第59回「健康経営はじめてみませんか?」

著者:佐々木 靜(ささき しずか) 第59回「健康経営はじめてみませんか?」

こんにちは。株式会社テクノアの佐々木です。
最近「健康経営」という言葉を耳にすることが多くなってきました。
中小企業でも取り組まれている企業が増えてきましたが、皆様の会社はいかがですか?
「個人の健康と会社の経営がどう関係するの?」「今までの福利厚生と何が違うの?」など、実はよく理解できていないこともあるかもしれません。
今回は健康経営アドバイザーでもある私が、健康経営のポイントについて解説します。
経営者だけでなく従業員の皆様も意図を十分に理解し、取り組みに参加することで、仕事をもっと充実させましょう!

1.健康経営とは

健康経営とは「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に管理する経営手法」
と言われています。
かつて健康管理は個人の問題で会社が踏み込むことではない、というのが風潮でした。
しかし自社で働き、利益をもたらしてくれる従業員は、会社にとって何より大切な資産です。
健康経営では、従業員の健康増進などにかかる費用は「コスト」ではなく「投資」と考えます。
従業員の健康を会社が関心をもって大切にすることで、組織の活性化や生産性の向上も期待できます。

2.なぜ健康経営は必要か

健康経営が注目されている背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少があります。
これに伴い、定年の引き上げやシルバー人材の再雇用など、時代は生涯現役社会に突入しています。
慢性的な人手不足の中小企業では、従業員が健康を害して働けなくなった場合、すぐに他の人を育成したり、採用をしたりすることは難しいですよね。
事業を継続するには、ノウハウを持った従業員に長く元気に働いてもらうことがとても大切です。
そのため会社が主導で健康経営を推進していく必要があるのです。

また、経済産業省で行っている「健康経営銘柄」「健康経営優良法人認定制度」などを活用し、健康経営を見える化することで対外的な評価も高まります。
就職希望者からは「安心して長く働けそうな会社」、取引先からは「長く安定して取引ができる会社」と評価され、その結果、投資家や金融機関等からは「事業が安定して将来性のある会社」という評価を得ることが期待できます。

3.健康経営と福利厚生

従来からある福利厚生と健康経営は何が違うのでしょうか?
私の解釈ですが、福利厚生と健康経営では少しだけ狙いが違うように思います。
福利厚生は従業員やその家族が健康に安定した生活をおくれるようにすること、従業員のモチベーションを高めることが目的です。
その結果、採用活動を成功させたり、従業員が長く働いてくれるようになったりすることを期待して行います。

一方健康経営は、労働生産性の損失を抑制することも狙っています。
「アブセンティーズム」「プレゼンティーズム」という単語があります。
「アブセンティーズム」とは、例えば体調不良によって会社を休む、というような状態を指します。
これに対し「プレゼンティーズム」とは、出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態を指します。
下図は海外企業の例ですが、日本でも「プレゼンティーズム」による労働生産性の低下による損失が、「アブセンディーズム」による損失を大きく上回ることが研究によりわかってきています。

生活習慣を改善することが「プレゼンティーズム」の抑止には効果的と言われています。
そのため、従業員の心身の健康状態だけでなく、生活習慣を整えることが経営にとって大きな効果を生むのです。
つまり従業員の皆さんに元気に最高のパフォーマンスを発揮してもらうことが健康経営の目的と言えます。
福利厚生は「あったらいいな」という印象に対し、健康経営は「なくてはならない」取り組みと言えるでしょう。

テクノアもeラーニングによる生活習慣改善の学習、ウォーキングアプリでの歩け歩け大会、サークル活動を通じての社員交流など様々な取り組みを行っており、私も存分に活用しています!
他の企業でも、ランチのサラダを会社がまとめて購入する、自動販売機はお茶やお水など砂糖の少ない飲み物だけにする、などの取り組みもあります。

ちょっとした取り組みでも、従業員が意識して参加をすることで、生活習慣の改善や心身の健康につながり、健康経営が実現できます。
自社の取り組みを改めて見直し、自分に合った制度があればぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか?

4.まとめ

・従業員の健康増進にかかる費用は「コスト」ではなく「投資」
・最高のパフォーマンスを発揮できるように取り組むのが健康経営
・従業員は自分に合った制度を積極的に活用しましょう!

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佐々木 靜(ささき しずか) プラットフォーム事業部

入社から7年間、TECHSの運用指導を担当しておりました。
ユーザー様に様々なことを教えていただき、仕事の楽しさを実感。
このご恩を返すため、中小製造業様のお役に立つためには?と考え、中小企業診断士を志しました。
システムをきっかけに、現場と経営をつなぎ、中小製造業様にもっと元気になっていただくために活動中です。