと、「内示を受けてから確定までに、何日の余裕があるか」が見えてきます。
視点3:内示の段階でどこまで動いているか
取引先・品番ごとに、パターンA・B・Cのどれで動いているかを書き出します。担当者によって動き方が違う品番が見つかったら、それが社内ルールを決めるきっかけになります。
3.内示で現場によくある5つの課題
内示に振り回される原因は、取引先の内示の精度だけではありません。受け取った内示を「どう記録し、どう社内に伝えているか」にも原因が潜んでいます。ここでは現場でよくある5つの課題を、失敗例(NG)と成功例(OK)で比べます。
よくある5つの課題別:失敗例と成功例
⚠️課題1:内示を確定と思い込み、作りすぎる
内示の数量をそのまま生産計画に入れ、全量を作り切ってしまう。確定で数量が減ると、作った分が製品在庫として残ります。
・NG:内示の数量を、そのまま製造指示の数量にしている
・OK:取引先・品番ごとの過去のブレを確認し、先行して作る数量を決める(第4章で計算方法を解説)
⚠️課題2:内示を信じきれず、確定後に特急対応になる
「どうせ変わるから」と内示の段階で動かずにいると、確定注文が来てから慌てることになります。製造に時間がかかる品番ほど、残業や特急手配が増えがちです。
・NG:内示の段階では何もせず、確定注文が来てから材料を手配する
・OK:確定から納期までの期間と、自社の製造日数を比べる。間に合わない品番だけは、材料だけでも先に手配する(第2章のパターンB)
⚠️課題3:更新された内示の「版」を取り違える
内示は2か月前、1か月前と何度も届きます。古い内示のまま生産計画を立ててしまう取り違えは、気をつけていても起こります。
・NG:内示のファイルを受信日ごとに保存しているだけで、どれが最新か一目で分からない
・OK:内示を受け取ったら、受信日と「第何回の内示か」を記録し、前回との差を確認する
⚠️課題4:内示の届き方が取引先ごとにバラバラ
FAXで届く取引先、メールの添付ファイルで届く取引先、取引先のWebシステムから取りに行く取引先。届き方が違うと、確認の漏れが起きやすくなります。
・NG:取引先ごとの担当者が、それぞれのやり方で内示を確認している
・OK:取引先ごとの「届き方・届く曜日・対象期間」を一覧にし、受け取ったら同じ台帳に転記する。EDIや取引先のWebシステムからCSVで取り出せる場合は、手入力せず貼り付けると転記ミスを防げる
⚠️課題5:内示を上書きして、過去の数字が残っていない
内示の管理表を、最新の内示で毎回上書きしていませんか。上書きすると、後から「内示と確定がどれくらいズレたか」を振り返れません。
・NG:内示の数量欄を、新しい内示が来るたびに書き換える
・OK:内示の数量は書き換えず、新しい行として追加する。確定注文の数量も同じ表に記録する
見落としがちな落とし穴:記録はあるのに分析に使えない
内示のデータはすでに手元にあっても、ブレの分析に使えない形のままでは役に立ちません。
📝ひと工夫:受け取った日に、品番・対象月・数量だけ台帳に転記する
📝ひと工夫:内示は「版」ごとに1行で残す
📝ひと工夫:同じ表に「確定数」の列を設ける
📝ひと工夫:品番は取引先の書類の表記にそろえる
記録をゼロから増やす必要はありません。今ある内示の書類を、品番・対象月・版・数量の4項目で1行ずつ残すだけで、ブレを振り返れるようになります。
4.内示の管理方法5ステップと「ブレ率」の計算
内示の管理は、「受け取る→版を残す→手配ルールを決める→確定と照合する→ブレを振り返る」の5ステップで回します。中でも大切なのは、内示と確定の差を数字でつかむことです。ブレの傾向が分かれば、「内示の何割まで先に作るか」を根拠を持って決められます。
内示管理の5ステップ
✅FAXやメールなど届き方が違っても、同じ台帳に集める
✅「第何回の内示か」と、前回との差を記録する
✅先行して作る数量の目安を、過去のブレ率から決める
✅内示との差が大きければ、その場で生産計画と手配を見直す
✅傾向が変わっていれば、手配ルールを見直す
内示を受け取った日のチェックリスト
5ステップのうち、内示が届いた当日にやることをチェックリストにしました。印刷して内示の受け取り担当の手元に置くと、確認漏れを防げます。
- ▢ 取引先・品番・対象月・版・数量を台帳に記録し
- ▢ 前回の内示から、数量が大きく変わった品番を確認した
- ▢ 大きく変わった品番を、生産管理と購買の担当者に伝えた
- ▢ 長納期の材料・部品で、今手配が必要なものがないか確認した
- ▢ パターンA・B・Cのどれで動く品番かを確認した
ブレとブレ率の計算方法
この記事では、内示と確定注文の数量の差を「ブレ」と呼び、次の式で求めます。
ブレの計算式
ブレ確定注文数量内示数量
例:確定 1,000個 - 内示 1,100個 = -100個(内示より100個少なかった)
ブレがマイナスなら「内示より確定が少なかった」、プラスなら「内示より確定が多かった」ことを表します。
品番によって数量の規模が違うため、比べやすいように割合にしたものを、この記事では「ブレ率」と呼びます。
ブレ率の計算式
ブレ率(%)ブレ内示数量100
例:-100個 ÷ 1,100個 × 100 = -9.1%
内示は何度も届くため、「何か月前の内示と比べたか」を必ずそろえて計算します。
【計算例:A社・品番P-200の場合】
A社から毎月、2か月前と1か月前の2回、内示が届く品番で考えます。
2か月前と1か月前の2回、内示が届く品番です。
棒は0%(右端の線)からのズレの大きさを表します。
| 対象月 | 2か月前の 内示 |
1か月前の 内示 |
確定数 | ブレ (1か月前の内示比) |
ブレ率 (1か月前) |
ブレ率 (2か月前) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 1,200個 | 1,100個 | 1,000個 | -100個 | -9.1% | -16.7% |
| 5月 | 1,200個 | 1,150個 | 1,050個 | -100個 | -8.7% | -12.5% |
| 6月 | 1,100個 | 1,000個 | 950個 | -50個 | -5.0% | -13.6% |
| 3か月平均 | - | - | - | - | -7.6% | -14.3% |
この表から、次の2つが読み取れます。
🔎3か月とも確定が内示を下回っている:A社のP-200は、第2章でいう「多め型」の傾向がある
🔎1か月前の内示のほうがズレが小さい:2か月前の内示は材料の手配に、1か月前の内示は生産量の決定に使うと判断しやすい
ブレ率から先行生産の数量を決める
ブレの傾向が分かれば、先に作る数量の目安を次の式で出せます。
たとえば7月分の1か月前の内示が1,100個なら、1,100×(1-0.076)=約1,016個が目安になります。
先行生産の目安
先行生産の目安最新の内示数量(1 + 平均ブレ率)
例:1,100個 ×(1 - 0.076)= 約1,016個
実際に作る数量は、この目安から手元の製品在庫を差し引き、ロットや段取りの単位に合わせて決めます。ただし、これはあくまで目安です。確定が内示を上回った時に欠品しないよう、手元の在庫や取引先との取り決めも合わせて判断してください。月によってブレの大きさがばらつく品番ほど、目安より多めに作るか、材料だけ押さえておくかの判断が大切になります。
5.Excelで作る内示管理表
内示管理表は、Excelの「内示台帳」と「ブレ分析表」の2枚から始められます。新しいシステムを入れる前に、手元のExcelで内示の版とブレを見える形にしてみましょう。ポイントは、内示を上書きせず、届くたびに1行ずつ追加することです。
シート1:内示台帳(届いた内示を1行ずつ記録)
内示が届くたびに1行追加します。シート名は「内示台帳」にしておくと、後で紹介する式がそのまま使えます。
例)内示台帳
| A | B | C | D | E | F | G | H | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 受信日 | 取引先 | 品番 | 対象月 | 版 | 内示数 | 前回差 | 備考 |
| 2 | 2026/05/10 | A社 | P-200 | 2026/07 | 1 | 1,150 | 2か月前の内示 | |
| 3 | 2026/06/10 | A社 | P-200 | 2026/07 | 2 | 1,100 | -50 | 1か月前の内示 |
| 4 | 2026/06/10 | A社 | P-200 | 2026/08 | 1 | 1,200 | 2か月前の内示 | |
| 5 | 2026/06/12 | B社 | S-310 | 2026/08 | 1 | 400 | FAXで受信 | |
| 6 | ||||||||
| 7 |
「版」は、同じ取引先・品番・対象月の内示が何回目かを表す数字です。「前回差」は、ひとつ前の版から何個変わったかを示します。G3セルの式は数式バーのとおりで、下の行へコピーして使います。第1回の内示(版が1の行)は前回がないため、空欄になります。
対象月は、2つのシートで同じ形にそろえて入力してください。Excelは「2026/07」と入力すると、日付に自動で変換することがあります。日付として扱うなら両方のシートを日付に、文字として扱うなら先頭に「’」(アポストロフィ)を付けて「’2026/07」と入力します。形がそろっていないと、同じ月の内示として集計されません。
シート2:ブレ分析表(内示と確定を並べて比べる)
品番・対象月ごとに1行で、内示と確定注文を並べます。黄色のセルは式で自動計算するため、手で入力するのは白いセル(取引先・品番・対象月・確定数)だけです。
例)ブレ分析表
| A | B | C | D | E | F | G | H | I | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 取引先 | 品番 | 対象月 | 2か月前 の内示 |
1か月前 の内示 |
確定数 | ブレ | ブレ率 (1か月前) |
ブレ率 (2か月前) |
| 2 | A社 | P-200 | 2026/04 | 1,200 | 1,100 | 1,000 | -100 | -9.1% | -16.7% |
| 3 | A社 | P-200 | 2026/05 | 1,200 | 1,150 | 1,050 | -100 | -8.7% | -12.5% |
| 4 | A社 | P-200 | 2026/06 | 1,100 | 1,000 | 950 | -50 | -5.0% | -13.6% |
| 5 | A社 | P-200 | 2026/07 | 1,150 | 1,100 | ||||
| 6 |
各列の式は次のとおりです(2行目の例。下の行へコピーして使います)。
スマホでは、表を横にスクロールして確認できます。
| セル | 入力する式 | 意味 |
|---|---|---|
| D2 | =SUMIFS(内示台帳!$F:$F,内示台帳!$B:$B,$A2,内示台帳!$C:$C,$B2,内示台帳!$D:$D,$C2,内示台帳!$E:$E,1) | 第1回(2か月前)の内示数 |
| E2 | D2の式の最後の「1」を「2」に変えたもの | 第2回(1か月前)の内示数 |
| G2 | =IF(F2=””,””,F2-E2) | ブレ(確定数-1か月前の内示) |
| H2 | =IF(OR(F2=””,E2=0),””,G2/E2) | ブレ率(1か月前の内示比) |
| I2 | =IF(OR(F2=””,D2=0),””,(F2-D2)/D2) | ブレ率(2か月前の内示比) |
H列とI列は、セルの表示形式を「パーセント」にします。確定数がまだ入っていない行は、ブレとブレ率が空欄のまま表示されます。
取引先・品番ごとの平均ブレ率は、AVERAGEIFS関数で求められます。
=AVERAGEIFS(H:H,A:A,"A社",B:B,"P-200")
※この表では、第1回の内示を2か月前、第2回を1か月前として扱っています。取引先によって内示の回数や時期が違う場合は、版の番号と列の見出しを取引先に合わせて変えてください。
内示管理表を続けるための運用ルール
✅内示は書き換えない:届いた内示は必ず新しい行で追加する
✅転記はその日のうちに:受け取った日に、取引先・品番・対象月・版・数量だけでも記録する
✅品番は取引先の書類にそろえる:社内の呼び名ではなく、内示書や注文書の品番を使う
✅振り返りは月1回、主要品番から:最初は数量や金額の大きい品番だけに絞って始める
6.知っておきたい取引ルールの考え方
内示で先に動くほど、「取り消されたら誰が費用を持つのか」が気になります。ここでは、事務担当が押さえておきたい考え方だけを紹介します。個別の判断は契約内容によって変わるため、最終的には専門家や相談窓口に確認してください。
確定した発注の取消しや延期には、取適法の考え方がある
2026年1月1日に、下請法を改正した「取適法」が施行されました。正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。(出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」)
公正取引委員会の運用基準によると、発注した後で取消しや納期の先送りをして、約束の納期に品物を受け取らない場合も、原則として受領拒否の扱いになります。違反の例として、部品ができあがっているのに、発注側が自社の計画変更を理由に納期を先送りしたケースが紹介されています。(出典:公正取引委員会「取適法の運用基準」)
「不当な給付内容の変更」の例としては、受託側が材料を仕入れ済みの段階で、発注側が売れ行きの悪化を理由に注文の一部を取り消し、それまでの費用も負担しなかったケースも挙げられています。なお、取適法が適用されるかどうかは、取引の内容と、双方の資本金や従業員数で決まります。(出典:公正取引委員会「取適法の概要」)
自社が仕入先や外注先に内示を出す側になる場合は、立場が逆になる点にも注意してください。
内示の段階の扱いは「取り決め」で決まる
運用基準に挙げられている違反行為事例は、発注した後の取消しや変更を扱っています。一方で内示は、最終的には確定注文に置き換わる予定の情報です。そのため、内示の段階で手配した材料や作った製品の扱いは、内示の位置づけを取引先とどう決めているかによって変わります。
運用基準も、こうした違反を未然に防ぐには、発注の段階で取引条件をはっきり示しておくことが重要だという立場です。内示についても、次のような点を取引先と話し合い、書面に残しておくと安心です。
✅先行手配してよい範囲:何か月前の内示まで、材料や部品を手配してよいか
✅取消し・減少時の費用負担:手配済みの材料や仕掛品の費用を、誰がどこまで負担するか
✅確定とみなす時点:どのタイミングの内示を確定注文として扱うか
第4章のブレ率の記録は、こうした話し合いの根拠資料にもなります。判断に迷う時は、公正取引委員会の取適法に関する相談窓口を利用できます。
7.まとめ
内示とは、正式な注文の前に取引先から届く「注文予定の数量や時期」の情報です。確定注文とは違い、数量や納期は変わることがあります。
内示への動き方は、「先行生産・在庫出荷型」「材料だけ先行手配型」「内示=ほぼ確定型」の3つが基本です。どれを選ぶかは、契約上の位置づけ、過去のブレ、自社の製造日数、転用のしやすさで、取引先・品番ごとに決めます。
まずは、届いた内示を上書きせずに1行ずつ残すことから始めてください。3か月分のブレ率が見えれば、内示に振り回される職場から、内示を先読みに使いこなす職場へ生まれ変わる第一歩になります。
8.Q&A(現場でよくある疑問)
| Q.内示と注文書(発注書)の違いは何ですか? |
| 内示は注文の予定を伝える情報で、注文書は数量・納期・金額が決まった正式な注文です。内示は、確定注文までに数量や時期が変わることがあります。ただし、名目は「内示」でも、実態は確定注文として扱われている取引もあります。自社の取引先ではどちらにあたるか、契約書や取引の取り決めで確認しておきましょう。 |
| Q.内示どおりに作った製品が、確定で減って余りました。費用は請求できますか? |
| 内示の位置づけを取引先とどう取り決めているかによります。確定した発注の取消しについては、取適法の運用基準に考え方が示されています。内示の段階の扱いは、契約書や覚書の取り決めを確認したうえで、取引先と話し合いましょう。判断に迷う時は、公正取引委員会の相談窓口を利用できます。 |
| Q.内示がいつも大きくズレる取引先には、どう対応すればいいですか? |
| まずは取引先・品番ごとのブレ率を3か月ほど記録してください。ブレの大きい品番は、材料だけを先に手配する「パターンB」に切り替えると、余る在庫を抑えやすくなります。記録したブレ率は、取引先と内示の精度について話し合う時の根拠資料にもなります。 |
| Q.内示とフォーキャストは同じ意味ですか? |
| 取引先によっては同じ意味で使われます。ただし、呼び方や意味は取引先ごとに違うことがあるため、「何か月先の、どの単位の数量か」を取引先ごとに確認しておくと安心です。 |
| Q.他社は、どのくらいの頻度で内示を受け取っていますか? |
| 取引先ごとに異なります。週1回EDIで届く取引先もあれば、月1回FAXで届く取引先もあり、対象期間の長さもさまざまです。自社の取引先ごとに、届く頻度・期間・単位を一覧にしておくと、管理のしかたを決めやすくなります。 |
| Q.内示の管理はExcelで十分ですか? |
| 取引先や品番がそれほど多くなければ、Excelで十分に始められます。大切なのは、内示を上書きせず版ごとに残すことと、確定数を同じ表に記録することです。品番が増えて転記や集計の手間が大きくなってきたら、その時点で管理の方法を見直しましょう。 |














