明日から始める生産管理改善ステップ個別受注生産のお悩みを解決する8つのポイント

CHAPTER6

個別受注で機械や装置を製造する企業にとって、生産管理の改善は避けて通れない課題です。

今まで行ってきた業務も、標準化や効率化を図るためにやり方を変える必要も出てきます。そこで、一つのプロジェクトとして全社で取り組み、生産管理の改善を成功へ導くためのステップをご紹介します。これらのステップを踏むことで、現場の効率化や納期遵守、品質向上につなげることができます。

現状分析と課題の洗い出し

効果的な生産管理の方法やシステムを構築するためには、まず現状を正確に把握し、問題点を明確にする必要があります。この過程は、改善の第一歩として非常に重要です。 現状分析を行う際は、以下のステップを踏むことをおすすめします。

STEP1:データ収集

まずは、自社や他部門の現状を知るために様々なデータを集める必要があります。現行システムやExcelで作成している管理帳票、作業指示書といった紙データなど様々な情報を集めます。

例)
  • 部門や業務ごとに作成しているExcelデータ(受注情報や売上一覧など)
  • 生産工程、納期、品質、コストなどに関する情報
  • 運用フロー(業務フロー)
  • 工程会議や経営資料として必要な管理資料など

STEP2:業務や工程の可視化

次に、工程フローチャートや業務フローを作成し、各工程の所要時間や担当者を明確にします。作成には、部門を跨いで関係者を参加させることで、より正確で詳細な情報を盛り込むことができます。また、工程間の待ち時間や移動時間なども明記すると、より実態に即した可視化が可能になります。

STEP3:ボトルネックの特定

次に、生産の遅延や品質問題などの課題が発生しやすい箇所を見つけます。ボトルネックの特定には、統計的手法や制約理論(TOC)などの分析ツールを活用すると効果的です。また、ボトルネックは改善の余地がある、見過ごせない部分です。特定されたボトルネックについて、その原因や影響の大きさを定量的に評価することも重要です。

STEP4:従業員へのヒアリング

また、現場の声を聞き、日々の業務で感じている課題を拾い上げることも大切です。ヒアリングは、管理職だけでなく現場作業員まで幅広く行い、匿名性を確保することで率直な意見を集めやすくなります。また、単に問題点を聞くだけでなく、改善案についても積極的に意見を求めることで、従業員の参画意識を高めることができます。

改善計画の立案と実行

現状分析で明らかになった課題に基づき、具体的な改善計画を立案し実行することが次のステップです。個別受注の機械装置製造業では、生産の効率化と品質向上が特に重要となります。実現を意識できる、より具体的な改善計画を立案するために、次のポイントを基に作成しましょう。

  • 優先順位の設定
    影響度と実現の可能性を考慮し、取り組むべき課題の順序を決定
  • 目標の明確化
    各課題に対して、具体的で測定可能な目標を設定
  • 実施手順の詳細化
    誰が、いつまでに、何をするか等「納期」や「担当者」を明確化
  • リソースの配分
    必要な人員、設備、予算の割り当て
  • リスク管理
    想定されるリスクとその対策に関する事前検討

改善計画の実行にあたっては、生産管理システムの導入や既存システムの改善が有効です。例えば、個別受注に対応したMRP(資材所要量計画)システムの導入や、IoTを活用した生産設備のモニタリングなどが考えられます。

また、従業員の理解と協力を得ることも重要です。改善の目的や期待される効果を明確に説明し、必要に応じてトレーニングを実施することで、スムーズな実行が可能となります。

継続的な見直しと改善サイクルの構築

個別受注生産に限らず、生産管理改善は、一度の取り組みで完結するものではありません。市場のニーズや新技術の登場といった変化に対応するため、継続的な見直しと改善が不可欠です。そこで、PDCAサイクルなどを活用し、継続的改善の実現をより効果的に行うことができます。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを定期的に回すことで、生産管理システムを常に最適な状態に保つことができるのです。

PDCAサイクルのイメージ

  • Plan(計画)
    現状分析に基づいて改善計画を立案
    例:
    • プロジェクトメンバーによる現状把握と課題の特定
    • 目標を数値化し、成果目標と行動目標を立てる
  • Do(実行)
    計画に沿って改善策を実施
    例:KPI(重要業績評価指標)の設定と監視
  • Check(評価)
    改善効果の測定、目標達成度を確認
    例:
    • プロジェクトメンバーによる定期的なレビュー会議の開催
    • 改善提案制度の導入
  • Act(改善)
    評価結果に基づいた、改善策を検討
    例:他社(先進企業)の成功事例を学ぶ

このように、継続的な改善サイクルを通じて、個別受注の機械装置製造業の生産管理は、より効率的で柔軟な体制へと進化していきます。そのためにも、生産管理の第一歩はシステム化による現状把握が重要です。最近では、生産管理システムのデータを活用し、AIによる予測分析や最適化を行うことで、より高度な改善サイクルを構築することも可能になっています。自社が目指すべき姿や目標を明確にし、まずは身近なところから改善してみましょう。

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