業務の自動化と『RPA』

著者:藤田 浩一(ふじた こういち) 業務の自動化と『RPA』

はじめまして。テクノアの藤田 浩一と申します。
ソリューションサービス部で、TECHS導入時の支援やTMS(TECHS Master School)という講習会の講師をさせていただいております。
今回は業務の自動化についてお話いたします。

1.業務における自動化とは

業務の自動化、と言われてイメージするものはどういったものがあるでしょうか。
機械によるもの、PCによるもの、イメージするのは人それぞれかと思いますが、今回は「ITツール活用による定型業務自動化」について取り上げたいと思います。
「誰がやっても変わらない、同じ作業の繰り返しとなるような」業務の自動化に取り組むにあたってどういったことが重要なのでしょうか。

2.自動化に向いているもの

ITツールを用いた自動化に向いているものとしては下記が挙げられます。

(1)決められた手順で繰り返し行う単純作業
・単純なデータ入力
・定型ファイルのアップロードや保存
・ファイル形式の変換

(2)複数アプリケーション間での連携処理
・定型文書データを社内システムへ登録・転記
・Web・業務アプリケーション間の受発注処理
・顧客情報の照会

(3)データ収集や集計
・複数システムからのデータ抽出・集計
・抽出データの加工
・定型レポートの自動作成

こういった業務の自動化に有用とされているのが「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」です。

昨年4月にマイクロソフト社が行った、Power Automate Desktop無償版の提供が大きな話題となったことをご記憶の方もおられるかもしれません。RPAへの関心や導入の機運は高まってきています。

3.RPAの特徴

RPAという自動化ツールが出る前から自動化ツールに相当するものは存在していました。

大きなものとして2つが挙げられます。

(1)「Excelのマクロ機能」
○ 操作をレコーディング(記録)することでプログラミング知識がなくとも繰り返し作業をさせることができる
× Excelの中でしか動作せず異なるアプリケーションをまたいだやり取りはできない

(2)「バッチファイル」
○ 異なるアプリケーションをまたいで自動的な動作させることができる
× 文字による記述で作成する必要がありプログラミング知識が必要

RPAは上記の利点を兼ね備えたものとなります。
○ 操作をレコーディング(記録)することでプログラミング知識がなくとも繰り返し作業をさせることができる
○ 異なるアプリケーションをまたいで自動的な動作させることができる

これらの特徴により、業務自動化への取り組みに対する敷居も大きく下がりました。

業務を理解している担当者ご自身で自動化を構築することが可能となってきています。

4.RPAによる自動化に取り組むにあたって

RPAを用いた自動化を始める際、最初に行わなければならないことは「業務プロセスの分析」となります。これは下記の2つによります。

(1)業務ルールの体系化
社内の業務ルールを洗い出すと、「これってなぜ、今までこうしてきたんだろう」ということが往々にして出てくるものです。
ルールができた時には有効であったことが、時を経て形骸化していないでしょうか。

また、責任者に判断を委ねなくとも一定のルールで意思決定ができるようになっていませんでしょうか。
この「一定のルールの策定」が定まらなければ、自動化する手順の作成はできません。

(2)業務プロセスチェックの自動化
人間による多重チェックを設けている業務プロセスがあったとします。人間が介在するときは必要なチェックですが、判断基準が定まり、システム側で行えるようになればチェックが不要になる部分も出てきます。
判断基準が明確化されることも、自動化する上では大変に重要です。

5.終わりに

自動化するための手順を分析し策定することには、普段の業務に隠れていたムダに気づけるメリットもあります。
3S、5Sといった目に見える範疇での改善だけでなく、ぜひRPAというツールの導入をきっかけとした業務改善に取り組んでくだされば幸いです。

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藤田 浩一(ふじた こういち) TECHS事業部 ソリューションサービス部

1999年入社。
カスタマイズSEを経て、現在は営業支援や保守サービス向上を目的としたTMS(※)などを担当しております。
多くのお客様の困りごとと対峙してきた経験を活かし、現場と一体になったIT利活用を構築するお手伝いをさせていただきます。

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