製品毎の原価データを活用した価格改定で、売上高130%、営業利益160%を実現!

株式会社 日英カーボン製作所 様

株式会社 日英カーボン製作所様は、カーボン・グラファイトを使用した機械用部品を製造されている企業です。短納期や小ロットへの対応と、長年培ってきた技術力を活かしたものづくりを強みとしています。
生産管理システム『TECHS-BK』に加え、蓄積されたデータを活用した経営改善をするために『IT経営コンサルティング』も導入されました。

【今回お話を伺った方】
代表取締役 泉 忠幸 様
製造部 生産課 課長 荒巻 博行 様
製造部 西内 聡希 様


           
株式会社 日英カーボン製作所
CLIENT PROFILE
商 号株式会社 日英カーボン製作所
所在地兵庫県尼崎市
設 立1974年2月
事業内容カーボン・グラファイトを使用した機械用部品の製造、販売
ホームページhttps://nichieicarbon.com/

短納期と小ロット対応

泉社長:当社の強みは、小さな会社ならではの短納期と小ロット対応です。競合他社は自社でカーボン素材を製造し、系列下請けで加工して、営業所や特約店で販売する方法をとっています。一方、当社ではカーボン製の素材を常時在庫し、営業部門と製造部門が密接に連携しているため、短納期にも柔軟に対応できる体制を整えています。他社では6〜8ヶ月かかる案件を、当社では1ヶ月で対応できた事例もあります。

『TECHS-BK』を導入し、更なる改善の余地に気づく

泉社長:以前は紙の注文書に頼り、担当者任せのアナログ管理を行っていましたが、『TECHS-BK』を導入したことで在庫や納期の管理が大幅に効率化しました。さらに、作業時間や原価データの蓄積を活用し、利益率を分析して仕事を取捨選択することで、社員の労働時間短縮や有給休暇の取得促進といった、働き方改革の推進を検討していました。
また、新規事業への挑戦も考えている中で、事業の成功確率を高めるためにも、データの利活用が必要と感じていました。『IT経営コンサルティング』を受けていなかったら、『TECHS-BK』のデータを活用したいという思いを抱えながら、日々の業務に追われて、現状の管理方法を変えられなかったかもしれません。

財務分析と現状ヒアリングから抽出した課題(赤枠が優先事項)

データ活用による経営改善

『IT経営コンサルティング』では、泉社長に加え、幹部社員2名もメンバーとして参加しました。
テクノアの中小企業診断士が過去5期分の決算書の財務分析を行い、最初に注目すべき課題としてあげられたのが「材料費率の高さ」でした。また、素材不良による利益の損失金額も懸念されました。

泉社長:
売上は月ごとの合計金額のみで管理していたのですが、顧客ごとの利益率を把握できていなかったので、顧客を装置メーカーと修理会社に分けて売上と利益を分析しました。時間チャージを見直したことで、原価をより正確に把握でき、利益率・原価率を改善できるようになりました。

また、月ごとの不良金額を数値化したことで、素材不良が原価に大きく影響することが分かり、現場の社員にもこれだけ不良が出ていると目で分かるように不良箱の設置を始めるきっかけになりました。
 

設置した不良箱

今まではこの仕事は何となく利益が出ているなとか、これは赤字じゃないかなという感覚で決めていたのですが、はっきり数値で確認できるようになりました。小ロットの方が量産品より利益が取れると思っていたのですが、実際は利益額が量産品の方が大きいことが明確になり、今までの自分の考えと異なる結果も得られました。

『TECHSーBK』の目標原価率設定、月次原価会議の開催、不良金額の数値化などの取り組みにより、経営判断の精度が大幅に向上しました。また、新たな洞察を基に、会社の方向性の調整を実施しました。

戦略を調整し利益重視の経営へ

泉社長:顧客ごとの受注金額と製品ごとの利益額を組み合わせることで、個々の製品への対応と、顧客自体の取り組みという2つの視点で営業戦略を考えられるようになったことも大きい変化です。

現在は利益がある製品を伸ばすための設備投資を実行しています。製品の個別原価を見ることで、材料費や社内加工費は適正だけど、想定より利益が低い場合は、根拠を持って顧客に価格改定をお願いできるようになりました。2022年度の業績は、その前の期と比べると、売上高で130%、営業利益率で160%伸びる結果となりました。競合他社の動向による影響もありますが、製品価格の見直しや、見積に対する実際の結果分析など、自社での取り組みも大きく貢献しました。

社内の意識改革と連携強化

荒巻課長:稼働率だけでなく、実際には不良品の削減など、そういった取り組みが最終的には効率向上につながることが分かり、社員の意識が変わってきました。

今までは、現場は現場、営業は営業という形で、ちょっとバラバラだったような感覚だったのですが、原価会議を行うようになって、営業サイドが価格に対してどう考えているのかを知れるようになったので、現場と営業がつながったというような感覚があります。
 

原価会議の様子

西内様:不良が発生した先月の原価会議で、これは全社で共有した方が良いということで全社員を集めました。そこで、このような不良があったので、こういう作り方はしないように、と現場改善の取り組みを進めています。全社的な情報共有の重要性も認識されるようになりました。

継続的な改善と新規事業への挑戦

泉社長:現在もう一つの事業の柱として、半導体向けのカーボン製品に取り組んでいます。目標を明確にして、適切な戦略やプロセス、価格設定などアドバイスをいただき、成功確率を高めたいです。より良い会社にしたいため、社員の評価方法や利益の還元の仕方にも興味があります。『TECHS-BK』を超えた幅広い経営課題の支援をテクノアに期待しております。

株式会社 日英カーボン製作所様の支援を通して

自社の強みを活かしつつ、生産管理システムのデータ活用によって経営の質を向上させた株式会社 日英カーボン製作所様の取り組みは、多くの中小企業経営者にとって大きな示唆を与えるものです。データに基づいた経営判断、部門間の連携強化、社員の意識改革など、様々な面で改善が見られました。
支援を通し、規模の大小に関わらず、データ活用と外部専門家の支援が企業の成長に大きく寄与することを実感しました。
今後も、新たな事業展開や人材育成など、更なる成長に向けた取り組みが期待されます。泉社長の挑戦は、中小企業様が持つ機動力と、データに基づいた戦略立案の組み合わせが、今後の日本の製造業様の競争力向上に大きく寄与する可能性があることを指し示しているのではないでしょうか。

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