手書きや転記の廃止で工数削減、業務品質・信頼向上
株式会社木幡計器製作所 様「安心」「安全」「信頼」の圧力計測技術
株式会社木幡計器製作所様は、1909年(明治42年)に大阪市西区で創業されました。当時は輸入に頼っていたブルドン管(圧力計や温度計に用いられる管)の製作に成功されて以来、100有余年もの間、計測器や測定器を製造し続けられている老舗です。「安心」「安全」「信頼」を可視提供し、社会課題の解決や新しい価値の創出をされています。
製品は、1個からの完全受注生産で、創業当初から製法は変えず、伝統工芸のような手作業で一貫して丁寧なものづくりを続けられています。
さらに、近年では、圧力計測技術を応用した独自技術の開発にも積極的に取り組まれ、呼吸筋力測定器などの医療機器開発や、後付けIoTセンサユニットなど、IoT関連機器開発にも活躍の場を広げられています。
【今回お話を伺った方】
代表取締役 木幡巌様
商 号 | 株式会社木幡計器製作所 |
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所在地 | 大阪府 |
設 立 | 1909年1月 |
資本金 | 2,500万円 |
事業内容 | 圧力計、差圧計、液面計、温度計、圧力・差圧・液面・温度各スイッチ、電気接点付圧力計、電子式圧力発信器、圧力試験器(基準重錘型圧力計、基準液柱型圧力計)、計装用機 |
ホームページ | https://kobata.co.jp/ |
コストパフォーマンスの良さと柔軟性が導入の決め手に
木幡社長:「以前はAccessをベースとした手組みの販売管理システムを使用していました。しかし、多品種少量生産の当社は、製品や部品の点数が多く、データ量の増加につれてシステムの動作が年々遅くなり、不具合も増えていました。さらに、Accessの製品サポート終了や、システムを開発した企業の廃業などで、サポートが全く受けられなくなってしまい、システム刷新が喫緊の課題でした。
そんな折に、TECHS-BK(以下、TECHS)を知りました。多品種少量生産に特化したパッケージシステムで、比較的安価に導入できることや、カスタマイズもできる柔軟性に魅力を感じ、導入を決意しました。」
手書き廃止と業務効率化で月48時間の工数を削減
木幡社長:「当社の製品は、耐用年数が30年にも及ぶ船舶向けが多く、品質管理やロットトレースが非常に重要です。以前は、その管理を全て手書きで行っていましたが、TECHSの導入で、製番と検査成績表の紐づけや不良情報、ロットトレースなどが楽に管理できるようになりました。
また、製作指示書に手書きしていた主要部品のロット記録や工程チェック票も、TECHSから簡単に入出力できるようになりました。中でもリピート品は、製品の品番を入力するだけで、TECHSに登録してある構成部品や工程情報が自動展開されるため、大変効率がよくなりました。
さらに、伝票設計オプションやEUCToolを使った、オリジナルの帳票を活用しています。帳票に二次元バーコードを印字し、読み取れるようにしたことで、データの入力や検索等、製造以外の付帯業務時間を短縮できました。
これらの手書き廃止や業務の効率化が、月48時間の工数削減につながり、全社的に残業時間も減りました。」
進捗確認工数を月15時間削減入荷予定の把握で納期遅れを防止
木幡社長:「TECHSで、リアルタイムの進捗状況を確認できるようになったことで、事務所にいながら納期回答が可能になりました。これにより、現場まで進捗を確認しにいく必要が殆どなくなり、進捗確認や納期回答の工数を月15時間削減できました。それに加え、お客様からのお問合せにすぐに回答できるようになったことで、信頼も高まりました。」
製品ラベルを現場で直接印刷手待ち時間やミスを削減
木幡社長:「製品の梱包時に貼り付けるラベルも、現場で直接印刷できるようになりました。以前は、現場から事務所にラベル発行を依頼し、発行されたラベルを受け取って貼り付けていました。依頼の手間や手待ち時間、事務所でのラベル作成の工数が削減できただけでなく、複数人が関わることで生じていた人為的なミスも減りました。」
システム化で月30時間の検査工数削減お客様からの信頼も向上
木幡社長:「他にも、検査成績の管理業務が改善しました。
今までは、手書きの検査結果のデータを転記して、検査成績書を作成していました。それを、TECHSをカスタマイズし、タッチパネルで検査結果を入力すると、自動で合否判定を行い、検査成績書が発行できるようにしました。
さらに圧力計の検査では、目盛りの指針の相対位置を数値入力するだけで、圧力計ごとの圧力読み値に自動変換する機能を設けたことにより、熟練者以外でも検査ができるようになりました。
これらの自動化により、月30時間の検査関連工数の削減に加え、合否基準との照合ミスや転記間違いといった人為的ミスもなくすことができました。
TECHS導入による転記工数の削減や業務の効率化は、業務品質を向上させ、結果、お客様からの信頼向上につながりました。数字には表れませんが、これはとても大きな効果だと感じています。」
今後の展望
木幡社長:「このように、すでに多くの改善効果を実感していますが、当社はTECHSの導入から日が浅く、まだまだ使いきれていない機能があります。
今後は、工程負荷確認の機能を活用して現場の負荷を平準化しつつ、より計画的で効率的な生産計画を立てられるようにしたいです。
また、蓄積されたデータをもとに、見積金額や購買などを見直し、利益率の向上につなげ、さらに担当者ごとの作業実績を人事評価に結び付けていきたいと考えています。これからさらにTECHSを活用し、より良い製造環境を整えていきます。」