仕事が早い人は「保存の瞬間」に考えている──製造業のためのファイル&フォルダ整理思考法

著者:ものづくりコラム運営 仕事が早い人は「保存の瞬間」に考えている──製造業のためのファイル&フォルダ整理思考法
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ファイル整理で仕事が楽になるかどうかは、操作ではなく「保存するときにどう考えるか」で決まります。
仕事が早い人ほど、特別なツールや高度な操作を使っているわけではありません。ファイルを保存するほんの一瞬に、「あとで迷わないか」「他の人でも判断できるか」を考えているだけです。本コラムでは、製造業の現場でよく扱う図面や見積書を例にしながら、ファイル名とフォルダをどう考えると業務がスムーズになるのかという、ちょっとしたヒントを整理します。

1.よくある“惜しい”ファイル保存

自分には分かるが、他人には分からない

まずは、多くの職場で見かける「惜しい保存」を振り返ってみましょう。
どれもよくある話ですが、積み重なると探す時間が増えていきます。

例えば…
📃図面.pdf
📃見積書_最新版.xlsx
📃A12345.pdf

保存した直後は問題ありません。
しかし時間が経つと、「どの案件のものか」「どれが正しいのか」を確認する手間が発生します。
この“確認のひと手間”が、業務をじわじわと圧迫します。

そもそも、そのファイルが「どこにあるか」が分からない

ファイル名以前に、
「そもそも、そのファイルがどこに保存されているのか分からない」
という状態に心当たりはないでしょうか。

製造業の現場では、次のようなケースがよく見られます。

■各担当者のパソコンに“個人保存”されている
・自分のデスクトップ
・自分のマイドキュメント
・自分しか見ない前提のフォルダ

その場では早く仕事が進みますが、「担当者が不在」「急ぎで内容を確認したい」といった場面で、途端に探せなくなります。

■ファイル名を直しても、場所が分からない
・名前は分かりやすくした
・しかし保存場所が人ごとにバラバラ

これでは、探す時間はあまり減りません。

■共有フォルダで「見える化」されていない
ファイルは、「誰が持っているか」ではなく「誰でもたどり着けるか」が大切です。

個人保存を前提にせず、
共有のフォルダ📁に置くことで、初めてファイルは“業務の情報”になります。

2.整理の出発点は「どう探されるか」

人はフォルダ構成を覚えていないと考えよう

ファイル整理を考えるとき、最初に意識したいのは「探す側の視点」です。

探す側の視点として

・保存した正確な場所
・フォルダの階層

を、ほとんど覚えていません。

一方で覚えているのは、

🔎取引先名
🔎図面か見積かといった資料の種類
🔎だいたいの時期

つまり、フォルダで大きく絞り、ファイル名で判断するのが前提になります。

3.ファイル名は「判断できる情報」を入れる

ファイル名のポイントは「完璧よりも、迷わないこと」

ここで大切なのは、
「きれいな名前」よりも「判断できる名前」にすることです。

製造業の現場では、図面番号や品番が判断材料になる場面も多くあります。ただし、同じ番号でも内容が違うケースがあるのも事実です。

だからこそ、
・番号だけ
・最新という言葉だけ

に頼らず、人が見て判断できる情報を少し補うことがポイントになります。

製造業で使いやすいファイル名の考え方

💡ポイント:番号+αで迷いを減らす

ファイル名に入れる情報は、すべて完璧である必要はありません。
目安は、「これだけ見れば中身を開かなくても想像できるか」です。

考え方の例
✅取引先名
✅資料の種類(図面・見積など)
✅内容(品名)
✅必要に応じて番号や版数


📃A12345_○○工業_ブラケット図面_v3.pdf
📃2025-01_△△製作所_見積書_改定1.xlsx

番号はあくまで補助情報の一つ。
判断しやすさを優先するのがコツです。

情報は、すべてファイル名に詰め込まなくていい

ファイル名を分かりやすくしようとして、つい情報を入れすぎてしまうことがあります。

たとえば、
・取引先名
・図面番号
・内容(品名)
・日付
・版数

すべてを入れると、長くて読みにくいファイル名になりがちです。ここで考えたいのが、「どの情報をフォルダで管理し、どれをファイル名で持つか」です。

■フォルダで管理しやすい情報
・取引先名
・案件名、案件番号(製番)
・年度・期間
■ファイル名で判断したい情報
・図面番号・品番
・図面か見積かといった資料の種類
・内容(品名)
・版数、改訂

【長すぎないことも、立派な整理】
ファイル名は、
🔎一覧で見たとき
🔎検索結果に並んだとき
に、一瞬で判断できることが大切です。

情報を削るのは手抜きではなく、分かりやすさを優先した設計と言えます。

フォルダは「分類」、ファイル名は「説明」

フォルダを見れば「どこの何の案件か」は分かるため、ファイル名には最低限の判断材料だけを残す
この役割分担ができると、一覧表示でも迷いにくくなります。

・フォルダ:案件・取引先など大枠の分類
・ファイル名:中身を説明する役割

以下はあくまでも一例ですので、参考にご覧ください。

フォルダ構成の例:案件・取引先など大枠の分類
例① 2025年度
└ ○○工業
└2512-0001(案件番号)
例② 〇〇工業
└2025年度
ファイル名の例:中身を説明する役割
例① A12345_ブラケット_v3.pdf(図面番号+品名+版)
A12345_見積書_改定1.xlsx   (図面番号+書類名+版)
例② Z-A12345-001.pdf (子部品例:部品分類記号+親の図面番号+連番)
例③ Z123-0001_ブラケット.pdf(機種+連番+品名)

4.フォルダ整理は「8割」で十分

完璧を目指さない

「ルールを決めると続かない」という声もよく聞きます。その場合は、頑張らない前提で考えることが大切です。

💡階層は深くしすぎない
💡迷ったら「どう探されるか」で判断
💡全員が同じ完璧さを求めなくていい

判断基準が共有されていれば、それで十分です。

整理は立派な業務改善!小さな工夫が、仕事の余裕を生む

ファイル名とフォルダの考え方を少し変えるだけで、

📌探す時間が減る
📌確認のやり取りが減る
📌引き継ぎが楽になる

といった変化が生まれます。

特別なツールも、大きな改革も必要ありません。保存の瞬間のひと工夫が、日々の業務を支えます。

5.まとめ

ファイル整理は、几帳面さや個人の努力の話ではありません。
「次に誰が、どう使うか」を考える業務設計の一部です。まずは次に保存する1ファイルから、少しだけ意識を変えてみてください。

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