稼働率の飛躍的な向上により、全社トップの黒字部門へ転換

株式会社ハセテック 様

国内初の電気自動車用急速充電器を一般発売

神奈川横浜市のハセテック様は、 2019年に創業100周年を迎えられました。1世紀以上に亘って培われた、その技術と経験をもとに、時代を先駆けて電気自動車用急速充電器を一般販売されるなど、最先端の技術に挑戦し続けられています。
ハセテック様は、「パワエレ製品」、「電波機器」、「電力素子」の3つの事業を展開されています。
そのうち、『TECHS-S』を活用されている電波産業機器部は、航空・宇宙・防衛などの各分野で求められる、アルミニウム素材を用いた精密板金筐体や構造物の設計・製造を得意とされています。その高い技術力とノウハウで、AMS/MIL、AWSなどのアルミ溶融溶接の技量認定を多数取得され、品質、コスト、納期の全てにおいて、高いレベルでお客様のご要望に応えられることが強みです。

【今回お話を伺った方】
電波産業機器部 部長 河内 様
電波産業機器部 電波機器営業技術課 市川 様


           
株式会社ハセテック
CLIENT PROFILE
商 号株式会社ハセテック
所在地神奈川県
設 立1934年7月
資本金2億5,000万円
事業内容精密板金筐体等の設計製造、産業用電源機器の設計製造、産業用機器及び機械装置等の設計製造、電気自動車用急速充電器の設計製造販売他
ホームページhttps://www.hasetec.co.jp/

オフコンのシステムから『TECHS-S』へ

河内 様「『TECHS-S』導入前は、自社開発したオフコンのシステムを使用していました。しかし、主に経理機能に重点が置かれたシステムで、細かな作業実績やリアルタイムでの原価確認、多数の部品や工程の管理といった、生産管理に必要な機能が不足していました。
当部門の製品は、大半が受注生産で、常時1,000以上の案件を同時に扱っています。特に構成部品が1,000点ほどあるような製品は、いかに効率よく手配し、製造するかが勝負です。
しかし、オフコンでは多数の部品の進捗状況を同時に把握することが難しく、Excelなどを併用する状態でした。
その管理に限界を感じていた中、新しいシステムの導入検討のために、展示会などに足を運びました。そこで、個別受注生産に特化し、原価や進捗が見える化できる『TECHS-S』に出会い、導入を決めました。」

時間管理の徹底により短期間で稼働率改善を実現

河内様「『TECHS-S』の一番の導入効果は、時間管理精度の飛躍的な向上です。オフコンの頃から、ハンディターミナルで作業実績を収集していました。しかし、工程の開始情報を登録すると、その前の工程が完了する仕組みであったため、工程と次工程の間に生じた実作業以外の時間も工数に含まれてしまい、常にデータ上は稼働率100%という、状況でした。
以前から、無駄な時間が少し多いと感じてはいましたが、具体的な根拠が出せず、対策が打てない状況でした。
『TECHS-S』稼働後、約1年かけて、各工程の正確な開始・完了の時間を収集・分析した結果、実際の稼働率は80%以下であることが分かりました。
その数字を根拠に、適切な時間管理をルール化したところ、すぐに適切な稼働率に上がりました。それに伴い、損益も改善し、『TECHS-S』導入の1年後には、黒字部門に転換しました。また、適切な作業予定時間の設定と、精度の高い原価予測ができるようになった結果、予定時間内に作業を終わらせよう、作業改善でさらに時間を削減してみよう、と作業者が自主的に改善活動を行うようになりました。
このように、みんなで具体的な数値をもとに話せるようになり、現場の意識が変化したことも、大きな効果の1つです。」

原価の見える化により赤字案件を削減

市川様「原価の確認にも、大変手間がかかっていました。見積の積算時など、印刷した原価明細をExcelに転記して集計したり、オフコンで1点1点原価明細を確認していました。
しかし現実的に、毎回その時間と手間はかけられません。見積の精度は低い状態でしたが、当時はそれにも気付けていませんでした。
今は『TECHS-S』や『EUC Tool』で、いつでもボタン1つで正確なデータが見られます。原価の確認や集計の時間が圧倒的に減り、見積精度も上がりました。」

河内様「原価の把握で個別製品の原価構成が容易に把握できるようになりました。仕入値など、具体的な根拠をもとに正確に見積りすることで、赤字案件の削減にも成功しました。」
データ分析と原因追及で、精度の高い予実管理を実現
「さらにもう一つ、重要な気付きがありました。過去の原価や受注実績をもとに、年度ごとに予算を立てるのですが、以前は予算と実績が大きく異なり、その原因も分かりませんでした。
そこで、『EUC Tool』とExcelで工数を分析した結果、予測と実際の習熟率がかけ離れていることが、予算と実績の大きな差の原因であることが分かりました。
データ分析により、製作数に応じた工数の変動傾向がつかめるようになったことで、経験曲線効果を加味した、適切な予算が組めるようになりました。」

工程設定省力化、赤字改善のさらにその先へ

市川様「『TECHS-S』導入を機に、品番や工程の情報を整備しました。それにより、製品の構成部品や工程、納期、作業予定時間などが自動展開されるようになり、大変楽になりました。
その一方、溶接工程だけでも月に3,000件近くあるため、手動での日程調整に限界を感じています。今後、さらに業務を早く効率的に行うためにも、専任者の配置や、自動スケジューラの導入なども検討しています。
次に、見積精度を向上させます。特に新規案件の場合、赤字の予防には見積精度の向上が重要です。『TECHS-S』のデータ活用や、板金溶接に特化した見積システムの導入、『TECHS-S』との連携などにより、見積精度を上げていきます。」とお話しくださいました。

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