DXによるペーパーレス化で、社員のモチベーションが向上
株式会社日新ダイヤモンド 様DX推進とユニークな福利厚生制度の展開で、社員満足度が向上
株式会社日新ダイヤモンド様は、滋賀県高島市で1968年に設立され、ダイヤモンド切削工具の製造・販売を手掛ける企業です。2020年に就任した神谷社長のもと、デジタルトランスフォーメーション(DX)とペーパーレス化を推進されています。さらに、「魅せる工場」の構築やユニークな福利厚生制度(コミュニケーション支援補助、自由服装選択、通信大学進学支援、資格取得奨励金)も展開し、社員満足度向上にも努められています。
製品は自動車、電機業界をはじめ、液晶、通信、光学、医療など多岐にわたる分野で使用され、様々な製品の製造に貢献しています。
2023年10月には「N-BRAND」シリーズを発売し、世界初の単結晶ダイヤモンド工具の標準化に挑戦しています。
【今回お話を伺った方】代表取締役社長 神谷 伸顕 様
商 号 | 株式会社日新ダイヤモンド |
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所在地 | 滋賀県高島市 |
設 立 | 1968年9月 |
資本金 | 9,000万円 |
従業員数 | 59名 |
事業内容 | 単結晶ダイヤモンド切削・耐磨工具、 PCD・cBN焼結体切削・耐磨工具の製造及び販売 |
ホームページ | https://nissin-dia.co.jp/ |
DXとペーパーレス化推進のため、生産管理システムを検討開始
「以前は紙ベースの業務が多く、図面や関連書類が散乱し情報管理が非効率な状態でした。毎月の紙の出力枚数も8,000~10,000枚と多く、コストと環境面での課題がありました。
そこで業務のDXとペーパーレス化を推進するため、生産管理システムの検討を行いました。結果、価格もリーズナブルで必要な機能が揃っているTECHS-BK(以下、TECHS)を導入することに決めました。
また、図面管理にはTECHSと連携可能なデジタルドルフィンズを採用しました」
業務にシステムを合わせず、システムに業務を合わせる
「DX推進のために、TECHSとデジタルドルフィンズを導入しました。
当時、システム導入のスピードとコストが大きな課題となっていましたが、TECHSがパッケージシステムであることを活かし、業務プロセスをシステムに合わせる方針で検討することにしました。
私が以前所属していた会社では、新システムの導入に4年もの歳月を要しましたが、今回はわずか3ヶ月で本稼働にこぎつけることができました。
このスピード稼働を実現できたのは、当社が多品種少量の特殊品生産を主力とした中小製造業であるという特性が、TECHSとマッチしていたからだと考えています。
また、将来のバージョンアップ時の負担軽減も見据えて、カスタマイズは必要最小限にとどめています」
全社員に1人1台ずつパソコンを支給
「DXへの大きな一歩として、全社員に1人1台のパソコンを支給しました。全台分のインストール作業を私とパソコン知識が豊富な社員の二人で対応しました。
これは、単にIT環境を整備しただけでなく、業務効率化とITリテラシー向上を同時に目指した取り組みです。
ITに苦手意識を持つ社員のために、毎週勉強会を実施してスキルの底上げを行いました。また、業務外でもパソコンを自由に使用できるようにすることで、社員がシステムに慣れ親しむ機会を増やしました。
さらに、MicrosoftのTeamsやSharePointを導入し、社員間のコミュニケーションを活性化させる環境づくりにも努めました」
紙の情報はすべてTECHSとデジタルドルフィンズに集約
「紙の情報はすべてTECHSとデジタルドルフィンズに集約し、図面、生産
管理、原価情報の共有が可能になりました。ボードに貼り付ける掲示板を廃止し、ポータルサイトを作りました。そこから帳票類を表示したり、掲示板を見たり、会社の状況、売上や受注、利益情報を社内で共有しています。
データの見える化により、毎日の受注状況や営業担当者がどれだけ業績を伸ばしているのか、どんな製品を受注しているかなどが見えるようになりました。デジタルドルフィンズは過去資料・データを簡単に検索可能なので、重宝しています。データでの情報共有により、ペーパーレス化が一気に進みました」
ポータルサイト
蓄積データを活用した情報の見える化
「会社の情報がデータ化したことで、TECHS、EUC Tool、BIツールを用いて情報の見える化を実現できました。営業担当別受注金額目標と実績、素材別受注比率、担当者別製造予定などの分析資料も簡単に作成できます。
製造工程はハンディターミナルでバーコードを読み取るだけで工程をリストに追加できるようにし、指示や予定の精度を向上させました。
工程進捗もリアルタイムで確認可能です。これにより、作業指示や作業計画の精度が向上し、戦略的な判断が迅速に行えるようになりました。
現場には大型ディスプレイを複数箇所に設置し、リアルタイムの進捗状況などを共有しています」
工場内大型ディスプレイ(工程別/機械別作業実績時間)
ペーパーレス化で社員の意欲向上
「ペーパーレス化を進めた結果、業務効率化だけでなく、社員の意識改革にもつながりました。
以前、営業担当者は顧客情報を確認するために、ほぼ毎日事務所に立ち寄っていました。しかし今では、必要な情報にいつでもどこでもアクセスできるようになったため、週に1回立ち寄るかどうかまで減少しました。
また、申請・承認フローの電子化により、書類作成や押印のために時間を費やす必要がなくなり、業務効率が飛躍的に向上しました。
加えて、営業、製造、開発部署間での円滑な情報共有により、目標意識の統一ができ、顧客対応の迅速化と新規顧客開拓につながりました。
利益の見える化によって、賞与の予測が可能となり、社員が自分の努力が報われることを実感できるようになりました。これにより、社員のモチベーションが向上しています」
今後の展望
「事務所のペーパーレス化は達成しました。今後は、工場の紙の指示書をタブレットで確認する運用へ変更し、完全なデジタルシフトを目指します。
また、技術の継承と世代交代も重要な課題だと考えています。熟練工の技術を尊重しつつも、特定の熟練工への業務集中を避け、若手社員がチャレンジできる環境を整えることで、将来的に会社の平均年齢35歳を目指しています。通信大学進学支援制度などを利用し、若い世代の採用と育成に積極的に取り組むことにより現時点で、平均年齢は45歳から39歳まで若返っています」