原価の見せ方を工夫して現場の士気を高揚!赤字製品を一気に黒字化へ
株式会社大東 様株式会社大東様は、兵庫県姫路市に拠点を置く産業機械部品の切削加工を専門とする社員21名の企業です。大型部品に特化した柔軟な対応力を武器に、お客様に喜びを届けることを大切にされています。
【今回お話を伺った方】
代表取締役 髙橋 廉也 様(写真中央)
専務取締役 髙橋 彌依 様(写真右)
業務管理部 宮下 臣依 様(写真左)
商 号 | 株式会社大東 |
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所在地 | 兵庫県姫路市 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 21名 |
事業内容 | 金属切削加工 |
ホームページ | https://www.daito8.com/ |
アナログ体制からの脱却
TECHS-BK導入以前は、社長と専務の2人で受注から納品書発行までをExcel管理、請求書は紙伝票を使用するアナログ体制でした。社内管理システムの導入では、他社システムも検討しましたが、使い勝手が悪く高額なカスタマイズ費用が必要でした。TECHS-BKは小規模な組織でもすぐに使え、自社業態に合った機能が標準装備されていたことが決め手となりました。
業務効率の劇的改善
TECHS-BK導入により、受注から請求書発行まで各業務が一元化され、初の事務員雇用も実現しました。曖昧だった在庫のシステム化、作業指示書の発行機能、現場向けに帳票を編集できる機能が業務改善に貢献しました。
TECHS-BKから作業指示書を発行
原価管理への挑戦
髙橋社長は以前から原価管理への取り組みを検討されていましたが、一点物が多く、図面や仕様が異なる製品を工程ごとに分かれた機械で加工するため、正確な工数集計は困難と考えていました。しかし、テクノアからIT経営コンサルティングの提案を受け、本当に自社でも原価管理が可能なのかを確かめるため、挑戦することを決意されました。
IT経営コンサルティングによる土台づくり
まず財務分析で自社の数字を明確化し、決算書から現場社員と機械の時間チャージ(時間単価)を算出する手法を習得したことで、勘に頼っていた単価設定に根拠ある数字を導入できました。夜間に機械を無人運転する時間については「機械チャージ」という単価を追加し、人件費込みの時間チャージと分けることで、より正確な原価計算が可能になりました。
自社の費用で時間チャージを計算し、TECHSに反映
現場への浸透
IT経営コンサルティング実施以前は、作業時間を詳細に報告する社内ルールがありませんでした。そこで管理側は、現場社員の負担を最小限に抑えることを重視し、作業中でも簡単に数字を書き込める日報のレイアウトを整備したうえで、日報管理を開始しました。さらに、社長自らが『正確な原価を出すためには日報が必要だ』と目的を明確に示したことで、管理側の本気度が現場にも伝わり、協力体制を得ることができました。
改良を重ねた作業日報
データが示した事実
製品ごとの原価の見える化により、見立て通りに利益が出ている製品と赤字製品が明確になりました。現場のモチベーションが下がらないよう、赤字製品の伝え方に最も苦心した、と髙橋社長は振り返ります。まずは製造の主任2名に原価表を見せると「これはまずいですね」と危機感を持ち、プログラム変更や工具選定などの改善に主体的に取り組んでくれました。他の社員には「利益を出すために本来は15時間で作業してほしいが現在は22時間かかっている。あと7時間減らしてほしい」と作業時間で具体的に伝わるように工夫して説明しています。事務員の発案により「チャレンジ工具」という生産性向上への投資額の集計も開始しました。生産性アップの見込みがあれば、新しい工具を買う「チャレンジ」ができる、その結果を原価で検証する改善サイクルが確立されました。
社員の数字意識が変わったこと、改善目標を数字で示すこと、チャレンジしやすい環境になったことで、作業時間が10時間短縮した製品、リードタイムが4日半から3日に短縮できたことで赤字から一気に黒字化できた製品などの改善効果が出るようになりました。
原価率ごとに社内評価を明確化
今後の展望
生産性向上の成果に対して社員は「会社が儲かるだけ」と捉えがちであるため、賞与などで社員に還元し、「物心両面で社員に幸せになってほしい」という想いを実践されています。大東様では今後も少人数体制を維持しながら技術力を上げ、利益率の高い技術者集団として、社員も家族も自慢できる会社を目指されています。なかば諦めていた原価管理に取り組み、現場の意識改革と具体的な生産性向上を実現された大東様のさらなる発展のため、今後もテクノアは寄り添ってまいります。