クラウド型生産管理システム|製造業向けの選び方や導入時のポイント

著者:ものづくりコラム運営 クラウド型生産管理システム|製造業向けの選び方や導入時のポイント

クラウド型生産管理システムとは、ベンダー側が用意したサーバーにインターネットを通じてアクセスし、利用できるSaaSの生産管理パッケージを指します。生産管理システムとは、製造業や加工業の根幹にかかわる「生産管理」における課題解決や、業務の効率化を実現するために欠かせないシステムの一つです。クラウド型生産管理システムで生産活動に必要な情報を工場で一元管理できれば、コスト削減や負荷軽減など多くのメリットを得られます。一方で、クラウド型のシステムを導入することによるデメリットも存在します。

本記事では、中小製造業がクラウド型生産管理システムを導入するメリットやデメリット、押さえておくべきポイント、おすすめの生産管理システムについてわかりやすく解説します。クラウド型生産管理システムの導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

1.クラウド型生産管理システムのメリット

はじめに、クラウド型生産管理システムを導入することで期待できる代表的な5つのメリットについて解説します。

導入コストやランニングコストを抑えやすい

1つ目のメリットは、導入コストやランニングコストを抑えやすい点です。システム利用の主な価格はライセンス単位の月額料金のみとなり、オンプレミス型と比べると特に初期費用が安価となりやすい傾向があります。バージョンアップやシステム障害の対応はベンダー側に任せられることから、システムの開発費用やメンテナンス費用も不要です。また、中堅企業向けのERPの生産管理機能を使う方法は、機能が増えると高価になりやすく、中小企業向けにはクラウド型生産管理システムが適しています。

運用負荷の軽減が期待できる

2つ目のメリットは、運用負荷の軽減が期待できる点です。運用をサービスの提供事業者に任せられることから、サーバー管理やメンテナンスのための手間が少なくなります。利用者やシステム担当者にノウハウがなくても、必然的に負担を軽減しやすくなるといえるでしょう。MRP(資材所要量計画)やEDIなどの搭載機能の利用もクラウドサービスによって使いやすくなります。

データ共有がスムーズになりやすい

3つ目のメリットは、データの共有がスムーズになりやすい点です。ネットワーク環境さえ整っていれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末から、1つのサーバーにアクセスしてコンテンツの追加やファイルの共有が可能となります。また、サービスによっては同時アクセスや同時編集も実現するため、リードタイムの短縮にもつながる可能性があります。

導入後すぐに利用を始められる

4つ目のメリットは、導入後すぐに利用を始められる点です。クラウド型生産管理システムではサーバーの手配や準備期間などが短縮されるため、データ入力や照会画面の参照、データ分析などの利用までの時間が大幅に短くなります。システムによっては操作指導などの教育期間が生じる場合もありますが、販売管理システムや在庫管理システムなどの機能もパッケージソフトに含まれているため、気軽に導入しやすいのも特徴です。

必要な機能をカスタマイズできるケースがある

5つ目のメリットは、必要な機能をカスタマイズできるケースがある点です。製品によっては、個々の機能を組み合わせて自社の生産形態に応じてカスタマイズできる場合があります。例えば、生産管理システムと会計ソフトの組み合わせなどです。自作もしくはオーダーメイドでシステムの組立を行う場合、機能についてもカスタマイズしやすくなります。カスタマイズ可能な生産管理システムは、生産方式や生産体制などが変更となった場合であっても、柔軟に対応しやすいといったメリットも挙げられます。また、AIや多言語化などの最新の技術にカスタマイズできるケースもあります。

2.クラウド型生産管理システムのデメリット

次に、クラウド型生産管理システムを利用する際の代表的なデメリット2つを解説します。

買い切り型のほうが安く済むことがある

1つ目のデメリットは、買い切り型のシステムのほうが安く済む場合がある点です。比較的安価なサブスクリプションモデルのクラウド型システムであっても、利用条件によっては買い切り型のほうが安く済む場合があります。具体的には、利用規模が大きい場合やライセンス数が大きい場合、利用期間が長期にわたる場合などです。ライセンス数によって月額利用料に違いがある場合もあるため、社内での利用範囲などを確認した上でシステム検討が必要です。

自社内でセキュリティ管理ができない

2つ目のデメリットは、自社内でセキュリティ管理ができない点です。これは、セキュリティ管理の運用の一部をサービスの提供事業者に頼ることになるためです。万一ベンダー側のシステムに不正アクセスがあった場合に、自社の情報漏えいにもつながるリスクがあるため、こちらも注意しなければなりません。対策として、導入前にはセキュリティに関する機能や体制を十分にチェックしておく必要があるといえるでしょう。

3.クラウド型生産管理システムを選ぶときに確認すること

ここからは、クラウド型生産管理システムの選び方について押さえておくべき3つのポイントについて解説します。

自社の生産方式に適したシステムを選ぶ

1つ目のポイントは、自社の生産形態に適したシステムを選定する必要がある点です。システムによって対応できる生産方式が異なることから、資材調達や出荷管理など自社がシステムを使用する際の用途・目的をあらかじめ整理して導入を進める必要があります。
製造業にはさまざまな生産方式があります。具体的には、見込み生産や個別受注生産、多品種少量生産などです。例えば、製造ロットの少ない多品種少量型で部品を製造している場合には、受注から生産、売上までを一元管理でき、かつ複雑になりやすいデータをリアルタイムに見える化できるシステムが適しているといえます。

対応可能な業務範囲を確認する

2つ目は、システムで対応可能な業務範囲を確認しておく必要がある点です。システムによっては、受注情報や発注情報の管理、生産計画、実績管理、在庫管理などの販売管理に優れているシステムなど、得意とする領域があります。したがって、自社の基幹業務や課題、業種に応じて、必要な機能がオプションに含まれているかをチェックするようにしましょう。例えば、工程管理、原価管理、資材管理、購買管理、受注管理、進捗管理、品質管理、出荷管理などの管理機能です。同時に、既存の自社システムとの連携をサポートしているか確認することも重要です。

セキュリティ対策を検討する

3つ目は、クラウド型生産管理システムを用いる際のセキュリティ対策の確認です。ベンダー側のシステムの設計により、セキュリティ対策の強度は異なるため、不正アクセスやデータ漏えいなどを防ぐ方法があるか確認しましょう。データの修復履歴を確認できるログ機能やアクセス権限機能は必須機能です。システムの活用だけでなく、必要に応じて自社の業務フローも見直せばセキュリティ強度を高めることもできます。

4.クラウド型生産管理システムを導入するときのポイント

次に、クラウド型生産管理システムを導入するときのポイントについて解説します。ポイントは、クラウド生産管理システムを「段階的に導入する」ことです。

はじめから全社導入に踏み切ると、担当部署の業務内容や利用者の作業スキルなどにより、導入時の混乱が起きやすくなります。よくあるのが、システム導入による作業手順の変更やデータ連携のトラブルなどです。混乱を軽減するためにも、まずは特定の部署で段階的に導入可能か検討を進めます。そして、効果検証をしながら導入範囲を広げていくと安心です。例えば、自社内の工程管理から使い始めて、仕入れ先や外注先の発注管理、次にクライアントの受注管理や顧客管理などに適用範囲を徐々に広げるといったやり方があります。段階的な導入は、クラウド型から買い切り型へ移行する選択肢を残すことにもつながります。
クラウド型生産管理システムの費用対効果が、予想より低くなる場合もあるためです。

5.テクノアがおすすめするクラウド型生産管理システムは?

ここからは、おすすめのクラウド型生産管理システム「TECHS-S NOA(テックス・エス ノア)」をご紹介します。業務プロセスや稼働状況の見える化、最適化にぴったりな生産管理システムです。

「TECHS-S NOA(テックス・エス ノア)」

TECHS-S NOAは、中小製造業向けに特化したクラウド型生産管理システムです。クラウド環境での即時利用が可能なので、導入に時間をかけることなくサービスを開始できます。また、サブスクリプションモデルの料金設定であるため、初期コストを抑えることが可能です。

生産管理システムとして、次のような機能や特徴があります。

● 部品マスタなどの事前登録なしで運用可能
●CADやExcelから部品表データを取り込める
●転記作業の事務工数を削減
●仕掛中の原価と完成時予測原価をリアルタイムに見積もり
●ユーザーが利用できるデータ抽出&帳票レイアウトツール(EUC Tool)を標準装備
●Webブラウザ対応で操作が簡単、複数の画面を並べて表示も可能

中小製造業のIT化に特化した、シンプルな使いやすさと導入の手軽さを兼ね備えたクラウド型生産管理システムがTECHS-S NOAです。

参考:https://www.techs-s.com/product/techs-s-noa

6.クラウド型生産管理システムの導入が成功した後に検討したいシステムは?

生産管理システムで業務の標準化や効率化が図れたら、次は工場業務の見える化と負荷管理を行うのがおすすめです。ここでは生産スケジューラ「Seiruy」、AIで工場の見える化を実現する「A-Eyeカメラ」、見積業務の標準化をサポートする「AI類似図面検索」の3つを紹介します。

生産スケジューラ「Seiruy」

Seiryuは、中小企業の現場を「見える化」「最適化」「整流化」できる生産スケジューラです。Excelなどに頼りがちな生産計画をサポートします。

生産スケジューラとして、次のような機能・特徴があります。

●特急品や急な予定変更でのスケジュール調整に対応
●任意で設定した条件で生産計画立案
●機械の負荷状況を判断して、機械の自動割り当てが可能
●販売管理システム、生産管理システム等と連携可能
●機械別、製番別など、表示パターンを任意に複数設定

Seiryuは全工程のスケジュールを一括して策定するため、スケジュール担当者の経験が浅くても、統一した基準での計画策定を実現できます。

参考:https://www.techs-s.com/product/seiryu

AIで工場の見える化をサポートする「A-Eyeカメラ」

工場の見える化を進めるIoTシステムは、AIで稼働監視を実現する「A-Eyeカメラ」がおすすめです。ネットワークカメラの映像をAIが解析。製造現場の稼働状況はグラフで確認・分析できます。

工場の見える化を進めるIoTシステムとして、次のような機能・特徴があります。

●積層信号灯の点灯状態の判別
●CNC操作盤などの画面上の情報の読み取り
●人の滞在状況などの物理的変化も判別可能
●最大5m離れた対象物の判別が可能
●高性能AIを搭載したカメラ『i-PRO mini』との連携

収集したデータは稼働率の推移や傾向の把握、改善効果のチェックなどに活用することで工場の見える化を実現します。

参考:https://www.techs-s.com/product/a-eye-camera

属人化しやすい見積業務の標準化をサポート「AI類似図面検索」

「AI類似画面検索」は、AIが瞬時に過去のCAD図面を検索し、表示するツールです。見積業務の属人化や図面管理に課題のある現場におすすします。

図面検索として、次のような機能があります。

●AIが「検索対象の形状」を自動選択し、類似度を色と数値で直感的に表示
●図面データはdxf, pdf, png, tiff, bmp, jpgに対応
●過去の製品の材料費・加工費を参照し、見積時に有効活用
●OCR技術で文字情報を付帯情報として取り込み
●クラウド管理で高性能なサーバーや高価な機器類が不要

過去の類似図面を参照することで、見積もりや設計の精度向上と大幅な時間短縮を実現します。製造時の注意点や加工手順、使用工具などの情報も共有できるため、業務の標準化にもつながります。

参考:https://www.techs-s.com/product/ai-ruiji

7.クラウド型生産管理システムを賢く使って生産性向上・業務効率化を図りましょう

今後、IT化がますます発展していくことによって、クラウドベースのシステム導入はさらなる増加が予測されます。変化の多い昨今、コストを抑えながら柔軟に対応できるクラウド型の生産管理システムは、中小企業にとって非常に有用なソリューションになるのではないでしょうか。導入にあたってはデメリットもあります。注意点をしっかりと押さえながら製造現場の担当者も含めて入念な検討を進めてください。また、自社に適した生産管理システムを導入する際は、本記事でおすすめのクラウド型生産管理システムや生産スケジューラについてもぜひ検討してみてください。

この記事をシェアする

TECHS-S NOA

記事カテゴリー

よく読まれている記事

           

お役だち資料ランキング

記事カテゴリーCategory

全ての記事一覧