生産管理システムが決まったら?システム稼働までの道のり

著者:ものづくりコラム運営 生産管理システムが決まったら?システム稼働までの道のり
ものづくりコラム運営

ものづくりコラム運営チームです。
私たちは、ものづくりに関する情報をわかりやすく解説しています!
生産現場での課題解決や業務効率化のヒント、生産性向上にお役立ていただけることを目指し、情報発信していきます!

導入を“決定”から“成果”へ。プロジェクト担当者のための実務ガイド

生産管理システムの選定が終わった瞬間から、本当のプロジェクトが始まります。稼働までの進め方次第で、原価の見える化・負荷の平準化・情報の一元管理といった導入目的の達成度は大きく変わります。
本コラムでは、生産管理システムに限らず、あらゆる業務システム導入にも応用できる「稼働までの基本STEP」を、現場で使える形に整理しました。

1.稼働までの進め方が成果を左右する理由

なぜ“稼働までの設計”が成果を左右するのか

システム導入の成否は、設定作業の巧拙だけでなく「進め方」によって大きく左右されます。
導入目的が曖昧なまま検証を進めると、設定のやり直しや現場負担の増加、部門間の認識差といった手戻りが発生しやすくなります。
反対に、目的 → 稼働基準 → 実データによる検証の順で進めることで、判断の軸が明確になり、短期間で“使える状態”に到達できます。
本稿では、この原則に基づき、稼働までの道のりを9つのSTEPで整理します。

プロジェクト担当者が最初に担う3つの役割

導入を現場に定着させるために、プロジェクト担当者には次の3つの役割が求められます。

[1]目的をKPIに翻訳し、判断基準を固定する
「何ができれば成功か」を数値や条件で定義し、設定や運用の迷いをなくします。
[2]部門間の認識差を埋め、全社合意をつくる
営業・購買・製造・経理など、関係部署の前提や用語の違いを整理し、共通理解を形成します。
[3]検証の場を設計し、差異を潰していく
実データでの通し検証や並行稼働を計画的に行い、課題を可視化して確実に是正します。

これらを押さえることで、導入は“システムの設置”から“業務の改善”へと確実に前進します。次章から、具体的な9つのSTEPを見ていきましょう。

2.稼働までの基本STEP(全9段階)

ここからは、実務で迷わないための具体的な進め方を、時系列で確認していきます。各STEPでは「目的」「実務ポイント」「確認事項」を意識しながら進めてください。

STEP① 導入目的の明確化

目的が曖昧だと、設定の優先順位が定まらず“全部中途半端”になりがち。評価基準がないため、稼働後に「期待した効果が出ない」という認識ズレが発生します。部門ごとに別のゴールを追い始め、追加改修や運用の分断を招く恐れもあります。
また、今までの業務のやり方が変わることに不安を覚える社員も多いため、「なぜ、このシステムを導入するのか?」を明確にする必要があります。

【具体例】
・原価の即時把握
・負荷の見える化
・情報の一元管理(全部門で共通システムの利用)
・属人化の解消
・リードタイム短縮…など

【実践ポイント】
・目的は「測定可能な指標(KPI)」に変換
➡例:月次原価の確定を翌月10日→5日へ短縮
・期待効果は“現場の言葉”で共有(何がどう楽になるか)

📝チェックリスト
▢ 目的とKPIが文書化され、承認されている
▢ 優先順位(Must/Should)が明確

STEP② 稼働条件の定義

「何をもって稼働とするか」を先に決めることも重要です。稼働の定義が不明確だと、既存システムの切り離しが進まず二重運用が常態化します。結果として一部業務だけ旧運用のまま残り、データの分断や責任範囲の曖昧化、コスト増大につながります。切替判定の“合格基準”を先に固定することが重要です。

【具体例】
・受注~出荷~売上まで一連処理が完了
・主要帳票が出力可能
・〇月の売上データや仕入金額が既存システムと一致
・システム上の在庫数が棚卸数と一致

【実務ポイント】
・稼働判定の“合格基準”を数値・条件で定義
・全社共有(特に営業・購買・製造・経理)

📝チェックリスト
▢ 稼働判定の基準が文書化
▢ 例外対応(手入力・暫定運用)の範囲が合意

STEP③ 業務ヒアリング(現状把握)

現状フローの可視化なくして、適切な設定なし。
現状の例外処理や暗黙知を拾いきれないと、本番で“回らない原因”になります。特に手作業の補完や部門間の受け渡し条件を見落とすと、稼働直前の大幅な設定変更や運用回避が発生します。
システム選定時にも必要な現状把握ですが、改めて各部署の担当者にヒアリングし、見えていない業務がないか確認が必要です。
可能であれば、改めてシステムの運用フローを見つつ、見積や受注から出荷・売上までの流れに沿って、関係者にヒアリングすることをお勧めします。

【実務ポイント】
・部門横断で“実際の流れ”を洗い出す(理想ではなく現実)
・暗黙知(ベテランの判断基準)を明文化
・システム外の処理がないか確認

📝チェックリスト
▢  As-Is(現状)フロー図が完成
▢ 例外処理・属人作業が特定されている
▢ システム外の個人資料がないか確認
▢ 必要不可欠なデータ(帳票)や不要な業務が精査できている

STEP④ 操作練習&実データ投入

マスタ・帳票・入力粒度を“実データ”で検証。
サンプルデータだけの検証は危険です。実データ特有の桁数・品目構成・取引条件で帳票が崩れる、入力粒度が合わないなど、本番直前に不具合が顕在化します。実案件に近いデータでの検証が不可欠です。おすすめは、売上済みの過去の案件(製番)を使用した入力練習です。また、ある程度運用が固まれば、実務担当者へも展開し、入力内容に過不足がないか確認しておくと安心です。

【実務ポイント】
・サンプルではなく、実案件に近いデータを使用
・必要帳票(見積・指示・原価・進捗)の出力確認

📝チェックリスト
▢ マスタ設計(品目・工程・得意先等)が確定
▢ 入力ルール(誰が・いつ・どこまで)が合意
▢ 必要帳票の出力確認

STEP⑤ テスト稼働(実データで一連処理)

メイン担当者だけで回すと、部門間の受け渡しで止まります。実運用の関係者全員が触れないまま本番を迎えると、問い合わせが集中し、現場の不信感を招きます。通し運用+全員参加が前提です。考えられる案件のパターンごとに一通り入力検証を行いましょう。

【実務ポイント】
・メイン担当者だけでなく関係部署全員が操作
・ボトルネック(待ち・手戻り)を記録

📝チェックリスト
▢ 代表製番/案件で一連処理が完了
▢ 課題一覧(原因・対策・期限)が管理されている
▢ 部門間の連携やデータ共有が行えている(フローが途切れていないか)
▢ 実際の入力担当者(実務担当者)にて操作検証実施済み

STEP⑥ 並行稼働(1~2か月)

並行稼働とは、現状の業務(既存システム)と新しいシステムへの入力を同時に行う期間のことです。担当者への負担は大きいですが、実際に双方に入力したデータが一致するかを検証する大事なフェーズですので、必ず実施することをお勧めします。この時、並行期間を短縮しすぎると差異が見えません。また、入力ルールが曖昧なまま併走すると、どちらの数値が正か判断不能にもなります。期間・対象範囲・責任者を固定し、日次/週次で差異レビューを行いましょう。
※新しいシステムから時間チャージを見直すなど、条件次第ではデータが一致しない前提での並行稼働もあり得ます。STEP2の稼働条件を明確にし、何をクリアすれば並行稼働が成功するのか、基準を設けておくことが重要です。

【実務ポイント】
・入力タイミング・責任範囲を固定化
・現場負担を見越し、サポート窓口を明確に

📝チェックリスト
▢ 並行稼働の期間と対象範囲が明確
▢ 日次/週次の差異レビューを実施

STEP⑦ 並行稼働の結果確認

売上・仕入の一致だけで判断すると不十分です。原価や負荷など“経営判断に使う情報”が正しく蓄積されていなければ、見える化は機能しません。一致+活用可能性の両面で合格判定を行います。

【確認例】
✅売上・仕入の一致(請求書、仕入先ごとの仕入金額の合計など)
✅原価・負荷情報が適切に蓄積
✅主要帳票の再現性
✅在庫数と棚卸数の一致

📝チェックリスト
▢ 差異の是正が完了(なぜ一致しなかったのか原因まで把握している)
▢ STEP2で設けた稼働判定基準を満たしている

STEP⑧ 完全切り替え(本稼働)

切替後の問い合わせ増加を見越さないと、現場が旧運用へ逆戻りします。旧システムの参照・更新ルールを明確にし、支援体制とロールバック条件を事前に定義しておくことが、混乱の最小化につながります。ここでしっかりとアナウンスをしないと、気づかず旧システムへ入力を続けてしまうなど、思わぬ落とし穴があるため、注意が必要です。システムが難しいからと、こっそり昔のやり方(Excel管理)を残してしまう…なんてこともあるので、しっかりとコミュニケーションをとって切り替えを行いましょう。

【実務ポイント】
・切替直後の問い合わせ増加に備え、支援体制を強化
・旧システムの参照期間・凍結ルールを明示

📝チェックリスト
▢ 切替計画(役割・連絡網)が周知済み
▢ ロールバック条件(万一の戻し方)が定義
▢ 旧システムの参照期間を通知(データ移行を行わなかった場合)

STEP⑨ 稼働後フォロー(定着・高度化)

導入はゴールではなく、改善のスタートです。フォローがないと、入力遅延や独自運用が再発し“形だけ稼働”になります。定着指標(入力遅延率、帳票活用率など)を継続監視し、小さな改善を回し続けることで、初めて導入効果が定着します。

【実務ポイント】
・定着度の定期レビュー(KPIの追跡)
・次のテーマへ(在庫最適化、見積精度向上、工程負荷の平準化 など)

📝チェックリスト
▢ 定着指標(入力遅延率、帳票活用率など)を監視
▢ 改善バックログ(小さな改修の優先順位)を運用
▢ 事業部や部門ごとに定期的なヒアリングを実施

3.失敗を防ぐ3つの原則(他システム導入にも共通)

システムの種類が変わっても、導入を成功に導く基本は共通しています。以下の3つを“判断の軸”として固定しておくことで、手戻りや属人化を防ぎ、短期間で「使える状態」に到達できます。

①目的→基準→運用の順で決める

目的が先に定まらないと、どこまで作り込むか・何を優先するかの判断が揺れます。結果として設定のやり直しや、部門ごとの独自解釈が増え、運用が分断されます。

【実務で押さえるポイント】
・目的を測定可能なKPIに翻訳する(例:月次原価の確定日を短縮)
・次に稼働判定の基準を定義する(何ができれば稼働か)
・最後に運用ルール(誰が・いつ・どこまで入力)を固める

「何のために」「どこまでできればOKか」を先に固定すれば、運用は自然と整います。迷ったら目的と基準に立ち返る――これが最短ルートです。

② 現場全員が触る設計にする(“一部の人だけ運用”を避ける)

限られた担当者だけで回すと、部門間の受け渡しで止まり、問い合わせが集中します。現場が“自分事”として扱えないまま本番を迎えると、旧運用への逆戻りが起きやすくなります。何かやっている…という他人事にならないよう、ヒアリングや操作検証時の相談など、現場巻き込み型でプロジェクトを進めることをおすすめします。

【実務で押さえるポイント】
・テスト稼働は関係部署全員参加で実施する
・役割ごとの最小操作セットを定義し、短時間で触れられる形にする
・よくある操作を**手順化(1枚資料)**し、現場で参照できるようにする

システムは“使われて初めて価値になる”もの。全員が触れる設計こそが、定着と品質の両立を生みます。

③ テスト稼働や並行稼働で差異を潰す(早期に“使える状態”へ)

本番前に差異を見つけられないと、切替後に数値不一致や帳票不備が顕在化し、信頼を損ないます。並行稼働はリスクを前倒しで可視化するための期間です。

【実務で押さえるポイント】
並行期間、対象範囲、責任者を事前に固定する
日次/週次の差異レビューで原因と是正期限を管理する
一致確認は数値だけでなく、原価・負荷など活用情報の妥当性まで見る

差異は“早く・小さく”潰すほどコストは下がります。並行稼働は遠回りではなく、最短で安定稼働に到達するための近道です。

4.まとめ

システム導入の成否は、選定後の進め方で決まります。目的をKPIに落とし込み、稼働基準を先に定義し、現場横断で検証を重ねること。
この9つのSTEPを押さえれば、生産管理システムはもちろん、販売管理・在庫管理など他の業務システムでも、迷いの少ない稼働プロジェクトを実現できます。また、操作練習や懸賞の際には、「自社のやり方にシステムを合わせるのではなく、システムに合わせた業務の見直し」の考え方もカギになります。新しいシステムへの切り替え時には、一度現状をしっかりと洗い出し、新しい考え方で取り組むことを推奨します。

テクノアでは、「生産管理システム」を導入し、業務改善や意識改革に成功したユーザー様を訪問する「TECHS見学会」も開催しています!システム導入を検討する前に、ぜひご活用ください。


\\自社に合う生産管理システムは?導入前にご相談ください。//
まずは無料相談!

\\工場見学も!ユーザー様に訪問し実運用を体験!「TECHS見学会」開催中//

イベント開催スケジュールを見る

 

           

この記事をシェアする

TECHS-S NOA

記事カテゴリー

よく読まれている記事

お役立ち資料ランキング

記事カテゴリーCategory

全ての記事一覧